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学習がもたらす効果について
本当に勉強はした方が良いの?
みなさんはご自分が子どもの頃、勉強は好きでしたか?
私はどちらかというと好きな方でしたが、嫌いな教科はとにかく嫌いでした。。。
もし「勉強って何のためにするの?」とお子さんに聞かれたら、何と答えますか?
勉強をすると色々なことを知ることができて楽しいから。
かしこくなるので得だから。
将来の仕事の選択肢が増えるから…
様々な意見があると思います。
ちなみにその意見って誰かに教わったものでしょうか?
多くの人、特に大人は自分の経験を伴った経験則で判断をすることがあります。
なので自分がこうだったよな〜〜と思ったことをお子さんに教える、というパターンがとても多くあると思います。
実際に経験をしたことなので実感を伴っているのですが、あくまで1つの例であって、全ての人に当てはまるわけではありません。
なので、勉強することの効果というのをきちんと検証した結果を知ることが、子どもたちにより良い学習を提供することにつながっていくのです。
ということで今回は「教育が将来に与える効果」についてを解説をしていきますね!
就学前のお子さんにとっても大切なことが色々ありますので、ぜひ最後までお読みください。
ペリー幼児教育計画
教育に関する研究でとても有名なものがあります。
ペリー幼児教育計画という、1960年代にアメリカのミシガンで始まった研究です。
教育上リスクが高い、と判定された3歳児にプログラムを実施して、その後40歳まで追跡調査を行ったものです。
実験群の子どもたちは、週5日の午前中は幼稚園でプログラムを受けました。そして週1〜2 日は先生が家庭訪問をし、子どもたちの様子や発達について保護者と話し合い、毎月保護者対象のグループミーティングを開催しました。
その結果、5歳の時点で就学のための学習の準備ができている子の割合、基本的学力、14歳時点での学校への出席率と成績、19歳時点での高校の卒業率、成人後の収入や持ち家率の高さ、犯罪率の低さなど対照群(プログラムを受けなかった人たち)よりも実験群の方が優れた結果を出したということがわかりました。
子どもたちの人生が良くなることによって、後に起こりうる犯罪などの社会問題の対応に使われる費用が減少したり、収入が良くなることによる税収の増加などで、プログラムの費用1ドルに対して7.16ドルのリターンがあるということもわかりました。
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ここまでで、幼児教育が人生に及ぼす影響をお分かり頂けたかと思います。
皆さんが気になるのは「ペリー幼児教育計画はどんなプログラムをしていたの?」ということだと思いますので、紹介していきます。
非認知スキルの育成
学びには「認知スキル」と「非認知スキル」の2種類があります。
数字がわかる、字の読み書きができる、ある知識を持っているなどIQなどで測ることができる力を「認知スキル」と言います。
現在、日本の学校での教科学習の多くが、認知スキルに該当するものですね。
それに対してコミュニケーションスキル、やる気、忍耐力、自己管理力、批判的思想などを
非認知スキルと言います。
ここで問題です。
先ほど述べたペリー幼児教育計画では、どちらのスキルの育成に重点を置いているでしょうか?
正解は…
「非認知スキル」です!
ペリー幼児教育計画のプログラムでは、非認知スキルの育成に重点を置いています。
最近日本でも聞かれるようになった「アクティブラーニング」という子どもたちの能動的な学び方も、元々はこのプログラムで遊びの計画を立てたり、実践したことを振り返ったりするなど「自発的な遊びの実践」として行われたものなのです。
非認知スキルは専門的な知識がないと育てられないのか?と言うと、そうではありません。
ご家庭の中でも非認知スキルを育てる様々な方法があるので、ご紹介していきます。
①失敗を許す&経験を伝える
「回復力」や「やり抜く力」というのはとても大切な非認知スキル。
しかし成長するに従って、失敗することをとても怖がる子どもたちが増えてきます。
その原因として考えられることは大きく2つあります。
・失敗した時の叱られた経験
初めてのことは誰でもドキドキします。
ドキドキを乗り越えてチャレンジしたのに、失敗してしまった。
しかもそれを叱られてしまった…。
そんな経験をしてきた子どもは「失敗したら叱られる=だったら最初からやらない方がいい」と学習をしてしまいます。
・失敗した時のやり直し方、立ち直り方がわからない
失敗した時にもやり直しができること、その後どうやって立ち直るかということを、最初子どもたちは知りません。
周りの大人が教えることが必要です。
教えることで「やり直してもいいんだ」「そうやって他の方法を試してもいいんだ」と学習することができます。
ではご家庭でどのようにすれば良いか、というと、保護者さんの失敗経験や立ち直った経験を話すこと!
子どもに自分の失敗を話すなんて…と思われる方もいるかもしれませんが、モデルを示すというのは、とても大切な教育方法なのです。
「お父さんやお母さんも失敗したことがあるんだ」「こうやって立ち直ったらいいんだ」ということを知ることで、実際に失敗した時に真似てやってみることができます。それが成功体験となり、失敗しても大丈夫!また立ち直れる!という学習になっていくのです。
②結果ではなく過程を褒める
例えばお子さんがテストで100点を取った時、どのように褒めていますか?
「100点を取ってすごいね!」という褒め方をしている方はいませんか?
結果を褒めるということは、もしその結果にならなかった時にはお子さんはどのように考えるでしょうか。
「100点じゃなかったから、褒めてもらえない。意味がない。」
ということを思ってしまいます。
褒める時には結果ではなく、過程を褒めてあげてください。
「毎日コツコツ勉強していたからだね」や「何度も繰り返し練習していたね」など、様々な褒め方があります。
ぜひ、行動の過程を褒めるということを意識してやってみてください。
③子どもが選択できる場面を作る
私が小学校教員の時に、こんな相談を受けました。
「先生、うちの子どもが『先に宿題をやってから遊びなさい』と言っても全然聞かなくて…。」という内容でした。
ただ「しなさい」と言われても、子どもたちはなぜそうするのが良いのか?ということがわかりません。
なので、保護者の方にこのようにアドバイスをしました。
「順序ではなく『○時までに宿題を終わらせる』という約束にしてみてください。」
そうすると、その子は学校から帰ってきてからどのように時間を使えば良いか、色々試行錯誤をしました。
その結果、先に宿題をした方がゆっくり遊ぶことができると気がついたそうです。
自分で選択したことがどのような結果になるかを経験することで「やりぬく力」は育っていきます。
基礎的な学力(認知スキル)はもちろん大切です。
同時に、その基礎的な学力や専門知識を活用する非認知スキルを育てることで、彼らの人生は大きく変わっていくのです。
なので、今回最初に出した「勉強って何のためにするの?」という答えは…
もし私が聞かれたら
「国語や算数などの勉強も、友達と協力することも、諦めずにやりきることも、あなたが生き生きと生きていくために大切なことだから!」
と答えようと思います。
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