スネークウッド頭部管の再生 SN-69R
9年ほど前に作ったスネークウッド製頭部管 SN-69
(※単体の写真がなかったのでパンフレットから)
2016年にDACで行った展示試奏イベントの最中に音を立ててひびが入った!
楽器としてはとても魅力的な音がするので補修して自分用としてしばらく吹いていた。
最初とは別の箇所にも割れが生じ、補修してはまた割れるという鼬ごっこを繰り返しているうちに安定してきたものの、鳴りが悪くなってしまった。
その後ウェーブタイプの歌口を作り始めた時期があり、その際に実験用に削り直してしまった。
結局穴も少し大きくなりあまり好ましい状態にはならず、ほとんど廃棄という形で放置してあった。
普段自分が気に入って吹いている頭部管は薩摩黄楊製の ST-151《漆》なのだが、高域のピッチが上がるのでコントロールが難しいという問題がある。慣れたとはいえもう少し音程を気にせずに吹ける頭部管があれば・・と思うようになったのだが、最新の頭部管はすべて製品として出してしまったので手元には無い。
そこで放置してあるスネークウッド頭部管を再生することを思いついた。
具体的には歌口穴を埋めて削り直し、漆仕上げに変更するのだが割れについても漆で補修することで良い状態にできるかもしれない。
先ず割れ補修のため充填した接着剤を剥がし、歌口形状もある程度削ってから脱脂した。
今回埋木用の穴は13mm程度にした。
スネークウッドの端材はなく入手してもまた割れのリスクがあるので、歌口穴を埋める材料はアフリカンブラックウッドに決めた。
乾燥後埋木を削り歌口の形状を整え、はみ出た糊部分を削ると共に全体にヤスリをかけて成形。
その後さらに錆漆を施した。
乾燥後余分な錆漆を削り全体にペーパーで仕上げ。
これから漆を塗る前の木地調整に。
これから摺り漆を重ねていく。
上部リングと接続管を接着してから磨き、コルクを入れて完成!
音を出してみると、嘗ての感触が蘇ってきた。
しかしながら歌口の形状はかなり違っているので音の出方は違う。
最近の狙いに近い傾向ではあるが ST-151 とは異なる印象だ。
ただ高音域の音程のコントロールに関しては狙い通りになった。
気掛かりなのは、ジョイントを接着する際の熱で割れの補修部分が変化して目立つようになったことだ。
以前の接着剤の残りが溶け出して変化したのか、或いは漆そのものが変化したのか・・・
応急的に漆で少しだけ補修して暫く様子をみることにする。