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ウイグル論における右派の暴走

最近ウイグルという話が話題になってますが、それ以上にウイグル論法を振りかざし暴走する右派が多く見られる。これは所謂限界系によるものが要因。危険すぎる今の右派言論は日本の戦略を誤らせる恐れが生じている。今回は、このウイグル論から見る右派について論じます。


そもそもウイグルとは?

新疆ウイグル自治区は中華人民共和国の行政区画の一つ。ロシアやインドなどの国家に囲まれ、周囲にはカラコルム山脈や天山山脈などの険しい山々が聳え立つ。歴史を見ると20世紀までウイグルは国家が幾度発生し滅亡してきたが、1930年代になるとウイグルは共産主義勢力の影響下を受けるようになる。

1931年から1934年にかけてウイグルはムスリム勢力による反乱が続発。これを撃破して新疆に影響をもたらしたのが盛世才だ。この盛世才は、新疆にて実権握ると事実上独立国として政治支配を行った。この時のウイグルは盛世才により親ソ姿勢をとり、ソ連から支援を受けるようになった。しかし、ソ連の影響が大きくなると、盛世才はトロツキストや日本帝国主義者の名のもと2度にわたる粛清を行い、毛沢東率いる中国共産党に歩み寄る姿勢に変化した。これが今日に至るまでのウイグルにおける中国共産党の影響下になった理由である。しかし、盛世才は突如として国民党政府に寝返り、国共内戦で国民党が敗北すると台湾へ逃亡。1970年死去する。
その後のウイグルの歴史は、中国共産党による核実験場として1998年まで歩んだ。1964年初核実験の場所として選ばれたのもウイグルであった。この核実験では大多数のウイグルが何かしらの放射能被害を受けたとも言われているが、中国共産党はウイグルにおいての放射能被害はなく問題はないとしている。


ウイグル問題と限界右派

昨今の限界右派によるウイグル論についてだが、今まさに危険性がふつふつと出ている。何故かと言えば、限界右派の反中姿勢がイデオロギーで動いてウイグル論を振りかざしているからだ。ユニクロなどの日本企業が中国市場を展開してるだけでウイグルガー、日本の外交戦略や国会の動きについてもウイグルガー。これが本当に愛国者のすることなんだろうか。否。彼らは本質的な物の見方を喪失している。これでは「マスコミガー」と主張する資格がない。私はTwitterにおいて純粋保守と名乗ってますが、その観点からこの事柄の問題を問いただす。

1.日本企業と中国市場

トランプ政権以降中国市場における企業の動きが注目されているが、日本企業も例外ではない。しかし限界右派は日本企業による中国市場の動きに「ウイグルガー」を持ち出して中国市場から撤退せよと主張。だがこの主張は現実に即してない。例えばユニクロがウイグルにおける強制労働者を利用して、原材料を仕入れ利用していると言われているが、これがどこまで事実か不明であり、日本はそれを調べるための諜報機関が全くない。そのためユニクロがウイグル人を強制労働していると断言するのは早急だ。また、これに付随して言われているのがウイグル弾圧を行って人権侵害をしている中国を加担して、中国市場に進出或いは維持するのはけしからんという話。だがこれは日本経済においての中国市場を軽視して、イデオロギー優先の言論をしているのが露呈している。

中国上海においてガンプラの公式ショップが設置された。これは以前から中国において偽物のガンプラが流通し、中国のガノタが正規品を手に入れにくい状況があったからだ。それを懸念したバンダイは中国市場に進出して、きちんと正規品を購入してもらおうと尽力。バンダイは中国当局と連携して違法製品を市場から排除しようとしている。
こういうアニメ関連における中国市場は、縁を切っても切れないまでになっている。日本企業はグッズを中国に生産依頼して、それを国内に逆輸入してショップで販売。かつては中国産製品は劣悪と言われてたが、いまやその技術は向上。日本国内市場での評価は高い。
では何故中国市場が必要なのか。人件費が日本よりも低い、中国市場の巨大資本があるからだ。もちろん安全保障におけるリスクというのは考慮されなければいけないが、日本経済は中国市場において重要な顧客を有し、また日本の高品質商品を求める人達がいるからだ。そういった現実から目を逸らし、イデオロギー優先のウイグル論を振りかざすのは、日本企業の足を引っ張るだけだ。もし脱中国をしたいならば、まずは日本経済を何とかしてデフレから脱却すべきである。経済は感情で左右されてはならない。


2.忘れさられたチベット

限界右派はあるひとつの問題を忘却している。それはチベット問題だ。ウイグルとは違うのは、中国共産党がチベットを侵略して占領したということ。そして中国共産党はチベット人を虐殺したという史実が存在する。だが、この問題を限界右派は一切主張をしていない。ウイグル論一色である。日本が災難にみまわれる時、チベット亡命政府のダライ・ラマ氏が日本に祈りを捧げてくれているというのに。その恩を仇で返すというのか。


3.見下されるミャンマー

よく限界右派は対ミャンマー非難決議よりも対中非難決議を出せと言う。何故そこまでミャンマーを見下すのか。地政学すら勉強しないのか。軍のクーデターまでは、ミャンマーは民主主義国家として歩み、日本にとって民主主義という価値を共有できる国家であった。しかしクーデター以降ミャンマーは不安定な情勢かつ、ミャンマー軍との中国の関係性が存在。中国はミャンマーを影響下におくことで、中東などから最短ルートで資源を輸入しやすくなる。日本の観点からみれば、中東からの資源依存してる状況のなかで、ミャンマーにおける中国の影響がシーレーンに多大な影響を与えることは誰の目でも明らか。限界右派はそこまで理解していない。日本は「自由で開かられたインド太平洋」という原則のもと自由と民主主義という価値観を共有できる国家と連携して、中国の覇権主義に待ったをかけようとしている。

そのことを考慮すればミャンマーの民主主義を守るべきだと主張すべきであって、外交戦略を考えればミャンマーをきちんとこちら側に取り込むべきである。地政学や外交を勉強すればそれくらい分かりそうなことなのに、対ミャンマー非難決議よりも対中非難決議ガーと主張するのは馬鹿だ。中国の覇権主義を阻止したいのならば地球を俯瞰すべし。

限界右派は酷くイデオロギー優先に染まっている。外交は感情ではできない。中国の覇権主義や戦狼外交は看過すべきではないことは明らかで、対中姿勢を厳しくすべきなのは百も承知。だが日本は軍事力による外交が無理である以上は、ある程度上手く立場を利用しないといけない。ウイグル論はきちんとした対中姿勢を誤った方向へ持っていく。限界右派はもはや愛国者ではない。これは断言できる。

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