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ジャックオーランタンの話(スコットランド)

今日は万聖節。
以前ハロウィン、万聖節絡みのお話を集めていた事がある。
その中から一つ紹介。

スコットランドの話(ドイツ語から翻訳)


万聖節の夕暮れの事。
酒好きの鍛冶屋がぽつりとたった一人で居酒屋に座っていた。
ジャックって言う奴だ。
そこへ悪魔がやってきた。
ジャックは悪魔に俺の命と引き換えに、最後の一杯を飲ませてくれとせがんだよ。
ジャックの財布はもちろん空っぽだったんで、悪魔は酒一杯分の6ペンスに変身したんだ。
ところがジャックはその6ペンスで酒を買わずに財布に入れちまった。その財布にゃ、十字架の鍵が付いてたもんで、悪魔の奴は出られなくなっちまったよ。
鍛冶屋は悪魔に十年間猶予をくれりゃ、解放してやろうと話を持ちかけたんだ。
悪魔としちゃあ、首を立てに振るしかなかった。

さて十年後の万聖節の晩に悪魔はジャックを連れに来たよ。
そこでジャックは、また一つ頼みごとをしたんだ。
リンゴを一つもいできて欲しいってな。
やらなきゃいいのに悪魔の奴は木の天辺に登った。
その時、ジャックはナイフで木の幹に十字を彫ったもんだから、またもや悪魔は木の天辺に釘付けで身動きとれずさ。
鍛冶屋はもう二度と魂を取りには来ないと悪魔に約束させちまった。

ジャックがとうとう死んじまった時、生前の行ないが悪かったもんで天国の門が開くわけないさ。結局地獄に送られちまったよ。
だけどそこでも門前払いさ。だって悪魔はジャックの魂を取らないって約束しちまったんだものな。
彼は元来たところに返される事になった。
道中寒いし暗いしするんでジャックは地獄の業火の炭火を一つ貰って行った。
鍛冶屋は炭火を、風よけに刳り貫いた蕪の中に入れてぶらぶらぶら下げて行ったよ。
それ以来彼の呪われちまった魂とランタンが万聖説の前の晩の暗闇を彷徨ってるんだね。最後の審判の、その日までな。



これがjack-o-lanternの始まり。


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