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2022.6.6 池袋演芸場で三遊亭白鳥の新作落語を口演する入船亭扇辰を見た

仕事終わり。朝からの雨が降り続く。
池袋演芸場では、6月1日~10日の間、三遊亭白鳥作の連続物の新作落語「任侠流れの豚次伝」を日替わりでいろんな人が口演している。
今日は入船亭扇辰の日。前々から楽しみにしてたけどやっぱやめとくか、と下り列車に乗車したが、未練がましく白鳥師のTwitterを眺める。"池袋演芸場は現在40人程度。まだまだ余裕あり"とのこと。雨だし月曜だし行くなら今日が最適か、と思い直し、大宮で降りて上り方面へ引き返す。

池袋駅を芸術劇場の方へ出て、ちょっと迷ってサラリーマンとぶつかりそうになり舌打ちされる。一番街商店街と掲げられたアーケードをみつけて無事到着。遠回りしてしまった。別の出口から出ればすぐそこじゃないか。でも何口かわからないから次もまた同じことを繰り返すだろう。

雨の日だからだろうか、幟は立っていない。出演者がびっしりと書かれた筆文字の看板が出ている。演芸場のチケット売り場のあたりを向かいのファミリーマート前からスマホで撮影。コロナ禍後初、人生二度目の池袋演芸場。
チケット購入。地下2階へ。若手落語家っぽいひととすれ違う。もぎりのおばさんのあいそよさそうな笑顔。ここで券みせるんだっけ?とまごまごしていると、声出さずに身振り手振りでうながしてくれる。ドアの隙間からこゑん師がしゃべってるのが見える。落語の邪魔にならないようにしてるのか。レインコートを畳んで中へ。

白鳥師のツイートがあった小一時間ほど前からかなり客が入ったようでほぼ満席。数名が立ち見している。通路に置かれたパイプ椅子が一つ空いていたので腰掛ける。寄席にしては年齢層低め?40〜50代くらいが多いのか?男女半々くらい?

中入り後、楽一さん。ローテンションの面白い紙切りの人。狂気をおびた笑顔を浮かべつつ今日もマイペース。お題は牛太郎、紫陽花。紫陽花にいたっては"あっ間違っちゃった"の一言のみ。傘をさす豚次と紫陽花が切り上がってお後と交代。

白鳥の湖が流れる。前座さんが、講談師が使うような台をセット。薄ピンクの着物に黄色いトートバッグをぶら下げた白鳥師登場。台の前に手のひらサイズの赤いタイマーかレコーダーみたいななにかをセット。7年前?に同じ企画やったときに二楽師にきってもらったという豚次伝のキャラクターの切り絵を駆使してここまでのあらすじ紹介。登場人物多すぎてわけわかんなくなる。本人もわけわかんなくなってた。「この後扇辰師匠にやっていただくのは、この続きというわけではございません。」続きじゃないんかーい。主役の豚次が出てこないサイドストーリー的なやつらしい。

出囃子が鳴って本日の主任の入船亭扇辰師匠登場。明らかにこれまでより音量でかめの長めの拍手。「待ってました!」「たっぷり!」と野太い声がかかる。扇辰師「何を期待しているの?梅雨に入ったようで嫌ですな。」一度やったことある噺とはいえ、7年も前だから書き起こし見ても何ひとつ覚えてなかった。昨日はあまり寝てないとのこと。「三遊亭白鳥作、流れの豚次伝、男旅牛太郎、お聴きいただきます」扇辰師が静かに語りだすと、繊細な情景が立ち昇る。酒の呑み方のかっけえこと。かっけえこと。白鳥師の殴り書きの世界観を、扇辰師が見事な細密画に描き変えたのでした。

終わって出口のところでレインコート着てたら、大学生くらいの男女が連れ立って出て行く。普通に今どきな感じ。
男「なんか食べよ〜」
女「牛たべたい〜」
男「なんでだよ〜」

行ってよかった。

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