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オミキャスの原稿を晒します「竹本孝之 ”Rock wag-ram"を解説してみた」

※この文章は3/25 松尾貴臣ツイキャス内で解説した原稿をそのままアップしたものです

 【本日は竹本孝之さんの楽曲「Rock wag-ram」という曲を掘り下げます】


まずはこちらをお聴き下さい。※MVを基準に解説致しますので、MVを開いたブラウザを閉じないでそのまま保持することを推奨します。


この曲を男性に例えて、一言で表すなら

「デートが超絶上手い変態紳士」

(ああ聞こえるぞ・・・”意味わかんねー” "あいつやっぱり頭おかしい"って・・・ああ気持ちいなあ)
なぜ変態なのか、デートがうまいのか、ちゃんと解説しますYO

【まずつまらないデートとは】

※個人の見解です
ヤマナシ、
オチなし、
ハラハラもドキドキもないずっと平坦な時間で飽きちゃった、
もう一回会いたいと思えない

これがつまらないデートだと思うんですよ
(おれのことです)

【楽しいデートとは】

※個人の見解です
二人で楽しめる時間があって、
刺激と同じ分の安らぎもあって、
たまにハラハラ・ドキドキがあるけど、
不安にさせたぶん安心させる


つまり、

「不安と安心」

「緊張と緩和」のバランスがとれた時間

だと思います(個人の見解です)。
この「Rock wag-ram」という楽曲はまさにこれです。

【朝いきなり遅刻して不安にさせる男性】

0:35〜「止まれと言われて走り出した」

この部分のことを指してます

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↑の青文字のコード「E♭」に注目

最初に聴いた時、「なんで?!」って思いました。

流れで聴いてると、Aメロに入ってこれから歌が始まるってときなのに強烈な不安に襲われます。不安にさせてでその直後にようやく、

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「はしり "だ" した」↑の青文字のところで安心できるという仕掛けです。

朝、1時間遅刻してきたけど、その理由は彼女をもてなすための準備をぎりぎりまでしてたから

って感じですね。

【不安と安心の組み合わせ】


そもそも楽曲を構成する和音コードとも呼びます)には大きく3つの役割に分かれ、

安心(横文字で「トニック」)

不安(横文字で「ドミナント」)

一安心(横文字で「サブドミナント」)

をそれぞれ演出します。(3つに分かれるから3コードなんて呼ばれます)

J-POPではこれらを組み合わせて歌の背景となる和音を作るのですが、安心して不安にさせて安心させるという流れが多いです。

例えばカノン進行(パッヘルベル「カノン」)
Ⅰ→Ⅴ→Ⅵm→Ⅲm

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例えば小室進行(LiSA「炎」)
Ⅵm→Ⅳ→Ⅴ→Ⅰ

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例えば丸の内サディスティック進行 (椎名林檎「丸の内サディスティック」)
Ⅳ→Ⅲ7→Ⅵm→Ⅰ7

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どれもこれも
いきなり不安にはさせません

ではもう一度、Rock wag-ram 0:35〜のところを見てみましょう
Ⅴ→Ⅵm

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いきなり不安にさせてます

ちなみにこのくだりの2小節前から不安にさせてるので4小節間ずっと不安にさせられます。この焦らされてる感じが、直後の安心感を強調させています。

ツンデレの極み!

【サビは ”チョイ足し6415進行” 】

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まず「6415進行」について説明します。

こちらは 1:03〜「こーんや〜」の部分です。

上記のカノン進行、小室進行、丸の内サディスティック進行、どのパターンにも属さないこの流れ

英国パンクロックやOasis等に代表されるギターロックバンドに多く見られる 6415進行 と呼ばれることがあります。コードが、6度マイナー→4度→1度→5度 と進むのでその頭文字をとって「6415

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この進行の面白いところは
安心させて→一安心させて→安心させて→いきなり不安にさせる

その後も同じ進行が繰り返されるので


安心させて→一安心させて→安心させて→不安→安心させて→一安心させて→安心させて→不安・・・


0:35〜歌い出しいきなり不安にさせたけど、

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全体見通すと、安心する瞬間のほうが多い

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上級者のやり口です
まさしく「デートが超絶上手い変態紳士」

Rock wag-ramの場合はこの進行に、たった1音をチョイ足しします
一般的な6415に↓

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青文字の音を足しました↓

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たった1つこの音がしばらくずっと鳴り続けることで、激しく動く和音の中にも統一感が生まれ、印象ががらっと変わります。

コードの表記は青文字のように変わります↓

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これがチョイ足しの全貌です。美しい響きですね

奇をてらってなんでもかんでもチョイ足しすればよいというわけではなく、この曲においては「この音ベストチョイス!」と思った一番の要因があります。

それがこちら 青文字表記の部分↓

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サビの部分、特に盛り上がりを見せるこの1音。
実は、コードにチョイ足しした同じ音(E♭)です。

サビで一番強い印象を持つ音と同じ音を、背景(和音)にも足すことで、メロディとの親和性を強めているという結果になってます。ただの6415進行じゃなかった秘密はここにありました。

【やはりデート上級者でした】

普段行き慣れたデートコースも、馴染みの店や夢の国も、訪れる時間やタイミングを変えるだけで印象が全く変わるってことが音楽にも言えます。

そこに、この日だけの特別感をチョイ足し

こんなんやられたらそりゃ

「次がまた楽しみ」ってなります

幸せなことに、音楽は「繰り返し楽しめる」もので、そう簡単に消えて無くならないものなので、

歌詞の世界、曲の世界を楽しんだ後は、
和音の世界にどっぷり浸かって、自分だけの問いを作って解を見つけるという楽しみ方も、僕から提案させて頂きます。

で、僕のみつけた解は

「デートが超絶上手い変態紳士」

でした


最後まで読んでいただきありがとうございました!!

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