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ラジオ活動は少なくとも私の人生を一つ終わらせた
※ネガティヴな記事になります。ご気分を害してしまう可能性がありますので、以下を連想する内容は見たくないという場合はこの記事の閲覧をお止めになることをお勧めします。
「合意なし」「異性からの接触」「嫌悪」
※なお、この記事ではそのときの状況について深掘りすることはないのでこの点につきましてもご了承いただきますようお願いいたします。
あっ。
それはそれは本当に、単調にしてシンプルな結論だった。
ああ……。
言葉にならない嗚咽のような感嘆が、ただただ頭の中でだけふんわりと儚く消えた。
何事も始まったなら終わるときがくる。迎えたならば送るときがくる。しかしまさか、そんな。やりたいと思って続けていたラジオが、こんな理由で唐突に終わりを迎えるなんて思わなかった。
「わたし、こまえは! ラジオを卒業します!!!」
みたいなことをやるなんて、そんなのちっとも思っていなかった。もしかしたら難病に罹ってしまって碌な挨拶も出来ないで終わるのかもしれないとは思った。もしかしたら突然、あっけなくあの世へ旅立つ時を迎えてしまって、これまた挨拶もしないで終わることがあるかもしれないとも思った。
でもこんな終わり方は想像してなかった。
ボイストレーニングも止めないといけない。私のせいだ。お金を大切にしなかったから、お金にしか用事がないような人たちに持っていかれてしまったから。
好きなことをやる権利も失ったんだ。生活する権利を失った。許可されたのは最低限、生きることだけだ。
生きるのに最低限の食べ物と、水と電気とガス。衣類の贅沢はもちろん、飾るための化粧なんてもってのほか。医療については『一応』、国の建前と大義名分があるから無料で受けられるものの、居心地の良いものではなかった。こんな理由で国民が死んだとあっては、面倒なだけなのである。
とはいえ、たった一人の命では国にとって大したことはないだろう。やろうと思えばなんだって出来るだろうし。ましてこちらは名もなき者だ。日本国籍を持っているというだけでは、なんの特別性もない。
「あはは」
なにも知らなかった中学の時分、『休憩所』に連れていかれた。20代には逃げ場もない、帰れもしないし、助けも呼べないようなところに連れていかれ、「話が違う」なんて言う前にコトが始まった。拒否したら今頃、私の血肉は海に生きるものたちによって消費されたかもしれない。
なあ、おい、お前だよ。生きている間も、死んだあともきっとラクにはさせねえからな。
でも、そのためには手放さないといけない。
「最後みたいです。続けられません」
当時お世話になっていた、ラジオの収録とスタジオの管理をされていた方にそう伝えた。きょとん、としたその顔を少し、そしてとにかく座りなさいと着席を促した。
私から見れば、その人もわざとらしく大きな括りをすれば『同じ』だったのだが、嘘を言っても真を言っても何も変わらないと思った。だから話した。
「わかった」
その人は事情を一通り聞いた後、やや考える間を置いた。私も明るい話題を振ることが出来ず何も言わなかった。
「じゃあ、お疲れ様!」
他人の不幸は笑い話になる。こっちだって悲劇のプリマを演じたいわけじゃあないが、この人はラジオのスタジオを管理している人だ。この人について行く人は、今後私のいないところで私の滑落ぶりを知った彼ら彼女らは、二の轍を踏まぬように笑顔でそれらを飛び超えて行くことだろう。
そうはならなかった。
結果的に私は、この人に三回も救われた。
くだらない話だろうか。もし「人生において無駄なことなどない」などということが言えるのなら、私はそれを何らかの形で証明した方がよさそうだ。
そうじゃなきゃあ、私はいつだって線を越えることが出来る気がする。
インターネットは使いようだから。