絶対に急騰株に手を出してはいけない理由 第二章
皆さん、こんにちは。アメリカ株式義塾です。
今回の連載
「絶対に手を出してはいけない投資の落とし穴 急騰株」では、
つい手を出したくなってしまう急騰株や仕手株に潜む罠をお伝えします。
第2章では、急騰直後に企業がオファリングを行う理由を解説します。
それでは早速見て行きましょう!
第一章はこちらから
数十パーセント、数百パーセント急騰した直後にオファリングを行うのはなぜなのか?
ちなみに、例えば韓国株の世界には様々な仕手筋が存在します。特定の銘柄を爆上げさせて一儲けしようとする裏社会の大富豪、運用会社、外国人などが派閥をつくり、それぞれの銘柄の出来高を上げ、とにかく目立たせたりするわけです。
これに関してはやはり韓国株が最も分かりやすい例になります。一方、特定の会社の代表取締役を含む大株主たちがボロモウケするつもりで裏社会の大富豪たちと手を組み、株価の操作を図ることもあります。
例えばエジソン・モータースとその子会社であるエジソンEVは、このような状況の代表例です。これらの会社は、自社の規模をはるかに超える双竜自動車を買収するというニュースで多くの投資家からいきなり注目を集めました。その結果、6,000ウォンだった株価は63,400ウォンまで10倍以上に爆上げしました。案の定、株価が急騰したとたん仕手筋はすぐに株をすべて売却していました。
上限と下限に縛られていない米国株の場合、こうした株価操作はいかにも簡単にできます。韓国株の世界と違うところは、「材料無し急騰株」の場合、仕手筋と当該会社の結託で生まれる場合が多い点です。その目的は、言うまでもなく、ボロ儲けするため、または持ち株比率を引き上げるためです。
米国株の世界では、仕手筋と特定の会社が手を組み、個人投資家たちに罠を仕掛けてお金を稼ぐ仕組みがよく見かけられます。これから仕手筋が使う手口を詳しく説明します。
株価が爆上げした直後、時価総額の8分の1から2倍以上のオファリングが実施された銘柄の場合、黒幕のシナリオは大きく分けて二つあります。
方法1:仕手筋の空売りと会社側の協力
手元に持っていない株を借りて、高値で売ってから安値で買い戻すと、コピー・アンド・ペーストのごとくお金を無尽に張り付けられるという方法があります。
特定の会社がオファリングする旨を表明する際に、普通株を発行しつつ、ワラント債(新株引受権付社債)の方をより多く発行する場合があります。こういう時は腹黒い目的を隠していると考えてもいいと言っても過言ではありません。はい、お察しの通り、これは空売りとつながる話です。
ここで、空売りとは株価が高い時に「手元に持っていない株を借りて」売った後に、借りた分だけ安値で買い戻して返却することを言います。
仕手筋と特定の会社が結託してぼろ儲けする方法はとてもシンプルです。それは、オファリングを行う際に、普通株よりも多くのワラント債を発行することです。この場合、オファリングを通じて安値で新株を購入できるワラント債は市場に出回らず、空売りするつもりであらかじめワラント債を購入した仕手筋側に渡されます。
ワラント債とは?
これはワラント債の発行を前提に会社が資金を調達する話ですが、実際にはワラント債そのものを仕手筋に売ってしまうケースもあります。その会社と手を組んだ仕手筋は、高値の時点で手元に持っていない株を借りて空売りを図り、会社がオファリングを行うように指示します。オファリングにより株価を暴落させてから、ワラント債を通じて安値で買い戻し、借りた株を返却する仕組みなのです。
さて、仕手筋はともかく、会社の方はどうやって儲けを出すのでしょうか?
ワラント債を発行する際に、このワラント債(行使価格で新株を買える権利)そのものに値段を付けます。例えば、ある会社の一株を3ドルで買えるワラント債を一株当たり0.5ドルずつプレミアムをつけて仕手筋に売っていたとしましょう。このプレミアムが会社が手にする利益となります。それでは、ここまでの内容をまとめてみましょう。
(1)儲かる人
・仕手筋は、高値の時に空売りし、事前に安値で買っておいたワラント債で借りた株を返却して儲かる。
・会社は、仕手筋に売ったワラント債につけたプレミアムで儲かる。
(2)損する人
・何も知らなかった旧株の持ち主たちは増えた株と暴落した株価のせいで大損を抱える。
・急騰株を高値掴みした個人投資家たちは損切りもできずふるい落としを食らう。
これが罠の仕組みなのです。急騰も、急落も全部脚本通りです。このような裏の事情を知らない個人投資家たちは「無知は罪なり」のごとく負けるしかありません。
チャート、ボリンジャーバンド、取引量、そして上値抵抗線と下値支持線まで真面目にチェックしたところで、何も変わりませんよ?だって、ハメられたわけなんですから…
方法2:仕手筋と持ち株比率を引き上げようとする会社側の協力
会社側が最低限の費用で持ち株比率を引き上げるためにこのような罠を仕掛けるというものです。
二番目のシナリオは会社が持株比率を高める場合です。オープンマーケットに出回る株が多すぎる状況で、逆に内部者の持ち株は少なすぎると危機意識を持った時、裏社会の大富豪と手を組んでこういう作戦を練ることもあります。
ここで、「えっ、オファリングということは新株を市場に放出することじゃなかったっけ?だとすれば、会社の持ち株比率だって下がるだろうに一体どういうことだろう?」という疑問が湧いてくると思います。
例を挙げてみましょう。
・A社の旧株の数は100万株、株価は3ドルである。
・オープンマーケットを状況を見ると、A社の株主たちは70万株、会社側は30万株を保有している。
・会社側の持株比率は30%
ここで、A社が30%の持株比率を高めたいとしましょう。一番シンプルな方法は自社株を購入することです。現時点での株価は3ドルなので、3.5ドルからスタートしてオープンマーケットで30万株を買うと、持株比率は60%に上がります。
しかし、そうすれば大きな費用がかかります。時価より高値で株を買い続けると、さらに株価が上昇してしまうからです。
そうした背景から、A社は裏社会の大富豪と手を組んでまで株価を爆上げさせます。裏社会の大富豪だと、一般投資家とは桁が違う資金の流れで株価を「一時的に」急騰させることができるからです。したがって、A社は自社株を購入する費用を抑え、クロス取引を始めます。株価の操作には「手元にある資金量」がポイントなので、「お金をたくさん支払う」必要はありません。
しかし、裏社会の大富豪がクロス取引をしたところで、「神の見えざる手」により株価はいずれにせよ元の価格に戻ってきます。そもそも急騰する材料がないからです。つまり、株価のことはもうどうでもいいわけです。一時的に大化けした株価に飛びついてくる個人投資家のお金が狙いのまとだったのです。そしてA会社はオファリングでとどめの一撃を決めます。
・A社が一株当たり2ドルで20万株を市場にぶん投げる。
その時、オファリングのせいで市場に溢れ出る株を裏社会の大富豪と個人投資家たちが買い始めます。両者が半分ずつ購入すると想定してみましょう。
そうすると、裏社会の大富豪が10万株、個人投資家たちが10万株を買うことになります。さらに、半値になってしまった株価にパニックして損切りをする個人投資家たちと旧株の持ち主たちのことも考えなければなりません。仮に、彼らが20万株を売るとします。暴落した株価のせいで頭が真っ白になり、損切りに突っ走ってしまいます。人間の心理ってそんなもんです。
ぞっとしますよね?
このように、A社は裏社会の大富豪にプレミアムを支払い、割安のコストで持株比率を引き上げることに成功しました。「最安値で強奪」された個人投資家たちの持ち株が養分にされてしまったのです。
材料も特にないのに急上昇した直後、オファリングするというケースは、たいていはこうした腹黒い目的を隠しています。裏を返せば、合理的な理由なしの爆上がりの結果は、オファリングによる暴落と投資をシャットダウンさせられる末路のみだということです。
この通り、仕手株の場合は企業そのものが仕手筋であるケースが多くあります。こういう会社は個人投資家を金儲けの道具としか思っていません。また、オープンマーケットで最安値で自社株買いに成功し、持ち株比率を引き上げるという目的のために動いていたりもします。よって、これらは絶対に手を出してはいけない銘柄なのです。
さあこれで、今回の連載「絶対に手を出してはいけない投資の落とし穴 急騰株と仕手株」は終わりになります。
個人投資家にとって「絶対にマズイ株、すなわち急騰株、仕手株」に飛びつくことは負け戦のようなものです。企業にとって最高のカモにならないよう、このような米国株には最初から手を出さないようにくれぐれもご留意ください。急騰株に乗っからなくてもお金持ちになれますし、焦らずじっくりとタイミングを狙っているうちにチャンスに恵まれる日が訪れます。「アメリカ株式義塾」は投資の王道を進む皆様を全力でサポートします。
ご清覧ありがとうございました。✧٩(ˊωˋ*)و✧
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