くそったれの世界
チバユウスケが亡くなって、初めてちゃんとThe Birthdayを聴いたミッシェル懐古厨、ニワカバースデイファンの私。
その中でまず一番に惹かれたのがこの「くそったれの世界」だった。
「お前のそのくそったれの世界 俺はどうしようもなく愛おしい」
この言葉の優しさたるや。
かつての自分はミュージシャンのなりそこないで、金にもならず誰にも聴かれないような、くそったれな音楽をやっていた。
今、当時のことを聞かれると、外向けには「いやー黒歴史ですよー」といってあまり語らないが、実は今だって自分が作った曲はたまらなく愛おしい。
そして、この曲はそんな黒歴史にさえ愛を差し伸べてくれている気がして、とても嬉しいのである。
それはもちろん自分の勝手な自己投影。
ただ、チバが亡くなったとき、色んなミュージシャンがSNSで追悼コメントをあげていたが、「チバさんに会った時、自分たちの作品を褒めてくれた」みたいなエピソードを複数見かけた。チバはきっと先輩後輩関わらず、あらゆるミュージシャンにリスペクトを持ち、アンテナを高く張って音楽を聴いていたんだと思う。
お笑いだと、爆笑問題の太田さんが「芸人のやることは面白い」という信念を持っているようで、後輩にネタのダメ出しをすることなく褒めて伸ばしたり、新しい若手をいち早くチェックしているという話を聞いたことがある。ジャンルは違うけど、きっと同じイズムなんだろう。
この曲が自分に向けたものでなくても、自分のロックヒーローがそういったスタンスを持っていることが嬉しいし、自分の誇りになる。
「世界中に叫べよ I LOVE YOUは最強 愛し合う姿はキレイ」
これも勝手な解釈だけど、この歌詞はバンドとオーディエンスの関係性を表していると思っていて、ライブに熱狂する様をこんなにも美しく表現してるのも素敵だと思う。
チバが亡くなった後、NHKで「トップランナー」というインタビュー番組のミッシェル出演回を再放送していた。
インタビューでも寡黙で、なんか聞かれても「ああ」など一言で返すチバ。「ライブでもMCしないみたいですが、お客さんとコミュニケーション取りたいとかは思わないんですか?」と聞かれ「演奏自体がコミュニケーションだと思う」と返す。
リアルタイムで見ていた当時は人を寄せ付けない気難しい人という印象を受けたけど、今見ると、自己表現することに不器用だけど、適当な言葉で濁すことをしない誠実な人なんだなと感じる。そして、うまく表現できない心の様をありのままに表現できるのが音楽であり、ライブでそれを伝えながらオーディエンスと愛し合っていたのだろうなと…。
おそらく、そんなチバだからこそ、人の音楽を聴いて、その人の表現したいことにも想いを馳せていたのではないだろうか。
全部あくまで邪推なんだけど、この2節の歌詞にチバというミュージシャンの生き様が詰まっているように感じてしまうのである。
今回、2/9のコピバンライブでは、この曲を一曲目に演奏する。ボーカルの独唱から始まった後、バンドが一斉に音を出す瞬間は何にも勝る高揚感がある。ギターとしては、気持ちを剥き出しにしたボーカルに優しく寄り添うような、抱擁感あるフレーズが心地よい。
本番ではロックの高い熱量を維持しつつ、その場を包み込むような優しさを表現できればいいなと思う。
【ライブ情報】
・DATE:2/9(日)
・PLACE:新小岩bushbash
https://bushbash.thebase.in
・TIME:open 14:30/ start 15:00
・TICKET:free!
・ACT:
チーム山口界隈
ザ・リバースデイ🤮(The Birthday)
ティートエイチ(UK系オリジナル)
陽だまり⭐︎Rock(アニソン)
蒼は流れてる(邦楽オムニバス)
ヒヨコサウンドファクトリー(オリジナル)
ザ・リバースデイ🤮にギターとして出演。
15:40頃から演奏予定です。