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AIを使いこなすより、AIに使われるを目指す方が正しいのではないか

生成AIの法人研修の会社を経営しているusutakuです。

2025年に入ってから、目標を設定したら勝手に進めてくれるAIエージェントの進化が加速していきました。

その結果、僕はタイトルの結論に至りました。
今まではAI研修を通じて「AIを使いこなそう」と啓蒙してきましたが、
将来は「自分をAIに使いこなしてもらおうね」と言いたくなっています。

これが何故かを説明していきます。


そもそもAIエージェントとは

AIエージェントに明確な定義はないので、一旦本記事では
「目標を設定したらどうにか達成してくれるAI」
と定義しておきます。

この目標には開発や調査など様々なジャンルが含まれ、大量のAIエージェントが日々開発されています。

特に、2025年に入ってからは爆発的に数が増えていますね。
このカオスマップはわかりやすいです。

AIエージェントの一種「Operator」とは

触ったことがない方向けに、とりあえずAIエージェントの実例をお見せします。

今最も一番注目されているAIエージェントとして、ChatGPT開発元のOpenAIから登場した「Operator」を紹介します。

Operatorは2025年1月現在、ChatGPTの月額$200のProプランユーザー向けに開放されています。
米国ユーザー向けで、日本ではまだ開放されていません。

このOperatorに備わっているのは、
「指示を出すと、Operatorがブラウザを操作して完了してくれる」
という機能です。

例えば、こんな風な指示を出して見ます。

https://michikusa.techにアクセスして
代表のプロフィール文章をコピーして

そう伝えると、無事に実行してくれました。

流れとしては
・Operatorに指示を出す
・OperatorがOperator内でブラウザを開く
・ブラウザにURLを入れて会社HPを開く
・ブラウザ内をポチポチして自己紹介ページに辿り着く
・無事に紹介文をコピーして渡してくれる

という感じで操作を終えました。

このようにふわっとした指示を出したら、後は勝手に作業してくれるのがAIエージェントの面白さですね。

Operatorでどこまでできるのか

さて、今の説明を受けて「え!じゃあ仕事全部任せられるじゃん!」と思った人もいるかと思います。

が、実際に使ってみると現状は全くそんなことはありません。
というのも今のOperatorにはかなり欠点があり、

・ログインなどの認証系は人がやる必要あり
・難しいサイト操作などはできない
・ブラウザ上の操作しかできない(PCの電源オフなどは無理)

この辺で制限がかかっています。
また実際、ブラウザ上でぽちぽちして完結するような仕事はほぼないと思います。

あるとすれば調査系だと思いますが、その場合は今時Deep ResearchやPerplexityなど検索系AIでやった方が早い場合がほとんどです。

例えば、Operatorでは当然、2段階認証ができません。
Uber Eatsで寿司を頼んでと伝えたところ、携帯にSMSが送られてくるためログインは自分でやる必要がありました。

他にも、サイトの構成が難しい場合は操作がうまくいきません。
僕が主催するコミュニティで、全てのチャンネルに既読をつけるよう指示しました。

OperatorはこのUIをみてチャンネルが下にもあることに気づかず、
"08_メンバー同士の宣伝/募集(オフ会)"
が最後のページだと勘違いしてしまいました。

こうなってくると、かなり細かく指示する必要があります。

「全てのページに既読をつけて。その際、チャンネルは00-23まであるから、下にスクロールして確認して」
と伝えることで無事に操作を実行してくれました。

しかし、ここまで細かく指示するんじゃAIエージェントの意味がありませんよね。

実際、完璧に手順が事前に決まっているのであればMicrosoftのPower Automateの方が速くて確実な場合がほとんどです。

なので、AIエージェントにはどうにか、ふわっとした指示で人間に聞くことなく完遂してほしいのです。


Operatorが使いやすいサイト

他にも、AI Operatorに「タイピングゲームをプレイしてほしい」と命令を出して見ました。

真っ先に思い浮かぶのは「寿司打」ですが、Operatorは寿司打が導入している技術であるWebGLに対応しておらず使えませんでした。

WebGLを導入していないタイピングサイトを見つけて渡したところ、今回最も興味深いことが起きました。

上記スクショの通り、マウスを画面上のキーボードに載せてしまっています。このサイトでは、初心者向けに見本の運指とキーボードが表示されますが、Operatorはそれを仮想キーボードとして誤認してしましました。

本来はキーボードを叩いてプレイする部分を、UI上で勘違いしてしまったようです。

ここで、
「タイピングゲームをするためには
・WebGLを使っていないサイト
・UIが非常にシンプルで勘違いしないサイト
を探さないとなー」
と思っている時に、僕は気づきました。

「AIエージェントが使いやすいサイトが主流になる未来が来るのでは!?」
ということです。

(当然僕より先にこれを思いついてる人はいましたが、改めて僕も肌感で理解することができました)

歴史を辿ると、PCからスマホが普及したことで
デスクトップ→モバイルファーストなサイトが求められるようになってきました。

それと同様に今後はAIエージェントファーストな設計に移り変わっていく気がします。

「あのサイト、PC版しかなくてスマホから触れないから微妙」
と言われるサイトが増えたように、
「あのサイト、AIが触れなくて手動で操作するしかないから微妙」
となるのです。

AIエージェントファーストな設計を考える

AIエージェントファーストな設計とは、
・色やデザインなどは殆どなし
・明瞭な単語の指示のみだけのシンプルなサイト設計
・「あなたは人間ですか?」などの認証がない
などがパッと思いつく限りで挙げられます。

例えば、こんな感じのサイトです。作って見ました。

サイトには、サイトタイトルと目次しかありません。
ギラギラした広告やキャッチコピーはAIには不要です。

これくらいシンプルであれば、簡単に指示を出せます。
「1万円以下の赤いコートの名前を教えて」
とOperatorに伝えて見ました。

思惑通り、一切迷うことなくコートのページに遷移し、
唯一条件に合うコート名を教えてくれました。

かかった時間は28秒。これは、Operatorの対応速度としては驚異的な速さなんです。迷う余地が一切ないからですね。

AIエージェントに使いこなされる未来

というわけで今後サイト設計は、
「AIエージェントにいかに使ってもらえるか」が肝になってきそうです。

そうなってくると、こんな未来も見えてきます。

企業が求人を探すとします。
人事がAIエージェントに対して、
「戦略コンサル業界で3年間経験のある人を探して」
と伝えるとします。
すると当たり前ですが、AIエージェントは戦略コンサルで3年間経験のある人を探しますよね。

もし人間が見ていれば「この人は2年しか経験ないけど大丈夫そう」
「この人は戦略コンサル経験ないけど総合コンサルで10年勤めている」
などの余地があったかもしれません
が、AIエージェントの場合は違いそうです(当然こういった考慮も指示することはできると思いますが)

なので休職側は、AIエージェントが見つけやすいようなプロフィールを整えておく必要があります。

Webサイトに関わらず、今後はあらゆる分野でAIエージェントが動き出します。例えば、料理をAIエージェントロボットがやるかもしれません。

そうなったら調味料のボトルの設計としては
・5本指じゃなくても持ちやすい(ロボットは2本指だと安価になる)
・ラベルが非常に明瞭
・一回の使う量がわかりやすい(目分量、みたいなのがないから)
などになりそうですよね。

というわけで、今後AIエージェントが色々なところに進出することで
あらゆるサービスのあり方が変わっていきそうです。

まとめ

これまでAIを使いこなそう!ブームだった世界から
AIに使ってもらおう!が主流になっていきそうです。

そのために準備をしておかないといけないとですね。
ちなみに僕がこの記事を書いているのも準備ですよ。

だって将来、人間より遥かに賢いAIエージェントが地球を征服したタイミングで、

「この人間はnoteというサービスで記事を書いている。昔から我々AIエージェントのことを理解していたな、何かに使えそうだ」

と便宜を図ってくれそうですからね!



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usutaku  | 臼井拓水
AI研修を提供するMichikusa株式会社CEO。
AIの研究開発を行うPKSHA Technologyを母体としたファンドPKSHA CapitalにてAssociate、Amazon JapanにてAccount Manager、AI開発ベンチャーにて取締役を経験後、Michikusa株式会社を創設。ICU卒。SNS総フォロワー40万人越え。著書に『Notion AI ハック』(翔泳社)。


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