窓越しの世界 2021.12.1~11
12/1【黙々と】
星が降る。
暗ければ暗いほど、僅かな光も届く。
黙々とこらす時間。
12/2【寒いからこそ】
朝陽が船を照らしている。
シュラフのままギターを持って一時間くらい歌う。
寒いからこそ、暖かい。
12/3【どうしても】
どうしても思い出せない事がある。
それは君だよ。
それも僕だよ。
12/4【小豆島にて】
忘れていたことを思い出す。
知らず知らずに失うということも。
小豆島にて。
12/5【帰ってきた】
船が陸に着くと、まるで夢でも見ていたかのよう。
時速2百キロですっ飛んでいく景色が、時間の感覚を惑わせる。
いつものベランダにたどり着いて夕暮れを眺めていると、トトがこっちを覗き込んでいる。
日常の景色に帰ってきた。
12/6【波紋みたいだ】
包丁がまな板を叩く音がBGMの無い店内に響く。
振り返れば全てが手に届くカウンターの中で40年を過ごしてきた店主の仕事を眺める。
静けさの中で会話をするって、静かな水面に広がる波紋みたいだ。
12/7【雨の環状八号線】
真夜中のファストフード。
カレーに牛肉、サラダと豚汁。
雨の環状八号線。
12/8【濡れると、色鮮やか】
緩いカーブを曲がると銀杏の鮮やかな絨毯。
雨でアスファルトに張り付いた扇型がいっぱい。
濡れると、色鮮やか。
人の心もそう。
12/9【例えば終わりとは】
終わわせようとすればするほど終わらない。
例えば終わりとは、続きの解釈。
12/10【余韻】
生きている実感は、余韻の中に。
余韻を作るのは動き。
余韻に意味を求めてはならない。
12/11【民芸】
誰かが意味を与えると、それは歩き始める。
意味を与える必要と不必要の混在がループして、回廊を出る頃には目眩がした。