何をしてでもシノビガミで勝ちたい話『シノビガミ 心無き者』
序文
2020年末ごろ。
友達のペルズミさんが「忍術バトルRPGシノビガミでタイマンの対人シナリオやりませんか」ともちかけてきた。
ほう? 「忍術バトルRPGシノビガミ」でタイマンとな。
シノビガミを遊んだのは一回きり。
ココロストというこれもまたタイマンで、右も左もわからねえ私は苦心しながらも無難な比良坂の男を組んで場に出した。対戦相手のひさせさんはシノビガミを熟知しているらしく、よく分からん背景というのを使い、命中判定と回避判定のダイスを3つも振るよく分からん滅茶苦茶強すぎ忍法を使って私をハチャメチャに追い詰めた。なんか勝ったけど。
それ以来、シノビガミが恐ろしいのである!
めっちゃ恐ろしい!!だって怖くない? ぼーっとしてたら命中と回避のダイス3つも振ってきたんだけど!? 3つやぞ!? このゲーム膨大なデータを読み込んでクソ強忍法を導き出さないと勝てないやつだ! やだ! 勝てないのはやだ!! 勝てない勝負はぜーったいやりたくないよお~~~~~「やる」と答えました。勝つので。
対戦相手はムクチャン。「Dead or AliCe」の作者Bで、イラスト、プログラミング、データ作成、世界観解説、炊事、洗濯、掃除、買出し、なんかその辺全部を担当するいきものだ。Card Wirthで召喚術師一人旅をしてたと言えば、分かる人もいるかもしれない。
こいつがまた頭の切れるやつで、データの読み込みが滅法早い。変な技の組み合わせでGMを困らせるのが大の得意だ。互いにシノビガミ経験数は数年前に1回きりで、ほとんどルールも曖昧な状態。となると、読み込みの早いムクチャンの方が圧倒的に有利だ。オッズの差は目に見えている。
でもそれでも勝ちたい!
絶ッッッッ対勝ちたい!!!
どんな卑怯をしてでも!!!!!!!!!
このうた、対人歴は浅い。というか基本的にやらない。はるか昔、同級生間のポケモン勝負でエルレイドに3タテされていっぱい泣いちゃったことがあるからだ。負けた悔しさは震えるほどだけど、それをバネに成長する気概もない。実力の差に絶望しては横たわるばかり。
ただまあ、久々にお誘いを頂いたし、親しい人たちとの間でなら戦うのも悪くないかなと思ったりして。負けたらたぶん泣くけど大丈夫。全力と卑怯を尽くして勝つので。
オリジナルシナリオ「心無き者」
早速、いつからか存在していた謎のDiscordサーバー「地獄」を再利用し、話し合いが始まった。
早々に勝ちを主張するため、私は勝者、ムクチャンはWinnerというニックネームと化した。更に勝者うた、話し合いの前に過去の勝敗歴を提示し、ムクチャンの士気を下げていく。
さて、ペルズミさんのシナリオ「心無き者」がどういうお話なのかというと……
六大神器の一つ、禍魂。そのチカラは『死者の復活』。
至極分かりやすいその奇跡は、当然、求める者が後を絶たない。その分かたれた欠片だけでも、争奪戦の中で、蘇らせた以上の犠牲者を生み出してきたことだろう。
その日もまた、人が死んだ。
それは大勢の中の一人。けれど、彼らからすれば――
奪い合うは禍魂の欠片。刃を交わすは昨日の輩。
愛しい人を眠らせよう。呪いを終わらせる為に。
愛しい人を蘇らせよう。その微笑みを見る為に。
――忍よ、心を殺せ。
【PC1】
あなたはイズモと共に禍魂の欠片が悪用されんとする事件に挑み、戦いの中で彼女を失った。
イズモとは親しい仲だった。それ故に分かる。彼女は不完全な復活など望まないし、その過程でPC2に罪を負わせることを拒むだろう。PC2の凶行は、自分が止めなくてはならない。
あなたの使命は【PC2を止めること】である。
【PC2】
あなたは禍魂の欠片が悪用されんとする事件に、全てが終わった直後に駆け付けた。
イズモとは親しい仲だった。彼女を蘇らせることが出来るなら、有象無象の命など惜しくはない。例え不完全な復活であっても、ずっと面倒を見ればいいのだ。
あなたの使命は【NPCを復活させる】ことである。
というあらすじ。
ははぁ~!
何を犠牲にしてでもあの人を蘇らせてみせる!それだけはさせない!そういうシナリオ! わかりやすく燃えるやん。みんなやりたいよね、死者蘇生。
背景をバッチリ把握したので次はハンドアウトの取り合い。
何を犠牲にしてでも勝ちたい私と何を犠牲にしてでもあの人を蘇らせたいPC2の気が合いすぎるものの、ちょうど別の卓で何を犠牲にしてでもあの人(略)キャラクターを動かしたばかりだったため、魂を引きずらないようにPC1を希望。そのまま通り、私は阻止する側と化した。
ラブコメをやろう
このシナリオ、ざっと読む限りNPCのイズモとPCの関係が大事そう。これだけで見栄えがガラリと変わるため、うちよそ建築家の腕前が問われる。
というわけでお次はPC1・PC2・イズモ、三者の関係をどう設定するかの話し合いが始まる。
トントン拍子にことが運び、うたPCとイズモは双子の姉妹。両方ともムクPC(男)に想いを寄せており、ムクPCは紆余曲折難聴引きのばしの末最終話手前でイズモを選ぶ――というラブコメ地獄関係図が完成した。つまりイズモはメインヒロイン、うたPCは当て馬である。イズモ死んじゃうけど。
忍の勝負に勝っても負けても恋は絶対報われない当て馬。うた社が頻繁に納品する製品(キャラクター)は主に「もの分かりの良い(良くならざるを得なかった)子」なので、当て馬との相性は抜群。ラブコメの当て馬にばかり入れ込んでは敗北してきた過去もあるからもう負ける気はしない。
やんぞ当て馬!! 当て馬美少女でてめえを倒す!!!!!
絶対勝つ話2に続く。