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東大空手部によるALESA/ALESSの倒し方

ALESA……、そしてALESS……

Googleで検索しようとすると予想変換には「ALESA 再履修」「ALESS つらい」が表示され、検索結果にはネガティヴなワードがズラズラと…。Twitterで検索をすると過去の東大生の嘆きや、「ALESSという敵に打ち勝った!」などと、さもRPGでラスボスを倒した勇者のような雰囲気のツイート、そしてそれらにつく大量のファボや「お疲れ様です!」のリプを見かけることでしょう。

とにかく新入生に不安しか与えないALESAとALESS。
今回、一体こいつらはなんなのか、如何にしてこいつらを乗り切ればいいのかについて、東大空手部メンバーによるアドバイスを交えつつ解説していきたいと思います。


1.「ALESA」「ALESS」ってなんぞや

まず「ALESA」「ALESS」ってなんでしょうかね。

「アレサ」「アレス」って書くとなんか欧米風のキャラクターみたいですね笑笑。いざという時に助けに来てくれるヒーロー的なポジション、仕事以外の話はしない、普段は無口なクールキャラ、とか。

……初っ端から妄想ワールド全開ですみません。真面目に話します。

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「一年生のためのアカデミック・ライティング・コース
 ALESS (Active Learning of English for Science Students)
 ALESA (Active Learning of English for Students of the Arts)」

と東大のHPにはあります。

なんか強そうですし、かっこいいですね! すごい! さすが東大!

……………。

「アカデミック・ライティング」「Active Learning」とあるように、「ALESA」「ALESS」が主眼に置いているのは、「将来、研究論文を書いて発表するとなった時に必要となるスキル(論文の書き方や研究・発表の段取り)を、後々困らないよう、1年生の時点で実践的に教えておく」ということです。

今の時代、文理問わず、研究するとなれば日本だけでの情報や活動では不十分な可能性が高いですよね。研究者たる者、常に最先端の情報を得て、過去の情報を精査し、新たな研究をして発見をしなければならない。自分がした発見はすぐに世界中で共有、人類の発展のために、そして次なる発見のために使ってもらう…。

そういうサイクルがある中でかなり困る事態は

・論文の形式がバラバラで、知りたい情報がどこにあるのか不明 or  検証しにくい

・論文の盗難や捏造

が起きた場合です。

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過去に「STAP細胞はあります!!」というフレーズが世間を賑わせたことから2つ目については想像しやすいでしょうか。1つ目についても、論文内容を検証したり、引用する側からしたら迷惑ですよね。

この2点を解消すべく、研究者の世界には規則が存在します。それを遵守しなければ君がした研究は研究とは認められないよ、っていうものです。それを教えてくれるのが「ALESA」「ALESS」なんですね。


…と、ここで「別に自分は研究者になりたいわけじゃないし、そんなの学ぶ必要ないよ」って言いたい方がいると思います。

気持ちは分かります。
しかし東大には、進振り制度があることがそれを暗示しているかのように、1・2年生の間にやりたいことや将来進みたい道が変わる学生は大勢います。後々になって「研究者の道に進もうかな」と思ったが、規則が分からないとどうなるか。研究はある種、時間との勝負です。発見は早い者勝ち。いちいち規則を教えてくれる時間のある優しい方がいるとは限りません。逆に、規則を教えないであなたの研究を妨害しようとする人もいるかもしれませんね。

「ALESA」「ALESS」はそういう可能性を未然に防いでくれているんです。面倒に思う気持ちは分からなくはないですが、少しの間、我慢して乗り切ってください(^^;)


(最近のポスドク問題から研究者に対してネガティブな印象が持たれている可能性を考えれば、もしかしたら「ALESA」「ALESS」には、研究活動って楽しいよ!、っていうことを伝える目的もあるかもしれませんね)


2.「ALESA」「ALESS」の中身

じゃあその「ALESA」「ALESS」って何やるんですかね。

主眼が研究・論文スキルの伝授ってところにあるところからして、内容が学生研究みたいなものなんだろう、っていうのなんとなく分かると思います。

そうです、やるのは学生研究です。
と言っても3・4年生が研究室に配属されて行うようなレベルのものである必要はないですよ。結構手軽にできる題材で大丈夫です。

 2.1 履修とか授業スタイルとか

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(どこかで見た写真だー)
この写真中の「英語二列W」は「ALESA」「ALESS」のことを意味します。

「ALESA」「ALESS」は必修科目で1セメスター、13回ぐらいの講義を使って行われます。

15人前後の学生が1人の教員に割り当てられ、その教員の指導の下、研究を行います。ただ個人個人でやるわけでも、その15人で同じ研究をやるわけでもありません。15人の中でさらに3〜4人ぐらいから構成されるグループに分けられて、そのグループごとに1つの研究を行います。


…あ、15人っていうのはおそらく学籍番号で区切られていきます。学籍番号はクラス分けにも使われていますよね。同じクラスにいる同期は学籍番号が連続しています。つまり15人にはかなりの確率でクラスメイトが含まれます、というか全員クラスメイトっていうのもあり得ます。

注意すべきは文一・文二と理二・理三の人ですかね。この科類に所属する人たちは合同クラスになっていると思いますが、科類が異なると学籍番号が連続しないので、15人の中にクラスメイトがいるとは限らないです。特に人数の少ない理三の方がそうなるかもです。

(学籍番号、文一はJ1〜、文二はJ2〜、理二はJ5〜、理三はJ6〜となっています)

あと教員とか教室(今年はオンライン講義だからルームに入るためのURLかな?)についてですが、これは自動的に振り分けられます。英語中級の時みたいな抽選はないのでご安心を。ただUTASに載る情報は常に注意して見ておいてください。
UTASでは必修は自動的に履修登録されるので、カレンダーとか履修の欄を見ておけばどこかのタイミングで教員や教室(URL)は分かると思います)


 2.2 授業進行

どのように授業が進行するかは正直教員によりけりで、一概にこう!とはいえませんが、ざっくりとした流れはこんな感じです。

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1回目〜3回目:授業進行についてのガイダンス、参考文献の探し方の解説、ALESS LabやKWS(後で説明します)の紹介、題材決め

4回目〜10回目:実験、文献の引用や剽窃、論文構成の解説、途中から論文の各パートが提出課題となる、論文の推敲

11回目〜13回目:プレゼンのやり方解説、予行演習やスライド作成プレゼン

その後:論文完成・提出(教員によっては授業内で論文を提出させることもあります)

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題材決めについてですが、教員によってテーマを決めさせられたり、逆に自由に選んで良いとされたりする場合があります。
テーマが決まっていると興味がない場合に地獄ですが、どういう感じで進めていくかの計画はすぐに決められそうですね。一方、自由に選んでいい場合、興味があるものを扱えますが、先行研究や参考文献がないと実験や論文執筆が思い通りに進まない可能性もあります。一長一短という感じですね。

自由に決められる題材について、空手部部員のアドバイスは分かれており、「興味のあることにした方が授業が楽しくなって良い」「何ができそうかを重視すべき」「グループメンバー間で熱意の差が出ないもの」といった感じです。難しいですね。しかし、少なくとも「先行研究があるか」というのは気に留めておいた方がやりやすいかと思われます。

論文の各パートにおける課題提出について、空手部部員全員、いや、これはおそらく履修者全員に共通していると思いますが、「コツコツ毎週きちんとこなす」べきです。課題が点数に繋がるのもありますが、授業中、生徒間で課題を交換しあって添削、それを元に推敲することなどもあるので、課題が終わってないと授業中暇になります。あと英語の論文って日本語のレポートみたく書けるものではないので、後に回してもその分苦労するだけです。

それぞれの課題については教員からフィードバックが来ることもありますし、最後に論文を提出する前に、完成した原稿を教員に1度だけ見てもらえます。フィードバックを元に修正して論文提出となりますが、何か不安が残る場合はKWSなどを利用するといいでしょう。

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(課題提出はITC-LMSを使って行われたりします)

プレゼンについてですが、話すのもスライド質疑応答も全て英語になります。時間制限もあったりしますし、事前に練習はしておいて損はないでしょう。教員によっては4回目から10回目の間でも、進捗度合いを共有するためにプレゼンさせることもあるので注意して下さい。

最後に論文提出ですね。期日は定期試験前とかだったりしますが、これができていないと自動的に落単となるので注意して下さい。まぁ期日までに論文が出せないということは研究が終わらせられなかったのと同じことですからね…。ちなみに同じクラスメイトでこれをやらかした人がいました…。

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(ちゃんと提出できるとこのような画面が出ます)


3.「ALESA」「ALESS」撃破の助っ人

今年はオンライン講義ということで去年までと勝手が違うのですが、オンライン相談に対応しようと動き出しているところも既にあるため、新入生の役に立つ助っ人的存在をいくつかご紹介しておきます。

 3.1 ALESS Lab

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これはALESSを受講する理系の方の向けですね。
1号館(正門入って正面にある、時計のついた建物)の銀杏並木側+食堂に近い方の教室にあるALESS Labですが、ここでは大学院生がTA(Teaching Assistatnt)として、皆さんの実験計画立案から方針相談、実験器具貸し出し、考察の深堀りなどを議論を通して手助けしてくれます。TAは物理・化学・生物・地学の全てに対応しているため、どんな実験でも対応してくれるでしょう。ただ無闇に行くだけではダメで、ちゃんとどこをどう考え相談したいのかを決めてから行きましょう。

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今年はコロナの影響を受けてオンラインで相談を受け付けるようなので、利用したい方はWebサイトhttp://ale.c.u-tokyo.ac.jp/support/)をちょくちょく見ておくといいかもしれません。


 3.2 駒場ライターズ・スタジオ(KWS)

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21 KOMCEE East(食堂から生協の方に出て銀杏並木の方に向かおうとした時右手に見える、なんか割と新しめの建物。通称コムシー)の1階奥側にあります。ここではバイリンガル・マルチリンガルの大学院生学生の論文を添削してくれたり、実際にプレゼンするのを見て助言をくれたりします。ALESAにもALESSにも対応していますが、利用する際はWebサイトから事前に予約をする必要があります。一応予約無しの飛び込みでも大丈夫なそうですが、しっかりと対応してもらいたいならばWebサイトhttp://ale.c.u-tokyo.ac.jp/support/)から予約をしておくといいでしょう。
空手部部員からの情報によると、ここを活用してた人は点数が高いのだとか…。

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ALESS Labと同様に、ここも今年はオンラインで相談を受け付けるようなので、利用したい方はWebサイトTwitterアカウント(@UTokyo_KWS)を見ておくといいかもです。


 3.3 Pensado & ALESS Collections

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一言で言うと、過去の先輩たちの優れた論文をまとめた冊子、です。PensadoがALESAに、ALESS CollectionsがALESSに対応しています。毎年新入生がALESA・ALESSの題材や論文構成を考えたる上での一助になっていたりしますが、中には「は?」って言いたくなるほどもの凄い研究とか載ってたりして、純粋に読み物としても面白いかと思います。
(もちろん参考にできる、優しめのものも載ってます!)

ちなみに誰のを掲載するかは、編集者が論文を精査して〜とかが関わっているからかもしれませんが、結構後になってから決められるようで、もし自身の論文が掲載されるとなったらこんな感じのメールが届くようです。

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この冊子、去年までであればKWSで自由にもらうことができたんですが、今年はコロナということで一体どうなるんですかね……。おそらくダウンロードできるようにする措置とか取られると思いますが、ここについてはまだはっきりとした情報がないため分からないです。申し訳ないです…。


 3.4 普段の講義で教わっている教授や准教授

意外でしたでしょうか。実は必修や総合科目で教わっている先生方にもご助力を仰ぐことができるのです!

「え〜?自分なんか相手にしてくれるかなぁ…?」と思っている方もいるかもしれませんが、思い出してください。ここは「東大」です。日本におけるトップレベルの学問探究の場です。教授たちは常に好奇心旺盛な学生を求めています。教授たちにとって講義で受講する気力があるのかないのか分からない学生を教えるより、講義後に質問をしてきてくれる学生や自分の研究分野に興味を持ってくれる学生の方を熱心に教えたくなるのはある種当然とは言えませんか?

もちろん質問する相手はその分野を扱っていそうな先生にすべきです。きっと色々なことを教えてくれるでしょうし、ALESS LabのTA並みに議論をしてくれたり指針を示してくれたりするかもしれません。そうだとしたらこれほど強力な助っ人は他にいないでしょう。是非とも味方につけて下さい。

もしかしたら講義後すぐに教室を出て行ってしまう先生もいるかもしれません。その場合、可能であれば、先生にメールをしてみましょう。メアドは運が良ければUTASシラバスに載っています。大丈夫、誠実な内容で丁寧な文章を書けば先生方は思ったより普通に返信してくれます。
今年はオンライン講義ということで、こちらの手段を採る方が良いかもしれませんね。


4.注意事項やその他アドバイス

いくつか書き漏らした注意事項を。

まず「ALESA」「ALESS」を落とした(落単)らどうなるの?ということですが、普通に再履修です。はい。
2.1でも述べましたが、こいつらは必修です。2年までで落としたままだと進級条件を満たしていないので自動的に留年となります。注意して下さい。
ちなみに再履修となった場合、1年生と一緒に実験をやることになります。
(落としていても進学選択には参加できる可能性はあります)


次に点数ですね。
これは正直教員に依ります。しかし必修であること、少人数で行うこと、そして講義の主眼からして点数のほとんどは
・出席、課題
・論文
・プレゼン

で決まるでしょう。
出席を毎回取る講義の場合、全講義の1/3より多く、つまり4回か5回以上欠席したら自動的に「不可」で落単という場合が多いです。


あと3で色んな助っ人を紹介しましたが、授業内で論文の添削をしてくれる教員含め、誰かしらにお世話になった場合、論文の最後に「謝辞」としてお礼の文を書いておくことをおすすめします。同じグループのメンバーをそこに記載するのもいいですね。


…これは伝えるべきか微妙な注意点ですが、最初に「研究はグループワーク」的なことを伝えました。
あくまで1つの可能性ですが念のために伝えておくと、分担作業など研究の一環としてではなく、研究が完全にソロワークになる可能性はあります。理由は何かしらでメンバーがいなくなってしまうこと。実際部員の中にはソロでALESSをやっていた人がいます。
グループで和気藹々とやるのもいいですが、いつ何が起きても対処できるよう、メンバー1人1人が研究の全体像を把握しておくようには努めましょう。


最後に空手部からのアドバイスです。

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「とりあえず出席しよう。行って最後に出せば単位は来る。あと、毎回の課題もきちんとやる。英語能力よりも剽窃や引用について学ぶものだから教員の言ったことを守れば耐える」(ALESA)

「毎週の課題はコツコツやったほうがいいと思う。前日に一気にやると、見直しの暇がとれず、内容が矛盾したりする恐れがあるので。矛盾した内容のまま論文を書いてしまうと、その先もっと苦しくなるし」(ALESA)

「惜しむらくはKWSに持っていくことなく、論文にはあまり用いないような口語的な単語をふんだんに詰め込んだ論文を提出してしまったことですね。心魂を賭せば優以上が狙える科目です」(ALESA)

 「独自性が求められるとはいえ、ある程度分かりやすい結果が出るだろうと予測のつく実験を選びましょう。実験であまり時間を費やすのは得策ではないので。あとは教員が科学論文の書き方を教えてくれるので、論文のルールをしっかり守って(ここ重要)書いていきましょう」(ALESS)

「実験のテーマを決める場合は植物系が楽かもしれないですが、枯らさないように気をつけましょう。協力者が集まりそうな場合は人系にしてもいいかも知れないです」(ALESS)

「意外と実験を考えるのって難しいし、特にグループで実験をする場合はメンバー間の温度差にも繋がるので、オススメは興味ある先行研究のマイナーチェンジ。厳密な実験プランを建てやすいし、先人の知恵に誰も文句言わない」(ALESS)

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頑張ってALESA / ALESSを倒して下さい!!

                           (東大空手部)

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