観れば撮りたくなる写真展。「永遠のソール・ライター」
【7月1日追記:7月22日から9月28日までアンコール開催されます!】
Bunkamura ザ・ミュージアムで2020年3月8日まで開催中の『永遠のソール・ライター』展を観た。タイトルの写真は、その帰り道に撮ったものだ。冷たい雨、ショーウインドウ、色鮮やかなレインコートが、ソール・ライターを連想させた。
Bunkamura ザ・ミュージアムのソール・ライター展は、2017年に次いで2回目だそうだが、私はその名を知らなかった。その名の響きに惹かれて、限られた東京滞在の時間を割いて、観に行こうと思った。作品を観るより前に、名前の響きが、カタカナの字面が、好きだった。
ソール・ライター(1923-2013)は、はじめファッション・フォトグラファーとして名を成し、その後忽然として表舞台から姿を消した。再び注目を集めたのは、2006年にドイツで出版された写真集『Early Color』に因る。1940年代後半から1950年代のカラー写真の黎明期に、人知れず撮りためた作品によって、「カラー写真のパイオニア」として再発見されたのだ。
写真の題材は、ソール・ライターが住んだニューヨーク、イースト・ヴィレッジの、徒歩圏内における“ストリート・スナップ”。特に、ガラスや鏡の映り込み、雨粒、雪、傘やタクシー、バス車内の多重性が印象的だ。白い雪景色に点じる赤い傘、逆光に深まる帽子のシルエット。
先日放映されたNHK『日曜美術館』では、ソール・ライターの言葉として「何もおきていないようにみえて、片隅で何かおきているような写真」が紹介されていた。そんな写真が撮りたいな、と思う。
下の写真は、展示室内で唯一撮影の許された、ソール・ライターの愛用品などをディスプレイしたコーナー。
ソール・ライター展はBunkamura ザ・ミュージアムのあと、4月11日から5月10日まで京都駅の美術館「えき」KYOTOに巡回する。
【4月15日追記】
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、Bunkamura展は2月28日以降全日程中止、京都展は開催中止になりました。
ですが、ソール・ライター財団のホームページでは、彼の写真のアーカイブや動画を楽しむことができます。こちらでどうぞ。
【7月1日追記】
新型コロナウイルスの影響で、作品をソール・ライター財団に返却することができなくなり、同財団の許諾によってアンコール開催が可能になったそうです。同じBunkamura ザ・ミュージアムで、会期は7月22日~9月28日。
いったんは開催中止になった京都展も、来年開催されることになりました。会期は2021年2月13日~3月28日です。