遠野妖物語13

かしんかしん。それは神経が一本一本と身体から伸びゆきて山の気と結び合う刹那、乙爺の中で響いた調べだった。繋がるごとに清冽な流れに洗われ、不日その一部となっていた。乙爺は今も峠に開いた小屋で赤い半纏を着て甘酒を売り、夜となれば山人と盃を重ね心ゆくまで踊っている。

原文:柳田国男『遠野物語』十三 http://www.aozora.gr.jp/cards/001566/files/52504_49667.html

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