
大ヒットが原因でKindle出版を止めるしまう理由
Kindle出版を副業にしている人たちを2年間見ていると、感覚的に9割以上の方が出版活動をやめてしまっているように感じています。
9割というのが高いのか低いのかは、正直なところよくわかりません。
副業全体で見た場合、だいたいどの副業も同じようなことが言われているからです。
それに、それが単純に悪いことだとも思いません。
「何かを始めて、やってみてやめる」というのは、トライアンドエラー、試行錯誤の一部だと考えれば、それはその人にとっての挑戦であり、現状から何か突き抜けようとした行為そのものだからです。
自分に合わないと思い、早めに手を引くと決断したことは、迅速な判断でもあり、決して挫折とは言い切れません。
とはいえ、一度志したことをやめるには、それなりに理由があります。私はKindle出版にこの2年以上身を置いていますが、やめていくパターンとして大きく2つあると考えています。
1つ目は、「売れないから」です。
おそらく、やめていく人の大半はこの理由に当てはまると思われます。
Kindle出版は、実際にやってみるとわかるのですが、なかなか読まれません。
ポッと出版して、それがコンスタントに月数万円稼げるコンテンツになることは、決して多くありません。
1日、2日、あるいは1週間程度で作ったコンテンツであれば、諦めもつくと思います。ですが、実際には2〜3ヶ月、あるいはそれ以上準備・執筆して、満を持して出版にこぎつけたケースも珍しくありません。
そこそこ売れるのであれば報われもしますが、必ずしもそうはならない。
現実は残酷なんです。
それが3冊、4冊と続くと、いずれ心が折れてしまいます。
そして、2つ目。
これが本記事のメインにもなるわけですが、ノーヒントでわかったら結構すごいと思います。
それは「大ヒットを出してしまった」というパターン。
これは経験がないとなかなかわからないと思いますし、おそらく多くの人はピンとこないと思います。
大ヒットというのは、市場をずっと見ていると、たまに出現します。
1冊で50万円とか100万円とか、あるいはそれ以上を稼ぎ出す本のことです。
大ヒット本が出ると、”界隈”はざわつき、本人は周りから注目されます。
印税が突然増えて、嬉しくなります。
それで、自慢をしたり、売上を公開したり、ヒットの要因を語り出したり、時の人っぽくなったりします。
そして、出版した本人はたぶんこう思っています。
「自分にはセンスがあった、才能があった、実力がついた」と。
ですが、多くの場合それは”勘違い”です。
当然ながら、ヒットし続けることはなく、いつか低迷していきます。
それが3ヶ月後なのか、半年後なのかはわかりません。
でも、確実にその時期は訪れます。
その状態で次の本を出すとどうなるか。
思うように売れません。
そこそこは売れます。でも、大ヒットした本ほどは絶対売れない。
その後2冊出しても、3冊出しても、それは変わらない。
周りから見ているとわかるのですが、だいたい似たようなテーマの本なんです。内容もだいたいわかる。新鮮味がない。
そして、実はそれを本人もわかっていたりします。
ここで初めて気づきます。
「あの大ヒットは”運”だった」と。
ヒットした本のテーマも良かった、内容も良かった、タイトルも表紙も良かった。
そして、タイミングも良かった。運もあった。
それだけなんです。
運で片付けてしまっていいのか?と聞かれると、それは「イエス」と判断せざるを得ません。
なぜか。
運でないとするならば、再現できないとおかしいからです。再現できないのは、偶発的要素が重なったことの証拠としては十分です。
ある時、ある種の後悔に襲われます。それは、大ヒットを出した時の成果を公開してしまったことに対してです。
特に印税額。
月額最高額をSNSで公開してしまったことを悔いてしまう。
それを超える印税を記録することは、もう恐らくできない、そう気づくからです。
どうすればいいのか。
大ヒットを出せたことを運が良かったと思って、また1から始めればいい。
なんてことはない。
それだけなんです。
でも、それが難しい。
周りがどう考えているかはともかく、自分が自分自身を”ヒットメーカー”だと思っているから。
その地位を維持しないといけない。
大ヒットは「毒」にもなるということ。
これは、作家の寿命を縮めることにもなり得るということです。
まあ、ちょっと大袈裟に書いているところはありますが、大ヒットが理由でKindle出版をやめる人は確実にいる。
それは間違いありません。
ただ、そうは言っても、それなりにまとまった印税は手元に残るわけで、宝くじに当たったと思えばいい。
周りから見たら十分羨ましい悩みかもしれません。
追伸:大ヒットを2作品以上出せる人は神