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注目された出待ち

一度だけ、ラフィータフィーの出待ちをしに行ったことがある。清志郎さんたちが鹿児島まで自転車で旅する途中、FM802に立ち寄るという。FM802に着くと、すでに追っかけが取り巻いていた。みなグループごとに集まっていて、「清志郎さんを待ってるんですか?」なんて話しかけてもシャイでよそよそしく、話すのもめんどくさそうに見えたので、私はつかつかと、802に向かった。

「どーも。初めまして、こんばんは。」私は防災センターの警備さんに挨拶した。警備さんは時々出てきては、ファンの人たちの間を抜けて私のところに来て、私にヒソヒソと話した。

もうそろそろ出てきてもいいのにな、という時間になって、また警備さんが私のところに来た。流石にざわめきが起こり、そしてシーンとなった。メンバーは、混乱を避けるため、たった今別の出口から出た、ということを教えに来てくれた。私は丁寧にお礼を言って、急いで家路に着いた。小走りで商店街に入って、少し行ったところで尋常じゃない気配を感じて振り返ると、先ほどの802の群衆が、私を見失っては大変、とばかりに必死に追いかけてきてた。私は地下に潜って、追っかけをまいた。糸みたいな細い月の夜に。

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