気象データを用いた需要予測で,モノのロスを減らす
こんにちは!お天気愛好会所属の法政大学経済学部3年,伊藤です。
1年振りの投稿となってしまいましたが、これからは順次更新していけたらと思います!
さて今回のテーマはズバリ!タイトルにもある通り,気象データを用いた需要予測でモノのロスを減らそうという取り組みについて,お話ししていきます。
初めに,皆さんSDGsという言葉を聞いたことがありますか?
最近は学校や,メディアなどでも積極的に取り上げられているため,なんとなく知っていますなんて方が多いのではないでしょうか。
簡単に説明すると,SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)とは2015年から2030年までに17個の目標を達成することで,地球を守り住みやすくしていこうという取り組みのことです。
この17個の目標の中の12番目の目標に,「つくる責任 つかう責任」というのがあります。
これまでの世界(主に先進国で)は大量生産,大量消費といった暮らしがあたりまえでした。しかし大量に生産した食料が消費を上回ってしまう事態が先進国を中心に発生しています。実際に2011年の世界の食料廃棄の状況として,13億トンの食料が無駄に廃棄されていると言うデータがFAO(国連食料農業機関)から発表されています。地球の資源が有限である以上それでは最終的に資源が枯れてしまい,地球に住めないといった状態におちいってしまいます。
そこで,生産者(つくる側)には,「環境や資源を守りながら少ない資源でより質の高いものを生み出す生産方法の確立と生産工程でのエネルギー消費や廃棄物の発生の抑制」が求められ,消費者(つかう側)には,「ふだんから余分に購入し過ぎない、食材などはできるだけ使い切る,調理されたものはできるだけ残さないことなどを意識した生活の実践」が求められています。
ここで生産者と消費者との間に,「廃棄物を減らす」という共通テーマが確認できます。
この「廃棄物を減らす」ために,気象データを用いた活動が今さまざまな会社で行われているのです。
では,気象データを用いることでどのように「モノのロス」を減らすことができるのでしょうか?
例えば,日本気象協会で行なっている商品需要予測コンサルティング,通称「eco×ロジ」では,「高精度のデータとPOS(販売データ)などのビッグデータを、AIなどの最新技術を使い解析することで、未来に必要なモノの量を予測する「商品需要予測」サービスの提供を行っています。」(日本気象協会)
具体的には,気象条件と商品売り上げの相関を見える化し,どのような商品が気象の影響を受けるのか関係性を調査したり,商品別の需要予測モデルを作成し,解析に必要なデータの収集・整理を行い,解析・需要予測モデルの構築を行なったりして,製造計画や人員アテンドの調整,出荷量調整,販売計画,地域配分調整などの最適化に使用することで,今まで発生していた余計な在庫を抑えモノのロスを減らすことに加え,在庫不足の解消や,その日に出席する社員のシフト調整などに活用しています。
また他に気象データを活用している例として,株式会社ROXがAIによる来店客数動向予測を行なっています。
このAIは,気象データを重視しつつ予測したい過去のデータを用いることで,当日から45日先までの日々の客数を予測することができ、これにより,商品の作りすぎが減り食品ロスを55%減少させることができます。(株式会社ROXより)
このように,気象データを用いて需要を予測しようという動きが,民間気象会社やコンサルティング会社などで広まっており,またそれらの機能を取り入れて売り上げをある程度予測した上で,食品のロスや計画の最適化を行うといった動きが食品関係や飲食関係などを中心にじわじわと広まってきています。
しかし課題として,認知度や実績などの問題から,まだまだこれら活動を取り入れている会社や企業は現状あまり多くはないと個人的に感じています。
同時に,結果的に地球の環境保全につながるのではないかと僕は考えています。そのためには,このような活動があるのだということが認識されることがまずは重要だと思います。
この記事を読んでくださった方々の一人でも多くこの活動が伝わり,よりこの分野が発展していくことを切に願います。
引用文献・参考文献
株式会社ROX, “来店来客数予測AI-Hawk-の活用で食品ロスや人件費を削減”2022
https://www.rox-jp.com/ai-hawk, (参照-2022-8-8)
消費者庁消費者政策課, “食品ロス削減関係参考資料” 2017
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/efforts/pdf/efforts_180628_0001.pdf, (参照-2022-8-15)
日本気象協会, “商品需要予測コンサルティング eco×ロジ”, 2021
https://www.jwa.or.jp/service/weather-and-data/weather-and-data-01/,(参照 2022-8-7)
日本ユニセフ協会,“SDGsってなんだろう?“, 2022
https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/about/#:~:text=2030%E5%B9%B4%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AB%E9%81%94%E6%88%90%E3%81%99%E3%81%B9%E3%81%8D%E5%85%B7%E4%BD%93%E7%9A%84%E3%81%AA,%E7%B6%9A%E3%81%91%E3%82%89%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%80%81%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82,(参照 2022-8-7)
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