円安の将来:一発で40円円高になるって?!〜日本を操る影武者米国〜①
みなさん、こんにちは!米国株式義塾です。
君たち誰?
挨拶が遅くなりすみません。私たちの自己紹介兼、アメリカ株式義塾の開校知らせを一度お読みください。
さて、今回は「円安の将来 ー日本を操る影武者米国と円キャリートレードー」第1回です。
最近のドル円相場は160円を突破したり、はたまた一気に下落したりと大きな動きがありました。
数年前には1ドル140円台でも高いと感じられたのに、現在はさらに円安が進行しています。
この連載では、ここまで円安が進行したのはなぜなのか、なぜ円安基調が続いているのか、影で日本を操る存在は誰なのか解説していきます。
今はこうせざるを得ない事情があるのです。
さあ、早速第一回をはじめましょう。
2023年末から2024年初頭にかけて、2%のインフレ達成が遅れることを「直感」した市場参加者は、金利引き下げへの期待を大きく反映して市場金利を急速に引き下げましたが、物価がなかなか上がらないどころか上昇しているように見えると考えるようになり、スタンスを180度変えています。
再び挙げる米国債金利
一時は今年に6回の利下げを期待して10年物金利は3.8%まで下がりましたが、その期待は見事に打ち砕かれ、現在は、30年に一度という5%を再び目前にしています。債券をポートフォリオに入れるか入れないか悩んで結局入れなかった方には大きなチャンスが戻ってきているのです。
しかし、金利が上がるということは、企業や家計の流動性の面、つまり、私たちがお金を使うには制限的な状況になるということであり、当然ながら、株式市場にとってはネガティブな要素であることは間違いありません。 実際、このような現象は、証券市場だけでなく、膨大なお金が動く外国為替市場にさらに大きな打撃を与えています。
底を打つ円ードル為替
わずか3年前には1ドル110円付近で動いていたドル円為替レートは、今や150円台後半にまで下がりました。数日前には1ドル160円まで急激に対ドルの為替レートが下がり、日本銀行が5兆円規模の為替介入を断行しました。昨年の140円台の為替レートですら高すぎると感じていたのに、今はもう140円だとかなり良く感じられる、まさに為替レートのニューノーマルの時代が到来したようです。
このように通貨価値が急激に落ちる現象は、日本の円だけに起こっているというわけではありません。中国人民元も、韓国ウォンもドルに比べて価値が急激に落ちています。最近では、このような為替問題を改善するために、日米韓財務相会談も開かれました。
他の国の通貨の対ドル為替レートもすべて落ちているのに、なぜ日本円は特に世界的な注目を集めているのでしょうか?
その理由は、世界経済で円が占める規模が非常に大きいからです。中国は管理変動相場制を採用しているので、別で考えるとして、日本の経済規模は韓国の2.5倍以上であるため、韓国ウォン為替レートも円と同様にドルに対して下方圧力を受けているとしても、円ほど国際的注目を浴びないのです。
さて、少し前置きが長くなりましたが、本日は、私たち皆が実感していて、リアルタイムで進行している、円安という現象についてお話したいと思います。
いったいなぜ円の価値は底を打っているのか?
日本の不十分な対応が招いた事態
さて、本題に入る前に知っておくべきことがあります。
昔々~なんてあまり昔の話をしたくはありませんが、1990年3月に円はかつて1ドル160円だったことがあります。
つい数日前にも1ドル160円を記録していましたよね?
今見ることができる円安の現象は、ほぼ34年ぶりに起こったビッグイベントなのです。アメリカの10年物金利も30年に1度の水準、円安も34年ぶり、どうやら私たちは歴史の1ページに刻まれる出来事を目の前にしているようです。
上のチャートはドル/円レートの変動を示したグラフです。青色の線が描かれているのを見ることができます。上から1ドル=160、155、150円を基準に描いた線です。ただなんとなく5ずつ区切って線を書いたのではないか、なんて思うかもしれませんが、
BOJ(日本銀行)の立場では何としても守りたい、心理的にも技術的にも非常に重要な、いわゆる防衛ラインと呼ばれるポイントです。
円安が深刻化するたびに、日本銀行は150、155を起点として口先介入やドル売りで円高を強引に押し上げようとしてきました。 今でこそレートは155を超え160を視野に入れていますが、過去、すなわち、2022年や2023年末には150を守るために必死の介入が行われてきました。
[過去]
日本銀行:150のラインは何があっても踏ませない!
日本銀行: うーん…いつのまに150のラインの進入を許してしまっていたのだろうか(´;ω;`)ウッ…
今回ばかりは仕方ない…150のラインは譲ろう。155を超えるのは許さない!
[現在]
日本銀行: いや…155は絶対に守ると決めていたのに… この先の160こそ本当に行かせないぞ( ノД`)シクシク…
上のチャートを見れば分かるように、通貨の強気や弱気は通常、一度どちらかの流れが起きると長い周期でその流れを持っていく傾向がありますが、2022年9月、日本銀行はドルが150円を突破すると、円安がより長く、より強い流れにつながってしまう可能性があると判断し、気合を入れて防御に成功しました。
この2022年9月頃の介入のように、長い時間と大量のドルを費やして円高を人為的に作り出すこともできますし、下の写真のように消火器で小さな火種を消すようにドルを売って円を買うこともあります。
というか、この間日銀マイナス金利解除したけど?
ところで、こんな疑問を持ちませんでしたか。
白カブ: 私は確かに日本が金利を上げたというニュースを見たのに、なぜ円の価値はむしろもっと下がっているの?
そうですね。 2024年3月、日本は17年ぶりにマイナス金利政策を解除し、今は日本も銀行にお金を入れておけば元本保証の上利子までつくという驚くべき世界に突入しました。
マイナス金利政策を17年ぶりに解除したなんて、もう大大大ニュースです。
それなのになぜ、円の価値は上がらなかったのでしょうか?
実は私たちが見過ごしていた部分があったのです。
それは「どれくらい金利を上げたのか?」という点です。
解除はしたけど、不十分
日本は短期金利を従来の-0.1%から0~0.1%に、文字通り米粒一粒分だけ上げました。これは市場の期待を満足させるには不十分で、円安を反転させることに失敗しました。 現代のすべての道はアメリカに通じるということで、アメリカを基準にして相対評価をすれば、いかにほんの少ししか変化していないのか実感できますよね。
例えば、米国の10年物の金利が5%のとき、日本の国債の金利が1.0%か1.1%かでは大きな差は生まれません。 つまり、日米の長期物スプレッド(先ほどの5%と1~1.1%の差)がなかなか大きく縮まらないという見通しと、円キャリートレードが今後も続くという判断から、円安が続いているわけです。 さらに、長期国債を買い続けて金利の上昇を阻止するとの発表で、円安基調は強まっています。
政策金利を上げながら国債を継続的に買い続けるというのは、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるような
非常に逆説的な状況
と言えます。
円相場は3月以降、継続的に円安が進行しており、さらにこの流れを加速させたきっかけは4月の日本銀行の基準金利凍結のニュースでした。円安を反転させるためには、少なくとも国債の買い入れを減らすか、金利を引き上げるなどの措置が必要でしたが、そのような行動は一切なく、むしろ円安が日本に与える影響は極めて小さいとして議論を却下しました。
そして、その結果、円の空売りが爆発的に増加し、一時1ドル160円を突破するという歴史に残るような出来事が起こったわけなのです。
海外旅行を控えている方にとっては非常に悲しいニュースですね。
今回のポイント
日本銀行はマイナス金利政策を解除して金利を上げたものの、上げ幅はわずかであり、依然として円キャリートレードは続くとの判断から円安が続いている。
さらに日銀が長期国債を買い続け、金利の上昇を阻止すると発表したことからさらに円安基調が強まった。
日銀は足元で急速に進む円安の影響は極めて小さいと考え、措置を講じなかった。
円安基調が続く理由について学びましたね。
第二回では、弱気な円相場からの脱却は可能なのか見ていきましょう。
※「円安の将来 ー日本を操る影武者米国と円キャリートレードー」は連載となります。次回投稿までしばらくお待ちください※