【Story-telling】選択肢に満ちた大学生活を
こんにちは。東京大学文科三類2年のS.Iと申します。UT-BASEではアントレ(※)系のコンテンツ作成と、イベント部門の部門長を担っています。本稿ではUT-BASEでの活動内容やそれに対する思い、学生団体に対する私なりの考えをお話しできればと思います。拙文ではありますが、暇な方は最後までお付き合い下さい。
※アントレプレナーシップの略。起業家精神。
選択肢が全員に行き届いている大学であってほしい
私がUT-BASEで活動している理由はこの言葉にほとんど詰まっています。
私が考える「世界一の学び場」(UT-BASEは「東大を世界一の学び場にする」をミッションに活動しています。UT-BASEの詳細はこちらからご覧になれるのでぜひ開いてみてください!)とは、「何かをやりたいと思った時にそれを実行できる場所」です。東大の周りには様々な機会が転がっているのですが、それを上手く活用できている人は意外と少ないのではないかと感じています。実際に私の周りの友人でも「何を頑張りたいのか自分でもわからないから漫然と過ごしている」と言っている人や「〜〜がやりたいんだけど、何から始めればいいのかがわからない」と言っている人が結構いました。何かを頑張っている人だけが偉いとは思いませんし、個人が大学で何をするかは各人の自由だと思っていますが、問題なのは、東大内外に転がっている選択肢にうまくアクセスできないために「やりたいこと」や「やりたいことを実行するまでのプロセス」が分からず、ある種「どうしようもなく」今の状態に落ち着いているという人が少なからずいるという点です。
私がUT-BASEに参加したのはTwitterでたまたま知ったUT-Basecamp(UT-BASE主催のゼミ)に入ったことがきっかけです。「Twitterでたまたまゼミに関する情報を見つける」という些細な出来事を契機に、私の大学生活は完全に(善し悪しは関係なく、単純に)方向性が変わりました。重要なのは、「学生団体に入った」ことではなく、「学生団体に入るという今までに無かった選択肢が、ふとした出来事により追加された」ことです。
情報が手に入りやすくなればみんなの選択肢が広がり、大学生活の可能性も広がります。「やりたいことが見つからない」と言う人は多いですが、それは本人のやる気や能力の問題というより、情報にアクセスしにくいという環境の問題が大きいのではないか、と今のところは思っています。
こういった思いから、冒頭でもお話しした通りアントレ系のコンテンツ作成とイベント部門の部門長を担っています。これらについて個別にもう少し詳細にご説明させていただければと思います。
UT-BASEをアントレのハブにしたい
まずはアントレ系コンテンツについてです。話を分かりやすくするために、以下はアントレプレナーシップの「起業」の側面だけ切り取ります。東京大学やその周辺にはたくさんの起業にまつわるコンテンツやプログラムが転がっています。例えば、前期課程では豪華な登壇者陣に加えフィールドワークを盛り込んだディープテック起業家への招待など、たくさんのアントレ授業が開講されていますし、東京大学が100%投資する投資事業会社・企業支援機関である東大IPCなど、東大生の起業の応援を活発に行う組織も東大内外に多く存在しています。東大発のスタートアップも年々数を増やしており、思ったよりも起業は身近なところにあります。
一方で、これらの情報は「なんとなく起業に興味がある」といった学生や、漠然と「何かワクワクすることがしたい」と考えている人には行き届いていないのではないでしょうか。そこで、私はUT-BASEという、多くの東大生に使っていただいている媒体を通じてこの情報を届け、起業を身近に感じられる機会を少しでも多くの学生に届けたいと考えています。ちなみに、ゆくゆくは「起業に興味がある東大生はとりあえずUT-BASEのサイトを見れば有益な情報は全部載っている」ようなもの、つまり「学生企業のハブ」のようなものを目指したいと思っています。
そのために、まずは大学と連携しつつ、講義やプログラム、施設などについて、記事の作成と体系化を行っています。講義に関しては、ゆくゆくはUT-BASEのサイトで大学が提供しているアントレ系の講座を簡単に検索できるシステムを構築しようと考えていますが、現段階でも既に協力は進んでおり、例えばこちらの東京大学工学部産学協創教育のページでは一部講義の詳細な説明としてUT-BASEの記事が紹介されています。このような紹介記事以外に、インタビュー記事も既にいくつか公開されています。具体的には、起業家の方とそこでインターンを行っている東大生の対談を記事として公開しており、起業家の目線だけでなくてスタートアップで働く学生の目線も併せて知ることができます。それらの記事はこちらからお読みいただけるのでぜひご覧ください。
話は変わりますが、アントレ系のコンテンツ作成に携わることは自分自身にも大きく役に立っていると感じています。このコンテンツを作成する過程で、様々な社会人の方とお話しする機会をいただけます。インタビューの中で、自分が普段から持っている疑問をぶつけてみたり、時には自分の進路に直結するような話をしたりすることもできるので、アントレ系のコンテンツ作成を通じて貴重な経験を得ることができています。
イベントで東大生の可能性を広げたい
次に、イベント部門についてお話しします。
UT-BASEのイベント部門では3月、4月に新入生に向けて履修や第二外国語に関するイベントを行ったり、年間を通して進学選択や留学などについてのイベントを行ったりしています。UT-BASEはSNSの発信や記事コンテンツが目立ちますが、イベントにもかなり力を入れています。
UT-BASEは東大生の様々な需要に応えるべく活動していますが、イベントでしか応えられない需要も多く存在します。例えば、二外選択に悩む新入生のためには、イベントを通じて色々な言語の先輩の話を聞いてもらうのが最も効果的だと思います。
イベントの運営は外から見るよりかなり難しく、数時間のイベントの準備にかなりの時間を要します。しかし、そんな中で一番やりがいを感じるのは参加者の声を聞く瞬間です。イベント後のアンケートで「イベントで〇〇について知れてよかったです」と書かれていると、イベントを通じて色々な人の学生生活に何らかの良い影響を与えられたのではないかと思えます。自分達のイベントを通して少しでも有益な情報を伝え、参加者の選択肢の幅を広げたいと思い活動しています。
「学生団体」に先入観を持ってほしくない
このような活動をしていると、「なんだ、意識高い系か」と一蹴する人がいます。まさに1年生の時の私です。学生団体と聞くと、入るのに敷居が高いんじゃないかとか、あるいは、高尚な価値観を上から押し付けてるんじゃないかとか、そういうネガティブなイメージを持つ人も少なくないと思います。しかし、私はこのような意見は否定したいです。入ってみないと分からないことですが、学生団体というのは意外と多様性に満ちた場所だと思います。少なくとも、UT-BASEはメンバーの性格やバックグラウンドや価値観が様々で、それぞれが認め合いながら団体を運営しています。私はコンフォートゾーンを抜け出そう!というよりむしろ成長することを是とする環境に疲れてしまうタイプなのですが、だからといって排除されるわけではありません。私はマイペースゆえ他のメンバーに迷惑をかけている部分が多々あると思うのですが、やりたいことをできるという環境は単純に楽しいし学びも多いので、 活動を続けることができています。もちろん、学生団体にはいわゆる「意識高い系」の凄い人が多いし、入ったからにはそれなりのコミットが求められるのは事実ですが、最初からマイナスなイメージは持ってほしくないと思っています。これを読んでくださった方には、先入観を捨てて自信を持っていろいろなコミュニティに飛び込んでいってほしいと思います(無理のない範囲で)。
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