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【すっぽんノベル】「桃太郎」 第一話

writen : 立花裕介

ここは地球とは似て非なる場所、「ツクウ」。
そんなツクウのあるところに、おじいさんとおばあさんが住んでおりました。

天気が良く風の気持ちいいのある朝のこと。
いつもと同じようにおじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯をしに行きました。

おじいさんが山で芝刈りをしていると、突然背後に気配を感じました。

「探しましたぞ、翁どの」

その声にただならぬ気配を感じ、とっさに構えるおじいさん。
そこには数人の黒づくめの男を引き連れた、
これまた黒づくめの男が立っていました。

「まさかこのようなところに隠れておられるとは。翁どの、すでにご存知かと思われますが、この国は今、大変な危機に見舞われております。」

「…そうか、ここも見つかってしまったか。しかしワシはもう退いた身。あそこへ帰ろうとは思わん。」

「そう言われるとは思っておりました。しかし、今翁どのが戻られないとこの国は滅びかねません。この国を裏で支え、誰よりも愛されていたのは翁殿ではありませんか」

「…」

おじいさんは何も言わず、黒づくめの男達をただ見つめているのでした。

一方そのころ、おばあさんが川で洗濯をしていると、川上の方からどんぶらこ、どんぶらこと大きな大きな…桃が流れてきました。おばあさんは死に物狂いで、どうにかその桃を拾い上げ、おじいさんと一緒に食べようと、家に持って帰りました。

「おじいさん、遅いなぁ」

いつまでたってもおじいさんは帰ってきません。おじいさんの帰りを待ちながら、お婆さんはついウトウトと眠ってしまったのでした。

あれから3年。

おばあさんはおじいさんの帰りを待つことを諦め、おじいさんの事をやっと忘れることができたある日。1年前に大恋愛の末に結ばれた、新しいおじいさんと、3年前に拾って、冷凍保存をしておいた桃を食べることにしました。聞くところによると、神秘の果物である桃を食べると、若さが戻ってくると言います。新しいおじいさんとおばあさんは、若返って、ついついあんなことやこんなことをやってしまう事を夢見て、その少し溶けたシャキシャキの桃を切って食べようとしたその時…

↓以下、世界線の選択となります↓

1.桃は自らパカッと割れて、中から赤ん坊が飛び出してきました!
「オギャー!!!」

2.いくらなんでも腐敗していたその桃は、グシャっと崩れ、中からは凄まじい異臭と共に産業廃棄物のようなヘドロが出てきました。
「デロデロ〜」

3.桃が自らパカッと割れたかと思うと、なんとその中には、3年前に行方不明になったこの国の王「安倍晋太郎」がコールドスリープされていました。
「スヤスヤ…」

番組内では、ゲストの勝山修平さんにより「2番」が選ばれました。
第二話は「2番」の世界線で物語が続きます。

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立花裕介
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