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ヒッピーに捧ぐ

お別れは突然やってきて すぐに済んでしまった
いつものような なにげない朝は
知らん顔してぼくを起こした
電車は動き出した 豚どもを乗せて
ぼくを乗せて
次の駅で ぼくは降りてしまった
三十分泣いた
涙をふいて 電車に乗りこんだ
遅刻してホールについた
ぼくらは歌い出した
君に聞こえるように 声を張り上げて
空を引き裂いて 君がやって来て
ぼくらを救ってくれると言った
検屍官と市役所は
君が死んだなんていうのさ
明日 また 会おう
新しいギターを見せてあげる

ヒッピーに捧ぐ/RCサクセション

それまでの時は長く感じるのに、終わったらビュンと一瞬で過ぎ去るのはなぜだろう。人の死について、時間の経過の不思議について、これほどうまく描かれた歌を聴いたことがない。「君が死んだなんて信じられない」ではなく「検屍官と市役所は君が死んだなんていうのさ」と歌う。これが本物の詩人の表現か。ヒッピーは、ホリプロ不遇時代のRCのサプマネージーをやってたオオシロくんのあだ名で、「清志、俺がおまえらを有名にしてやる」って励ましてくれてたのに突然亡くなったそう。今から半世紀ほど前、天才忌野清志郎が書いた名曲を引っ張り出す。

メモ帳で使っていた紙をたまたま裏返したら、「死ぬから平気」と書いてあった。有吉弘行365日くらやみカレンダーの、2022年2月20日のページに書いてある。

死ぬから平気
「嫌だ嫌だ」って言いながら仕事続けてストレスで死ぬ人もいれば、仕事転々と変えて好き勝手に生きてても将来が不安になってストレス抱えて死ぬ人もいるし。結局みんなストレスで死にます。だから”将来”とか考えなくて大丈夫です。将来っていうほど長生きしませんから。

有吉弘行365日くらやみカレンダー

「余命10年」という映画のタイトルを見て、結構長いな、と思った。10年先なんてわからない。10年後にまだ生きてると思うほど傲慢ではない。一寸先は闇。大地震が起こるかも知れない。第三次世界大戦も現実味を帯びている。環境破壊も深刻だ。交通事故の危険もある。病気になってもしぶとく生きるかもしれないし、ヒッピーのようにぽっくり病で逝くかもしれない。余命10年、けっこう長いぞ。健康であれば、10年あれば、何でもできる。繋がらないいのちの電話かけるより、何にもしないで寝て暮らせ。そんなん、自分の状況一から説明して大事な精神すり減らしてどうすんの。1日でも1時間でもぬくぬくと布団にくるまって生き延びろ。

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