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劇団12ミニッツ『×××になれなくて』観劇

劇団12ミニッツ
『×××になれなくて』観劇。


2024.10.20 夜公演
千秋楽でした。




感想を書こうと思ったのですが、観劇後、海外に旅立ってしまったためかなり乗り遅れてしまって。



海外では大谷の「お」の字も聞かずでのんびりできました。

帰りの飛行機で、機内から降りて右足を床につけ顔をあげた瞬間目の前にでっかい大谷の広告があったときは「日本に戻ってきたなぁ」と笑っちゃいましたけども。



さっ


ということで




初めましての「劇団12ミニッツ」さん。

劇団INTRODUCTION(公式HPより)


↑とのことで、ひたすらこの作品を再演し続けているらしいのですが、

良い舞台でした。


これはひたすら再演し続けていただいても構わない。




キャストの皆さんもほぼ初めての方ばかりでしたが、

前々からどこかで観たいと思っていた人たちがちょうど沢山集結していてなんかすごいありがたいというかなんというか。




ありがたいですね。

(言葉を探した結果、ありがたかったらしい)




ではここからネタバレします。

前述の通り劇団12ミニッツはこの作品をひたすら再演してくれるそうなので、ぜひこの感想を読まずに観てください。


それではさようなら、また会う日まで









物語は『12MINUTES』というK-POPグループの4人が配信用にダンスレクチャー動画を撮影しているシーンから始まる。


青の飯窪さんは存じていたが、他のメンバーもかわいい。



紫めっちゃかわいい。


こんなにかわいくなくても観に来ますよあたしゃ、、
やりすぎやりすぎ


と言いたくなるほどに。




"画質が違う可愛さ"


演出の木乃江さんがこのソラ(紫)に向けて言った言葉ですが

悔しいほどしっくりきた。
これ以上ない表現。俺がここで初めて言いたかった。



でも推すなら緑の人が良さそう。
(でも推すなら緑の人が良さそうなんかい)


でもでも特典会に行ってなんか合わないかもとなるなきっと。バリアが厚くて薄い話に終始してなんだかんだで最終的には好きなものが似てたり考え方の似ている青推しになる未来が見える。うん。でも真面目そうで面白みないかな。そもそも主役苦手なんだよな。いやーむずいむずい。

と、

実際にこのグループは存在していないのに何を言っているのでしょうこの人は。

MJ。

無駄な時間。



そんなどうでもいいことを思いながら前から2列目でふわっとステージを見上げながら見ていた。



いやー


それにしても


ピンク(赤)がめちゃくちゃこっち(客席)見てくるなぁ。

見過ぎだなぁ。



自分の目の前にいるときにこっちを見られてもしその時に自分が他のところを見てたら申し訳ねぇと思いついついピンク(赤)を見てしまう。ずる。これはずる。優しいオタク心を利用している。まったく。この人の策略にハマってしまってなるものか。などなど。





キャラクターだけでいえば、この4人の時点でもわりとバランスのとれたグループだったように思う。


思うが、元気印的な人は足りない気もするので、「4人を5人にしたかった」という人数の理由以外にもグループのバランスとして黄色(ナミ)が入ってちょうどよかった。


エンディングのパフォーマンスを見てもそれは明らかだ。





振り返って

この最初のワンシーン。


踊っていただけとも言えるダンスシーンだが、キャラクター性、人柄がかなりにじみ出ていてすごかったし、良いシーンだったと、見終わってそう思う。


リア(緑)のパフォーマンスは自信をもっていて、ジュリと2大看板のような形にちゃんと見えたし、エースの自覚を感じた。


ソラ(紫)はパフォーマンスを見ながら「いや、そうかと(リアとジュリが引っ張っているかと)思いきやこの子がすごくない?」と思わされていたし、リアに隠れて自分が一番うまく立ち回っている感もパフォーマンスから感じた。ここで感じた”この感じ”は結果的に正しかったということに。



ハナ(赤)は、他のメンバーのキラキラ感、それぞれの才能に対抗するための自分の武器を自分で認識できていた。
後にメンバーから『一般人』と表現されてしまうが、確かにそう、ハナは確実に一般人なのだけどそれはアイドルとして別にあって良い要素の一つでもあるというのもまた事実。
物語の後半で、自分の中で”一般人”であることと向き合えていなかったようにも見えたがそんなことはない気がした。他の3人とは違うことをわかっていた。その上で12ミニッツにとって必要であろうとしたし、少なくとも必要ではあった。売れるまでに自分の能力値を間に合わせようとがんばってもいた。
そういった諸々を最初のパフォーマンスだけで表現できていた。そういう意味でちょなんまいはすごかった。

「一般人」というのはとても酷い言葉のように思うが、当然ながらちょなんまいに対してではなくハナの話をしているので以降もこのブログでこの発言が出てくるが間違わずに読んで欲しい。




ジュリは、真面目ゆえにそこまで印象に残るパフォーマンスではなかったか。

キャストの飯窪さん自体はこの中で唯一Xアカウントもフォローしていて、いつか舞台上で見たいと思っていた人なので、いわば念願の飯窪春菜。そこまで印象に残らない方が難しいが、飯窪さんではなくジュリだったからこそ、このシーンであまりインパクトがないというのは物語とリンクしていたようにも思う。


この最初のシーンはよく出来ていた。





話の展開もとてもよかった。


なんか想像と違う展開ながら想像通りでもあって、シンプルであり複雑だった。


(↑なんか言ってるようで何を言っているかさっぱりわからない感想だ。)




全シーンとても納得感があったし、
言っている事がその通りだった。


出てきた数々の、ド直球で厳しい言葉も、なんかスッと入ってきた。

厳しい言葉もめちゃくちゃ合っていたらそれは愛情に思えて来るのかもしれない。

みんなが集まって本当の気持ちをぶつけあった、あのシチュエーションでのあの言い合いは単に感情的になった喧嘩というよりは、前向きな言葉たちで前向きな話し合いだったように思えた。


言い合いによって崩れていくのではなく、新たなものが作られていく感じがした。



常に冷静で(あまり)嘘をつかないので冷たいようにも思える社長が、実際は大きな愛情と強い野心や責任感いろんなものを持っていてこの物語を大きく優しく包んでいた。

社長すばらしい。


演じた櫻井さんの声質とビジュアルの良さも大きい。
社長のこれまでの経験に基づいた大きな度量を感じた。



ジュリがナミをイジメていたというのも、

なんらか事情があった、もしくはイジメさせられていたなどがあるのだろうと思ったら、ジュリが追い込まれていた事情はあったもののまぁまぁ普通にイジメていたのもよかったし


動画を端末に残していた理由もとても理解できるものだった。




ソラが才能溢れている話も、
『いやぁそうなんだよなぁ。ソラは抜群なんだよな。』となったし、



リアに「ジュリならこの曲の凄さがわかるだろ?」と言われて、
ジュリが「(いや全然わからん)」と思いながら言えなかったところも、地味に良いシーンだったと思う。



こういうシチュエーションは生きてるとたまにある。

まぁこれに関してはわからん自分が人間として劣っているというわけでもないことが多いのであまり気にすることはない。状況によるが。



ハナに「おまえは一般人なんだよ」とハッキリ言うソラに対して、俺も『そうなんだよなぁ、ハナは一般人なんだよなぁ。』と深く共感してしまったし、「ハナ?黙って。(おまえは一般人なんだから)」という事を呆れながらなだめるように言うリアはあまりにも酷すぎて全然笑えなかった。それが良かった。




ジュリのスマホから動画を抜いてファングループに流したのは、絶対ハナだと思った。


ナミはまずありえないし、リアを疑い、ソラを疑うという流れまで想定内。
ここが怪しいと思わせてのハナで確定。これやろ。と最初から思っていた。



ナミが「私がやりました」ってスマホからデータを抜いた犯人だと名乗り出た時は『絶対違う。あんたがそんなことするわけない。』と思っていて


そのあと社長との会話で

社長「あなたじゃないでしょ?」
ナミ「せやねん、ワシちゃうねんよーわかったな」

ゆーて


俺『ほら、そうでしょー。ぜーったいハナ。リアやソラじゃ普通過ぎてないし、もう絶対ハナ。あーいうみんな仲良くしようみたいな人が一番怪しいのよ。もうハナ確定。最初から思っててん俺。』


ナミ「(中略)ですよね、ユナさん。」


俺『そうそう。ほらやっぱり、ね?』

俺『あーいう「みんな仲良くしよ?」みたいなやつが一番ヤバいのよ。「フフッ、笑える」ってサイコ。モブサイコ。モブサイコおもしろい。ワンパンマンも好き。となりのヤングジャンプで無料で読めるの知らず単行本買ってた。』






俺『ユ、ユユユ、ユナ!!!???』



となりましたねー。うんうん。

あらあらタテウチさんでしたか。と。
こりゃまいったね。と。


たしかにそうかそうか。と。

シクレブを履いているのはわかっていたけど、
普通にスーツ姿と合っていたし特に気にならず。

そんなに高いシクレブでしたか。



踊っていたシーンも、まぁなんかそんなこともあるし。

マネージャーがアーティストのいないとこで踊っちゃうくらいあるあるだし。



でも、いろいろとなるほど。と。



シークレットブーツ通称シクレブを抜いだユナは本当にちっちゃくて。
めっっちゃ背が低かった。


(シクレブ伝わる自信なくて結局説明するならやめときゃいいのに)



群を抜いて小さい姿で、社長とナミに挟まれて感情むき出しにするシーン。


よかった。
とてもよかった。


これまで舘内美穂さんがちっこい事に関しては、
ちっこくてかわいくて声が低い生き物としか捉えてなかったが、

たしかにおっしゃる通り。

(声が低いことは今関係ない)




ユナの主張を聞いてもなお、
ユナの行動には何も同情する気持ちは沸いて来なかったが、
言っている事には共感というか、たしかにそうだねとなった。


でもまぁ


しゃーないやん。というか。
そういうの込みで人生というものはいいんじゃないでしょうかとは思うのですが。


やれることより、できないことがはっきりした方が、
自分の未来の選択肢が減るのは良い事でもあるとも思ってしまうけど。


小さい頃から強い夢があった(珍しい)人たちにとっては身長はどこで止まるかわからないし、悔しい思いをしやすい夢な面はあるでしょう。


しゃーないなんてことはわかっていて、だから諦めてそれでもエンタメの世界に別の形で関わっていたわけでね。


ユナも初めから壊すために内部に入ったわけじゃないんだろうから。




自分が演者に対しての気持ちが強いからこそ、
(ユナからしたら)しょうもない事ばっか言ってごちゃごちゃほざいている恵まれた12ミニッツのメンバーたちの事を良く思えなかったのはわかります。


このグループに、
このメンバーに、
愛と信用があれば


「恵まれてるオマエらがふざけんなよ」ともっと以前に言えたのだろうけど、指導できたのだろうけど。


そうではなくユナの中のパワーは「動画をファンコミュニティに流出させる」というあの形になったわけですが、


メンバーに、または社長に、てめぇら調子こくなよと言ってあげる事はいろんなことが許さなかったんでしょう。



後任のハナは、適任かどうかは怪しいけど、
別のグループのマネージャの方がやりやすいのではとは思いながらまぁ。


最後にユナと会話した後の「笑える」は非常によかったです。



ハナがユナに「ユナならこの後の人生も大丈夫やで」と語るシーンで、ユナが「ごめんけど、おまえに言われてもなんも響かないわ」みたいなことを言うんだけど


ハナが一通り話終わった後で、俺も『うん。ごめんけど君が今何を言ってもユナには伝わらないよ。』と心でつぶやいたあとにユナが↑を言っているという流れだったのでそういう意味でもやっぱりよくできたお話でとても納得できるお話だった。


あの時ハナが言ってたなと、
いつか響くこともない。

かなしい。


後続の「普通になれなくて」の方でありそうですが。


「普通になれなくて」にバツなれから1人出るとなって、シンプルに考えたら?ユナだったのですが、告知なく見られず残念という思いと、海外に行く予定だったしそもそも日程として見れないから仕方なしという思いと、誰が出るかわからない事でキャストの誰かのファンの心理を集客に繋げようとしてたらなんか嫌だという思いといろいろ湧いてきますがとりあえず見てない作品のパンフレットまでついて3500円だったのは見てない方のパンフ無しで少し安くならんかったかという気持ちはどうしても出て来ちゃうところはありますという話をここで成仏。



ハナはこの舞台においてとても重要で良い役でした。





ナミが冒頭オーディションを受けてユナから終了宣告を受けた後も帰らず、もう実質落ちているのにその去り際に「明日からどうやって生きていこうかな…」とボソッと言い残すシーンは、シンプルに『なんだこいつ。そういうのは誰もいなくなってから言えよ。落としたこっちが悪いみたいに聞こえるぞ。はよ帰れ。』と思ってしまったんですが


このセリフは最後までつながる言葉なので必要という。



ナミ役の長月さんは、長月さんとしてとても気持ちの良い人でした。
千秋楽のカーテンコールの挨拶もなんかよかったし、最後のパフォーマンスもすごい客席を見て盛り上げていて、イメージとしてなぜかクール系の感じを想定していたので、こんな感じかーと。

良くも悪くもストレートで。





オタクの方々の話でいうと、


アイに関しては、

友達が大好きな人のたかがウワサ話をその友達に向かって事実かのように話せてしまうことも、言う事を愛情だと勘違いしているのも、とにかく気持ちが悪かったし

スキャンダルで芸能界から突然推しが消えて悲しんでいる友達のために(自分のために)制裁を与えるとしてジュリに謝れと危害を加えようとしたこともかなりヤバくて


自分がやばすぎておかしいのに、全ての出来事を人のせいジュリのせいにして、友達に謝るとかではなく行動も思考も気持ちが悪いなと思ってしまったけど

「ミナは私のアイドルなんだ」という言葉でなんだかいろいろと『ふむ』とはなった。



でもやはり「火のないところに煙は立たない」という言葉を軽々しく他人に使えて平気で人を傷つけられる人間とは本当に関わりたくない。(今回はたまたまジュリは本当だったが)



ミナは、”特定のコアファンだけが入るオタクLINEグループ”というこの世に存在する中でもトップレベルで苦手なものに関わっていて俺とは絶対に合わないタイプのオタクで、こちらはこちらで距離をとって関わりたい人ではあるのだけど


アイから酷い事を言われ続けても最初の方は受け流して、途中でいい加減ブチギレるわけだけど、ブチギレるラインがよく、さすがにキレて良いというちょうど良いところで友達と縁を切っていてこちらもとても納得できてよかった。




ミナから「これからも応援しています」というような事を言われて、それで死にたくなったジュリの気持ちもとても理解できる。


非難される何百倍も効く。





パンフレットからリアとナミのメンバーカラーが逆になっていたけど、逆で大正解だった。



みんなキャストの方々も実際いろいろあったでしょう。

その方々がこの舞台の世界を生きるというのも、また一つ意味があって良いのではないでしょうか。


あの時があったから今の成長した自分がいるというのは、事実である反面、あの時いろいろあった人たちの前で言う事はできない事ですが、


まぁ何があっても自分で死ぬようなことはないですよ。


新たな環境で生まれ変わった自分で生きていけば。




カーテンコールで飯窪さんが「関係者の方を舞台に誘った際に女性だけの演劇は観ないと断られて悔しい思いをした」というような話をしていて、


「女性だけだから」というのは理解できないので↑の関係者の方とは別の話だけど、行きたくない舞台が存在する事に関しては少し共感する。



このキャストが出ていたらあのゲラすぎるお客さんが来るから避けたいとか、特典会目当てのお客さんしかいないのが目に見えている舞台は、舞台中私語したり寝てたりマナーの悪いリピーターしかいないから行かないとか。


舞台を観る上で、脚本、キャスト以外にも、会場、価格いろいろな要素があって観劇するという選択に繋がるなとは思いました。






×××になれなくて


とにかく最初から最後まで集中して見れた。


良いお話だったし、結構なペースで刺さる言葉もあって、キャストの方々のビジュアルも演技も良くて、ダレる瞬間は一度もなかった。



特に社長が良かった。


お顔もとてもお綺麗で、オシャレで、誰もが憧れるオーラもあった。

「どうにもならない問題にぶつかった」「自分というものを理解して違う道を選択した」ところから、強く生きてきた姿をしていた。



櫻井麻七さんがはっとりのところのマカロニえんぴつさんの超有名曲のMVに出ていたと知って、あらためてMVを見たけどそちらもとてもよかった。

関係ないけども。



(はっとり呼び捨てでグループ名にさん付けは普通逆なのよ)





舘内美穂さんの5年ぶりの舞台。

すべてのキャストにスポットが当たった今回の舞台の中でも、
とても重要な大きな役で、その小さな姿はとても大きく。

感情的になるシーンの迫力は2週間以上経った今もなお目の前に思い浮かべられるほど焼き付いている。


メンバーとの距離の近いタイプの良きマネージャーから、物語の重要な黒幕まで。

素晴らしかった。


この方もまたきっといろんな経験を経て、今ここにいて。

「舘内美穂が出ると決めた舞台だからおもしろいんだろうな」と思ってチケットを予約できる。

そして実際におもしろかった。


見る前から信用してそう思えるのはこれまで観てきたものの積み重ねだなと。



12MINUTESの5人のこれからも楽しみです。

特にジュリがどんな一歩を踏み出すのか。




12月のm sel. 「only」は再演で、間違いなく良い舞台だし楽しみ。


今回はダブルキャストだけど、裕菜さんのいるonly見たいし音チームかなぁ。

荒牧さんもいるし、まゆおと共演してた木下桜さんもその降臨なんちゃらではかなり良かったし、全然知らない方々のやる新たな琴チームか、絵が見える音チームか。


楽しみだ。




ということで、舞台終演後2週間が経ち、
季節外れの感想文。


誰が読んでくれたかわからないですが、長々と有難う御座いました。


とても刺さる良い言葉たちがあって、
良いキャストの方々を知ることができて、
観れて良かった舞台でした。




ではまた


じゃあの



(大谷)



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