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ドントデストロイ。
「壊すとまた叱られるよ」
キュウロクの注意なんて聞かずにヨンロクはテーブルにひょいと上がり、
あれやこれやのものを動かした。
「ぼくは壊してるわけじゃない。動かしてみてるだけだよ」
「だからそれで壊したり散らかして怒られてるでしょ」
「壊れるってなにさ。主観の問題だね。
そもそも怒るあの人がおかしい。君もそう思わにゃいか」
「いやいやいや、ねこの理屈なんて通じませんよ」
「お、あれに飛びついたらどうなるだろう」
「やめときなよー」
「気になるなー。飛びついたらどうなるか、気になるなー」
「もういいけど、大きい音だけはやめてね。びっくりするから」
「大きい音は確かにいやだけど、あー気になるなー飛びつきたい」
「気になるならいきなよさっさと」
「よし、いくぜ!」
その日の夜、人は何かしきりに話しながら部屋をきれいにしていたが、
キューロクもヨンロクは
「これもまた良い思い出になるんだよ」
とか言いながら、毛づくろいして寝た。