取り乱すには早すぎる。慌てるには遅すぎる。(2022/1#3)
落ち着こう。
お金の問題というものは、いつの時代も人を狂わせてきた。未だに『脱税』なんてことをする者がいるくらいだ。(それもそれなりに収入がある人が。入るお金が多いから、税も多いということか。)お金とは実に罪作りな存在である。
2022年の1月の時点では、いつもの家賃、ボイトレとラジオ、法テラスへの返済。ちょっと遊んだソシャゲの課金。美容室に行って髪を切って、その後服を買った。そのくらいの出費だった。そこに国民保険料の督促がきたので支払った。この金額は実に大きかった。医療費とは、と考えてしまうほどだった。
結果、2月の頭に支払う予定の携帯料金が払えない状態になった。
携帯料金は銀行の残高から引き落とされるので、その引き落とし日までに口座の残高を戻せばいい。このときの私の財布の残高を確認し、財布のお金を口座に戻せば少なくとも携帯が止まることはないことに気づいた。
すぐさま私は口座にお金を戻した。……携帯料金分だけの。
ホッとしたのも束の間である。この財布の残高で、2月の給料日までもたせないといけない。残高は……うん、食費を払うだけならなんとかなる。
いや、まて。ラジオの用件とボイトレのために電車に乗るぞ。移動でかかる金額を出さないといけない。ICカードの残高を確認して、必要な金額だけをチャージするようにしよう。駐輪場や飲み物のためにチャージ金額を使わないようにする。
食料品も考えて買わないといけないな。備蓄、買い置き、予備なんて考え方は今はしない方がよさそうだ。っていうか、そもそも年末年始休みに外出しなくていいように買い込んだものがあるはずだから、まずはその確認だ。
私はさっそくこれらに取り掛かった。
電車の乗車賃は、少なくとも3月末までは変動しないだろう。この時点で次々に物価が高騰し始めていたが、電車賃についてはその話を聞いていない。調べた金額をチャージする。
もちろんこれだけの作業でも何も考えていないわけではない。
私の現在の居住地には駅が二か所ある。比較的近くにある私鉄、ちょっと遠い国鉄(JR)。ラジオについてもボイトレについても、この国鉄側の駅を使った方が安く上がる。また、チャージする際には私鉄の駅で行うと10円単位という細かい額で可能だった。出来るだけ余計に払いすぎないように、チャージは私鉄の駅、乗るときは国鉄の駅と使い分けを実施した。
次に食料品。幸か不幸か、家族から米が届いているので当面は米には困らない。(「(私)福岡のお米が食べたいですね、小学生のときには給食で出てたんですよ」「(おやじ)分かった!」で、届いた北海道のお米。おいしいよ!)なぜかもち麦も一緒に入っていたので、これも頂く。
そして案の定、乾麺の蕎麦とパスタを発掘。パスタソースも余分にある。ワクチン接種の副作用に備えたのに使わなかったレトルト食品もあるし、冷凍食材も手つかずのものがある。
まずはこれらを綺麗に使い切ることから考えよう。
これもまた幸いにして、私は料理が苦ではない。また、好き嫌いも特にないしアレルギーもないので割となんでも食べられる。しかし楽しいかというとそれは別の話で、休日には特に昼食には好きなものを買ってきて食べることをしてきてしまった。これを廃止する。蕎麦とパスタを食べればいいじゃない!!
この時の私は、とにかく今の自分の状況を把握することを優先した。自分の手持ちのカードでサバイバルするのだ。何がある? 何が足りない? 己を知れ。
誰かに教えてもらったわけではない。今までの経験がそうさせた。自己破産だとか、生活保護だとか、そういう経験がここで活躍するとは。
だがそういう経験が今の状況を引き起こしているとも言えなくもない。手放しに「自分スゴイ!」と言えるような余裕は、少なくともなかった。
カバー写真:pixaboy
撮影者:Leslin_Liu