「マナのメリークリスマス!」
イヌのせかいにもクリスマスはあります。
あかちゃんイヌ 年をとったイヌ イヌのこいびとたち かぞくきょうだいのイヌたち。
みながたのしくよろこびあう 1日なようです。
1ぴき クリスマスがあまり好きでないイヌがいました。ほとんどよろこんだことがないのです。
にんげんの年で言う おとなくらいのイヌです。名まえはマナ。
マナはクリスマスでよろこぶ他のイヌのきもちがよく分かりません。
あたまもわるくほかのイヌとも なじめません。だけどずっとひとりぼっちはイヤでした。
マナはきょねんも クリスマスの日は1ぴきでした。たまたま足をケガしたけれど
たすけてくれるイヌはまわりにはいませんでした。マナはかなしいおもいをしました。
大好きな近くのおおひろばまで足をひきずり、大好きな空を見たくてねそべっていました。
つぎのクリスマスは、もうここに来ることができないのかな。と思っていました。そこに
「メリークリスマス!」と言う声がきこえました。マナはびっくりしてあたりを見わたしました。マナはそのけしきを今もわすれることはありません。
そこには、マナのように足のいたいイヌ。あたまがわるいと言われたイヌ。はなも耳も
上手につかえないイヌ。声が出せないイヌもいました。
なのに みんな楽しそうに「メリークリスマス!」とよろこんでいたのです。
マナはじぶんが こえをかけてもらったわけではないことがわかりました。
ひがくれて やさしいじょうぶなイヌたちがみんなをむかえ家にかえっていきました。
マナはしっていました。からだがわるいイヌたちのことを。だから
からだがじょうぶでやさしいイヌたちと、ささえあいくらしてることもしっていました。マナはしっていました。本当にみんな、がんばりやさんなこと。本当はやさしいこと。
マナはしりませんでした。クリスマスをたのしんでいたイヌたちを。
あんなけしきを見たのは生まれてはじめてでした。大好きなけしきです。
マナはクリスマスが大好きなりました。つぎのクリスマスはじぶんもよろこべるとおもったのです。おおきな声で「メリークリスマス!」
げんきいっぱい声をだすときめました。すこしずつ がんばろうとおもいました。
すこしずつ ほかのイヌともたのしく くらしてゆけそうなきがしました。