フィンランドでスリに遭ったお話。
まずはじめに、
日本を出る時は用心してください。
どこの国でも、
危険はつきものです。
絶対にここは安全。
なんて場所はありません。
旅に出る前は必ず、
・保険のチェック
・海外の警察署の場所
は確認しておいてください。
海外旅行で楽しく無事に帰国できたあなたはラッキーな人。
怯えすぎるのもよくないですが、
油断は禁物です。
旅に慣れたころ、被害に出くわす!
わたしもそう聞いていたひとりでした。
まさかわたしが?
そう思った時には遅かったお話です。
2020年2月。
念願のフィンランドへ。
半月ほどの滞在を予定しており、
友人を訪問したり、芸術めぐりをしたり、
北欧の暮らしを満喫しようと半年ほど前より準備を進めてきました。
『世界一幸福度の高い国』と言われるフィンランド。
私にとって、
この国での滞在は初めてではありません。
2017年に1年ほどお仕事で滞在し、
そこで心の底からひかれたこの国に魅了され、
何度か小旅行を計画しては遊びに戻ってきていました。
もはやヘルシンキはわたしの庭!
とも思えるくらい、
あちこちを歩き、探索をした慣れ親しんだ街でもあります。
(怖くて乗り物に乗れない頃は毎日歩いていました)
他の国では絶対にありえない夜道の一人歩きも、
歩けてしまうのがヘルシンキ。
(もちろん気を付けるのは大前提で)
街も芸術的で穏やかで。
まさに幸せの象徴!安全の塊!
なぁんて思って、油断をしていた時、事件は起こりました。
ヘルシンキに到着してから二日目、
わたしは早起きをして、
懐かしい街をのんびりお散歩をしていました。
背中には以前購入したマリメッコのリュック。
その中にはお菓子や書籍、文房具など、いろいろなものが入っていました。
きれいな景色のところでゆったりしよう。
そう思っていました。
気持ちはとても高まっておりました。
慣れ親しんだ街、心地よい空気、胸を熱くする美しい景色。
何もかもが嬉しくて、
完全に油断をしておりました。
普段、旅行へ行く時、
リュックなど持つことはありません。
いつでも肌身離さずいられるよう、
ショルダーバックがほとんどです。
また、現金は小分けにして、いろいろな財布を持ち歩きます。
が、この日はまぁいいか。
そんな謎の安心感がわたしを後悔の道へと引きずり込みました。
お昼ご飯を食べ、
まさにヘルシンキの中心部ともいえる場所、
エスプラナーディ通りをお散歩し、
あちこちお店を見たりしながら過ごしました。
夏場には、
この公園付近でたくさんの方が日光浴をしている風景が印象的な
あたたかなイメージの場所です。
小さな雑貨屋さんをひとつひとつまわり、
帰りのお土産を先に買っておこうかな?
なぁんてのんきなことを考えていた時のことでした。
ぼーっとお店の戸を開いた時、
目のまえをすごいスピードの人が走っていくのが目に入りました。
「つかまえて!」
と、そのすぐあとに響いた大声に驚いた時、
日本人の男性に思いっきりぶつかられました。
「え?日本語?」
と思った時、地面が揺れ、わたしは思いっきり吹っ飛び、
背中から大きく転ぶことになりました。
まわりの人が唖然としていて、
わたしも何が起ったのかわからない状況でした。
少しして、周りの人が大丈夫?と近づいてきてくれました。
支えて起こしてくれた方もいます。
お尻がとても痛く、そして恥ずかしい。
今すぐその場を去りたくなったその時、
わたしにぶつかった男性が戻ってきて、申し訳なさそうに頭をさげました。
「スリに遭ってしまって・・・」
彼は言いました。
日本語だったので、ほっとしたのを覚えています。
追いかけたけど、逃げられてしまったのだと。
その後ろで泣きながら追いかけてきた女性は奥さんだと言います。
フィンランドでスリなんているんですね?
安全だと思っていただけに、
恐ろしいものですね・・・
と話していた時、
「ねぇ、あなたのリュック、あいてますよ」
と、奥さんに指摘され、
さっと血の気が引いたことはきっと一生忘れません。
え?となり、
慌ててリュックを下ろすと、
まさに言葉のとおり、リュックがぱっくり開いていました。
え?
頭の中が真っ白になりました。
ま、まさか・・・
全力でリュックの中をあさります。
な、ない・・・
途方にくれました。
五分ほど前まではあった現金の入ったポーチがなくなっていたんです。
しかも買ったばかりの電子辞書も一緒に。
頭の中がフリーズしました。
いつ、どこで?なんで?
いろんな思考が脳内を巡ります。
記憶が断片的な写真のように脳内でフラッシュバックを繰り返します。
五分前まではあった。
脳内で、いつも同じ答えにたどり着きます。
転んでしまうまでは。
そこで思い出しました。
わたしをささえて起こしてくれた人がいたことを・・・
ま、まさか・・・
スリに遭ったという夫婦は、
今度はとてもわたしを心配してくれていたようでしたが、
ふたりの言葉は耳に入りません。
適当に話を流し、わたしはあわててその場をあとにしました。
頭の中は真っ白でした。
楽しそうに笑う人々が別次元にいる人たちに見えました。
助けて!
返して!!
お願い返して!!!!
思わずセカチューばりに叫びたくなった瞬間でした。
『ヘルシンキの中心で助けを叫ぶ』
そんな心境でした。
手持ちの現金は4万円でした。
カードはスマホのカバーに入れてあったので、
不幸中の幸いにも無事でした。
普段の生活はカードで過ごす予定でした。
キャッシュレスの最前線にあるフィンランドではあまり使えないかもしれない。
そう思って4万円をユーロに両替をして1万円は日本円で持ってきていました。
もともとカードで生活をする予定でした。
が、4万円が一気に消えたことは、
私にとっては大打撃な事件でした。
そのあとは何もかもが怖くなり、慌ててホテルへ逃げ帰りました。
まわりのすべての人が敵のように思え、
リュックをコートで隠すようにして走って帰りました。
ホテルの中で、半泣きでリュックをひっくり返しても、
やはり現金の入ったポーチは出てきませんでした。
カメラは無事だったので、
カメラでなくてよかったと途方に暮れながらベッドに横になりました。
まだ明るかったのに、
その日のわたしは再起不能になったように動けなくなりました。
気が狂うように、
『フィンランド スリ』
というキーワードで検索をかけ、
同じような事件はなかったものかと調べたものです。
でも、似たような事件はほとんどなく、
あるとするならば他の国で起ったスリのお話。
世界ではこんなにも事件が起こっていて、
なぜそんな中でわたしは油断してしまっていたのか。
日本をでたら常識も変わる。
保証できる安全なものなどなかったはずなのに。
慣れたことにすっかり油断したわたしの落ち度でした。
落ち込んでしまって、
いやな他国での事件のツイートや記事を読みながら、
いつの間にかわたしは眠りについていました。
目覚めた時、体は重く、
これが夢であったらなと思ったものの、
机の上に広がったリュックの中身を見て現実に戻りました。
あと半月。
友達のおうちにも遊びに行きたかったし、
買いたいものもあった。
行ってみたい土地もあった。
でも、ホテルから出るのが怖い。
大好きだった街の印象が、
とても怖いと思えた瞬間でした。
(もちろん、今は大好きに戻っていますが^^)
現金がなくなってしまったことで、
いろんなことへのやる気がなくなってしまいました。
ずっとホテルにいようかなぁとさえ思ったものです。
とりあえず、
被害届だけは出せ!
とどの被害者の文章にもあったため、
被害届だけ出すことに決めました。
海外で何かあった時、
現地での被害届がないと何も始まらない。
そのくらい大切なものが『ポリスレポート』
現地で必ずもらわないといけないものです。
時刻はまだ夕方の5時くらいだったので、
近くの交番へ行こうとわたしは重い腰をあげました。
と、これが、
わたしがヘルシンキにてスリ被害にあったお話です。
次は警察へ行ったお話へ続きます。
長くなりましたが、
読んでくださりありがとうございました。