豊かな世界

「家の都合で学校を休みます」
子ども本人が学校に連絡をいれたようで、
学校の先生から確認の電話がかかってきた。

「息子さんから休むと電話がありましたが、
お母さんご存知ですか？」

知ってるわけないです。
家の都合で休む予定じゃないので。

制服で通学用の自転車にのり、
学校方面に向かう姿は見たけど、
学校にはいないとのことで大捜索。

一時間ほどして先生から電話があり。
「息子さん、公園で見つかりました。」とのこと。
ちゃんと制服から私服に着替えて、
絵を描く道具を持って、
大好きな本屋がある近くの公園でのんびりとしていた様子。

学校休みたいなら言えばいい。
嘘の電話して、たくさんの人に心配をかけてはいけません。
息子にはそれだけ言って、それ以上は何も言わなかった。

一日公園で絵を描きたかった。
なんて豊かな一日だろうと思うから。
それ以上何も言わなくても、この子は幸せだろうと思った。

嘘をつく、だます、迷惑をかけること
そういうことだけはやめて欲しいと思うけど、
自分がそういうことをすると誰かが心配するという
ある意味「普通」の想像ができない脳みそみたいで、
言われて初めて「ごめんなさい」と思うらしい。

この豊かで落とし穴がいっぱいありそうな息子の世界。
これからどんな色に染まっていくのか楽しみだ。