窓越しの世界 2022.5.9~16
5/9【リラックスをするために疲労する】
サウナの魅力は、疲労を疲労で癒すこと。
熱で膨張し、水で収縮させるカロリー消費に休息を余儀なくされ、脳に深い回復を促す。
リラックスをするために疲労する。
全力疾走ができなくなってしまった体には優しい。
と考える。
5/10【支配という魔物】
プラットフォームを別の角度から眺める爽快。
こんな風に駅を利用する人々を見渡すような心地を、ネットワークの創設者は持っているのだろうか。
爽快であり、支配という魔物が、僕の中にも潜んでいることを知る。
5/11【眠らないことにも】
20時間を超えると、リセットされて、まだ動ける。
食べないことで覚醒する脳の機能と同じことが、眠らないことにもある、のかもしれない。
5/12【音の記憶】
それでも午前中には起き上がり、スタジオへ向かう。
何をしていたのかをはっきり覚えていないので、再生ボタンを押してみる。
どこにも逃げ場のない音の記憶の記録。
5/13【向いているのだろう】
音を編集していると、時計の短針が一回転する時間感覚が変わる。
音は、時をそのまま消費する。
それに耐えられるのだから、自分には向いているのだろう。
5/14【フラワーパーク】
そのフラワーパークが改装されてからは、なかなか足が向かなかったが久しぶりに行ってみた。
改装された総合施設には好きだった喫茶店が閉鎖となり、小洒落たカフェがオープンした。
あの古い窓辺で過ごす時間が好きだった。
トトの主食のメーカーが販売を中止したので切り替えを検討しいていたが、そう言えばあそこにはペットコーナーがあったので覗いてみようといいうのがきっかけだ。
売り場で迷ったあげく主治医に電話をかけた辺りで、そうやってネットで注文をすれば済んだ事に気がつく。
5/15【酒を飲むと】
傘を差すほどでもない雨の中を歩く。
豪邸に相応しい大谷石の壁面につつじが見頃を終えようとしていた。
この歳になって出会う人というのは、みんな往々にして愛想が良く、それはとても気持ちが楽だ。
トゲトゲしたものは自分自身をも傷つけることを知って、僕らは丸くなった。
その丸さの中にまだ棘を持つ者。棘そのものをへし折ってきた者。
両者の隔たりが、僕には見えない。
酒を飲むと、少しだけ見えてくるのだろうけど。
5/16【優しい雨の朝】
朝の公園で過ごす時間が日課になったが、今朝は隣の広い敷地の茂みの奥から、怪しげな声が聞こえた。
スピーカーのギザギザした音と浮遊感のあるバックミュージック。
異国の朝に出会った心地でそれを聞きながら小説を読んでいると、しばらく経って中国語だとわかった。
少し覗いてみると、怪しい動きの人影が見えて、あぁ太極拳かと理解する。
半袖の上に薄いダウンジャケットくらいがちょうど良い、曇った、昨日よりも優しい雨が降っていた。