Vol.48「『コンテンツ城』の住人になりたくない」という思考」

先日、『月曜日のたわわ』で知られる比村奇石先生が『宇崎ちゃんは遊びたい!』のファンアートを描いたツイートが話題になった。

『からかい上手の元高木さん』みたいな感じだろうか

そのツイートに作者である丈先生が反応し、こんな発言をしたのである。

それに対し比村先生はこんなツイートを投稿した。

読者でいたい、つまり「作品は好きだが、スピンオフは描きたくない」ということである。

それは矛盾する思考なのだろうか。むしろ、作品が好きなら喜んで引き受けるのではないか?、と最初は考えていた。

しかし、それも正しい反応であるといまは思うのである。

それはなぜか。「自分が『コンテンツ城』の住人になることにより、そのコンテンツで好きにできる可能性を狭めてしまうことを恐れている」という考え方が理解できたからである。

どこまでが「城の住人」なのか

さて、ここで「どこまでが『城の住人』なのか」という疑問が生まれた読者もいることだろう。

基本、コンテンツというものは多くの人間によって作られているものである。表にしてみるとこういう感じだろうか。

「コンテンツ(ここでは漫画に限定する)城の住人」
・原作者(コンテンツの中央に位置する。王様ポジション)
・担当者(コンテンツにおける大臣ポジション)
・スピンオフ作品の作者(コンテンツにおける騎士的ポジション)
・メディアミックス作品に携わる人々(コンテンツにおける兵団的ポジション)

ここまでが「城の住人」である。

続いて、「城の住人」に該当しない者たちを挙げていこう。

・同じ雑誌で連載している作家(あくまで隣の国にある城の王様)
・公式のアンソロジーに寄稿している作家(傭兵的ポジション、うまく成果を挙げられれば騎士になれる可能性もある)
・全年齢・18禁問わずその作品の同人誌を描いている作家(盗賊的ポジション、あまりに強ければ他のところからお誘いが来ることもあるが、ヤバい作家はスルーされる傾向がある)

つまり、何とは言わないが狼藉をしても多くを責められないポジションにいる作家なのである。

つまり、王様自身がこの兵士には狼藉を働いてほしいなと思う作家には王様から直接声をかけることもないし、大臣も遠慮している(それでも空気を読まず、声をかけることはある)のである。

かつて「とある城の元住人」で狼藉を働いたものが存在し、その騎士は城から存在を抹消され、今は何をしているかはわからない。(誰かはここでは語らない)

城の住人になりたい人もいる反面、無法者でいたいものもいるということである。

最後に現在放送中の『すのはら荘の管理人さん』の作者であるねこうめ先生のツイートをいくつか引用して終わるとしよう。


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富士口勇生
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