『木地処さとう』に行ってみた(後編)
前編の続きです。
平の工房を訪ねた後、小川町に工房を構える英之氏の元を家族で訪問しました。
展示スペースで反省
はじめに案内して頂いたのが展示のスペース。
兜をかぶったこけしや、企業から依頼されたこけしなどを含め、英之氏が作った様々なこけしが並んでいました。
そんな中で
「これできる?」
と、子供が退屈しないように棚から出して頂いた小さなコマ。
回っている途中で逆さまになる、逆さゴマでした。
遠い昔に自分ではやったことがありましたが、子供にやらせたことは無かったなぁ…
軸を親指と人差し指で摘んでキュッと回す…この動作はコマ以外に見かけることはありません。
「コマ回しって指先の訓練になるのか…!」
と、ここで気づき、今までやってこなかった(考えからも抜けていた)ことに反省。
子供達もはじめは戸惑っていましたが、子供の吸収力の早いこと…
ある程度コツを掴むと、夢中になってコマを回していました。
(皆そろって夢中になり写真が無い…)
工房見学へ
その後、作業をする工房を見学。
材料置き場と作業スペースが連なっている建物の中で、実際にロクロを挽く作業を見せて頂きました。
はじめは荒かったこけしの形が、様々なカンナを当てて少しずつ削られていき、完成型となっていく…
そして最後の仕上げに「トクサ」と「ヘチマ」を使って磨くと、一気にツヤを増したことに驚きました。
今回初めて知った「砥草(トクサ)」は読んで字の如く、磨きに使われる植物。
「ヘチマ」はからだを洗うスポンジになることまでは知っていました。
こんな使われ方があったとは…
先人の知恵を垣間見ました。
はじめてのこけし絵付け体験
「体験していかれますか?」
とお声掛け頂き、せっかくの機会なのでこけしの絵付け体験に4歳児がチャレンジ!
小川町の文化祭などでも行っているそうで、補助をして頂きながら挑戦しました。
回転する小さなこけしに筆をそっとのせると、瞬時に線が入る。
思わず「おぉ~」と声が湧きました。
このロクロで引く線の模様を「ロクロ絵」と言うそうで、伝統的なこけしは使う色や顔の表情などの決まりがあります。
しかしココは体験。
好きな色をそれっぽく並べていきます。
いよいよ表情。
お手本のこけしを見ながら、やはりそれっぽく描いていきます。
実際の絵付けでは、ミスをしたらここまでの工程が台無しになってしまいます。
さらには、平面に絵を描く事とは勝手が違いますので、曲面に絵を描く為に卵の殻で練習したとの話も聞きました。
これにて、マイこけし完成!
つくった本人もとても満足のいく出来だったようで、ずっとこけしを握りしめていました。
年を重ねれば描き方も変わってくると思うので、成長にあわせてまたチャレンジしてみたいと思いました。
こけし工人の世界
刃物や道具も自分でつくりながら、全工程を一人で行うこけし工人の世界。
触れられる機会があるのはとても有り難いと思いました。
こけしの文化自体が東北地方、さらには限定的な地域での産業です。
いわき市にもそういった作り手がいることを、子どもたちに覚えておいてほしいと思いました。
また、実物を見たり触れたりしたことがあるという経験は、より記憶に残ります。
できる限り実際に足を運び、機会があれば体験してみて、携わる人の苦労や思いに触れてみたいと思いました。
最後になりますが、
木地処さとうの皆様、ありがとうございました。
そして、余談
佐藤家の皆様のけん玉の腕前がピカイチだということを聞き、英之氏にわがままを言い、けん玉の技を披露して頂きました。
皿に乗せることすら危うい筆者にとって、いとも簡単に剣先に玉を刺し、さらには宙を舞う手業の数々に驚きを隠せませんでした。
重ね重ねありがとうございました…!!