短歌十二首「独り占めする」
ドンドンドン 叩いたところで応じない壊れたテレビも引きこもりも
助手席の人の形に空いた穴埋めようとして大きくなって
「こっちかな」と歩き出して遠回り迷子になってから地図をみた
正解なんてない素晴らしい世界 僕だけずっと間違えている
褒め言葉だと受け取った 気を遣って謝る君のそういうところ
ブロックをされたのではとスタンプをプレゼントするそういうところ
一人ーーだと優雅にみえてぼっちーーだと淋しくみえる それが寂しい
同じ場所で違う花火を見たのか まるで歩幅が合わなくなった
ほとんどをどうでもいいと思いたい今日も夜中を独り占めする
つまらない最後の夜の前置きに 愛されたいよ 「私帰るね」
歯を磨き部屋を片付けオシャレしてコーヒー淹れてさて死にますか
シアターの徐々に明るくなるような撫でられ方に無音の涙
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