『アルカナリア』- Tori-co-Role楽曲紹介
こんばんは。
あけましておめでとうございます!
1月といえば本当に寒くなる季節なので、皆様お体にはお気をつけて乗り切りましょう(僕は寒さが苦手で苦手で・・・orz)。
さて、今回はTori-co-Roleのボーカロイド楽曲第二弾であり、初のMVとなった『アルカナリア』の紹介をしたいと思います!(とても今更)
『アルカナリア』 - ニコニコ動画
『アルカナリア』 - YouTube
作業分担について
作曲、編曲、動画編集⇒うっしー
イラスト、歌詞、絵コンテ⇒くれはさん
楽曲制作全体の振り返り
前回(https://note.com/usshi_at_torico/n/nf90f8b461e94)と同様、作り始めはだいぶ前の曲です。
もう当時の記憶があやふやだけど、最初は歌詞もちゃんと決まってなくて曲の案と並行して考えていた気がします。
でメロディのアイディアもいくつか出してみてもなかなかピンと来なくて、初めて今のサビの形が出てきたのがこのDemoファイル。
ほぼサビだけなんだけど、サビはもうかなり形ができてる笑
初のMVということもあり、かなり思い入れのある一曲となりました。
曲そのものについても何度も修正を繰り返して今の形になっています。
『ふわり。夏のおわりに』は結構勢いで作った部分がありましたが、今回の楽曲はじっくり細かいところまで作り込んだ楽曲です。
イラストについてはくれはさん担当ですが、今回はかなりの枚数描いてもらったので大変だったろうなぁ・・・と。
絵コンテ作ったのもくれはさんなので、覚悟して臨んだとは思いますが笑
イラストについてではないのですが、前回同様くれはさんからもコメントをもらいましたので載せておきますね!
作編曲について
使用DAW:Ability Pro
楽器編成&VSTi
Vo. : 鏡音リン・レン V4X (鏡音リンV4X Power)
Cho.1 : 鏡音リン・レン V4X (鏡音リンV4X Power)
Cho.2 : 鏡音リン・レン V4X (鏡音リンV4X Power)
E.Gt.1 : Ample Guitar VC - Default
E.Gt.2 : Ample Guitar VC - Default
E.Gt.3 : Ample Guitar VC - Default
Ba. : SampleTank4 - P Bass Fat Finger Amp
Drms. : BFD Eco - "Processed - Funk 05"
Synth1 : SpectralSSW_64 - pf RhodesWink (keys piano)
Synth2 : SpectralSSW_64 - fn Low Bass (bass)
Synth3 : Alpha_SSW9 - KEY Bell Stack vv (AlphaFREE 2)
Synth4 : Alpha_SSW9 - Swirly (LS) (Pads 2)
Synth5 : CrX4_SSW10 - Midsyndlypiano jb (Keys)
Synth6 : SpectralSSW_64 - ho SpectralPianotails (keys synth)
Others : * (音源は忘れた。イントロで使ってるシンバルのリバース)
実際には必要に応じて一部のフレーズだけトラック分けてるので、全部で25トラックくらいでした。
E.Gt., Ba, Drms, Synth4はちょっといじってますが、それ以外はプリセットまんまです(記憶では・・・)。
ちなみにギターについては処理負荷が大きすぎる&起動が遅い&弦の設定が面倒という理由で、編集用にプロジェクト分けてます。
コードについて
KeyはAメロがE minor, BメロがB minor, サビがF# minor)で5度ずつ転調しています。
コードについてはあまり詳しくなくて、有益な情報も出せそうにないので詳細は書きません笑
この曲は凝ったことも何もしてないしね。
サビ前の盛り上げ
解説って程でもないんだけど、当時はわからずに使っていたものが今調べると色々わかる部分もあるので、備忘録を兼ねてプリセットからいじった部分について書いていきます。
サビ前の盛り上げとして、Synth4(Alpha_SSW9 - Swirly (LS)のプリセットを少しいじったもの)を入れています。
譜面的にはこんな感じで、ただの全音譜の和音。
実際の曲中ではそこまで激しく主張していないのでわかりづらいかなと思うので、Synth4の音だけ強調してみたのがこちら。
プリセットそのままだとこんな感じになります↓
赤丸を付けたところがいじったところ。
今になってマニュアルを読んだりすると理解が深まりますね。
※当時は本当に全然わかっておらず、聴きながら試行錯誤してました・・・
■ノイズ
まず「MIX」グループにある下段のつまみは「ノイズをどれだけ加えるか」を調整できます。手元にあるマニュアルが古いようで、つまみの下に並んだ3つのボタン(画像では白が点灯)については記載がないのですが、カラードノイズを選択できるようです。ノイズにもいろいろ種類があって、それを変えることで音色を変えられる仕組みですね。色がちょっと微妙なんですが、左からホワイトノイズ、パープルノイズ、ブラウニアンノイズかと思います。
ノイズに関してはwikiの「カラードノイズ」のページ(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%8E%E3%82%A4%E3%82%BA)で視聴できますが、音程にもよるので正直どれなのかはあまり区別がつきません・・・笑
ホワイトノイズやピンクノイズはなんとなく知っていましたが、他は初耳でした。ブラウニアンノイズはランダムウォークのことらしいです(ちなみにブラウンは色ではないらしい)。
ちょっと脱線しましたが、今回はホワイトノイズを足してざらざらした音にしています。
■ドライブ
「FILTER」の"drive"はギターアンプなんかでもおなじみの歪みを追加するためのものです。今回は少し歪ませています。
■レゾナンス(カットオフ周波数付近の強調)
「FILTER」内の"cutoff"つまみ、"reso"つまみ、その下のボタン(12, 24, 24+, BP, HP)の3つは、通過させる周波数帯を変えるためのフィルターとなっています。ノイズ除去なんかでも使われるものですね。
ボタンごとに以下の効果となっています。
◆"12", "24", "24+" → ローパスフィルタ(低周波数を通して高周波数を減衰させる)
◆"BP" → バンドパスフィルタ(低周波数・高周波数を減衰させて、中域を通す)
◆"HP" → ハイパスフィルタ(高周波数を通して、低周波数を減衰させる)
"cutoff"つまみはカットオフ周波数を変更します。カットオフ周波数というのは、音の減衰が始まる周波数です。たとえば「1kHz以上はカットし、それ未満は通過させる」というフィルタの場合、1kHzがカットオフ周波数ですね。
"reso"はレゾナンスです。カットオフ周波数付近を強調させる場合に使います。
今回はレゾナンスを少し上げて音色を変えています。
今はフィルターに関して少し知っている&マニュアル読んでるのである程度理解できますが、僕も当時は本当に全く分かっていませんでした・・・ww
この辺の話はとても長くなってしまうので、また別の機会に預けたいと思います。
■FILTERのアタック
「FILTER」の"att"はアタックで、マニュアルでは「カットオフ・エンベローブが最大値になるまでの時間を設定」とあるので、これを大きくすると「音の鳴り始めはローパスフィルタがかからず、遅れてローパスフィルタがかかる」という動きだと思うのですが、いろいろ実験したものの効果はわかりませんでした。また機会があった時にちゃんと調べてみたいと思います。
■AMP
「AMP」の"att"はアタックで、音の立ち上がりを遅れさせることができます。ざっくりいえば音の鳴り始めフェードインさせるということなので、これは結構感覚的にもわかりやすいですね。つまみを右いっぱいに回すと鳴り始めから10秒後に100%の音量になるようです。
サビに向けて盛り上がっていく感じを出したかったので、立ち上がりを遅くしフェードインの効果を出しています。
"sust"はサスティーンで、"att"+"dec"の時間が経過した後の音量です。プリセットより少し大きめに設定していますが、今になってみると今回の用途ではあまり必要ないですね。
"fade"はフェードイン/アウトを設定します。今回はフェードインのほうに設定しています(右に回すほどフェードイン時間が長くなる)。詳細は省きますが、これも今回はあまり意味はありませんでした。
サビ3のドラム
こちらもちょっと聞こえにくいので、ドラムだけの音源にしました。
シンプルなフレーズなんですが、オートメーションを使ってイコライザーをかけているのでだいぶ印象が変わっています。
元の音源はこちら。
ドラムフレーズをオーディオファイルに書き出しを行った後、イコライザーを追加してオートメーションにより音が変化していく表現を作っています。
Abilityではソングエディタのオーディオトラックにある"+"ボタンをクリックすることで、オートメーションを設定できます(下図は"+"ボタンをクリックした後です)。
今回は6Band EQを使用しているので、プルダウンから「その他…」を選択し、利用可能なオートメーションの一覧から「Insert:1:6BandEQ - 20:Freq5」を選択し、5番目の調整ポイントの周波数をインサートしています。
今回インサートしたオートメーションは、6BandEQの画面上では青枠のパラメータに当たります。
概ね赤枠の範囲で変化するようにオートメーションを作成します。
ソングエディタのワークスぺースを右クリックして「コントロール入力」を選んでからオートメーションを書き込みます。
書き込んだ結果が以下のとおりです。
この状態で再生すると、6BandEQのGUI上でもパラメータが変化していることが確認できます。
動画について
使用ソフトはAviUtlで、ちゃんとしたMVを作るのは当時まだ2曲目(1曲目はデモ版を作っただけで未投稿の作品)だったので、必要になったプラグインを随時入れながら進めました。
全体
全体的なつくりとしてはカメラ制御を使った演出の多い構成になっています。
ざっくり紹介するとこんな感じです。
Aメロ1:手振れやスライダーを使った静かな感じの表現+カメラ制御
Bメロ1:Aメロ1と同じ
サビ1:カメラ制御を使った演出+パーティクルを使った表現
間奏1:シンプルなアニメーション
Bメロ2:カメラ制御を使ったアニメーション
サビ2:カメラ制御+音声波形を使った雨表現
間奏2:カメラ制御による表現
サビ3:2つのシーンを交互に映した表現+涙のアニメーション
間奏3:イラスト主体の回想シーン
Cメロ:カメラ制御による羽の砕ける表現
ざっくり過ぎてだいぶわかりづらいですね笑
タイムラインはこんな感じです(全部は写っていませんが)。
以降ではちょっと凝って作っている部分をピックアップして紹介したいと思います。
音声波形を使った雨の表現(サビ2)
この部分です(2分16秒付近~)。
暗闇の中で雨の波紋が広がる演出ですが、ちょっとした思い付きで音声波形を使って作りました。
まずはType4で音声波形を追加します。
これに「ミラー(右側/下側)」と極座標変換をかけて、フェードを追加しています。
フィルタは以上のとおりで、オブジェクト側の設定ではイージングを使って拡大率を変化させるようにして波紋が広がるように見せています。
あとは、水平線に合うようにオブジェクトを回転させて、少し見下ろす角度でカメラを設定させると今回の動画のようになります。
ちなみに、前後左右の場所のばらつきはスクリプトでランダマイズして設定しています。多少手間ですが、もちろん手動で一つずつ設定してもできます。
涙の表現(サビ3)
この部分です(3分14秒付近~)。
TLは以下のとおり。
目そのものは瞼や瞳、ハイライト等をレイヤー分けして描いてもらい、それぞれのパーツを重ねて作っています。
「ハイライト」は中間ポイントをいくつか設定していますが、これはと「たまり涙」はフィルタ効果「振動」のパラメータを0→5→0→5みたいな感じで振動あり無しを交互に切り替えています。これにより、ハイライト部分が揺れたり止まったりを繰り返す表現としています。
続いて「たまり涙」は中間ポイント毎に拡大率を50→100→95→100→95と変化させていて、最初に大きさを徐々に大きくし、その後は少しだけ大きくなったり小さくなったりを繰り返す演出としています。
6つ並んでいるグループ制御部分は涙の粒です。
涙の粒を徐々に大きくすると同時に右上へ移動するように設定をしていて、イージングで加速度のある動きを表現しています。
グループ配下に四角形のオブジェクトがありますが、これは画面に対して斜めに線を引いて、それを右方向でスライドさせています。
さらに四角形オブジェクトに対してぼかしを加えて、涙粒でクリッピングをすることで一瞬だけ涙粒の輝度が上がって光っているかのような演出にしています。
おわりに
今回は少々ボリュームが多くなってしまいました。
楽曲に関する話やソフトの使い方に関する話なんかも交じっていて、ちょっとわかりづらいなという実感はあるので、今後もう少しわかりやすくまとめるのは課題ですね・・・。
すぐには難しいですが、シンセのパラメータの説明なんかは記事とは別でページを設けて、そちらを見てもらう形にしたほうが、曲に関する説明だけでにまとまっていいのかなと思っています。
まだまだ僕自身知識不足なのもありますが、少しでもアイディア等参考になれば幸いです!
ご質問とかあったらお気軽にコメント等いただければ返していきたいと思います。
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