「同期の成功を喜べずに嫉妬してしまう私は、性格が悪いのでしょうか」
こんばんは、save point ラジオのお時間です。
きょうもクリニックのメンバーと一緒におとどけしまーす。
【オープニングトーク】
ぼちぼち梅雨入りだね。
頭痛の季節なので、みんな気をつけて。
天候とか気圧の変化って、頭痛の大きな原因になるのね。
天候の変化やストレスによって、セロトニンっていうホルモンが大量消費される。それが、顔のところにある三叉神経が暴走して、脳の血管がものすごく拡張する。
そのせいで、脈打つような激烈な痛みがくるのが片頭痛。
片頭痛には、背景に大きなストレスが隠れていることが多い。
頭痛がひどくなったなあとおもったら、けっこう心が疲れている可能性があるから、ぜひ気をつけてね。
と、たまには内科の医者っぽいことを言いつつ、今週もはじめていきまーす。
【しつもんのコーナー】
さて、今日のフリートークは、読者の方からの質問に答えていこうと思うよ〜。今日のテーマは「同期の昇進をちっとも喜べず、嫉妬や焦りしかなくて自己嫌悪に陥ってしまう」という相談です。
「最近、同期が部長に昇進しました。とても仲が良かったので、喜ぶべき…なんでしょうけど、実は全然喜べないんです。私の方が仕事もできるし、成果を出しているのに、なんで彼なんだろうって。嫉妬や焦りですよね。こんなこと思っちゃうなんて性格が悪いのかなと思うのですが、どうしようもできないんです」
いやあ、いい質問だよね。
こういう気持ちを他人に話すことができるのはすごくいいことだとおもう。
「他人の成功をよろこべない」という問題の苦しさは根が深いんだけど、そこには、自分に対しての恥や罪の感覚があるからなんだよね。
これに関して、精神科医の水島広子先生のことばを引用したいとおもう。
水島先生は「そもそも、他人の成功とは本来とてもショッキングな出来事」だと言っているのね。
なぜなら、それによって多少なりとも自分の地位が脅かされたり、不安定にさせられる可能性が高い出来事であるから。とくに同じコミュニティの中の出来事であれば、なおさら自分の立場に対する脅威の感覚を感じやすい。
同僚が昇進すれば、自分はポジションが次に空くのを待たなくてはいけなかったり、「序列」を感じてしまう。それは基本的に自分の地位や心理的な安定が脅かされることであり、不安になったり、焦りを感じたりするのは当然のこと。
他人の成功を喜べないのは決して未熟で、性格の悪い人間だからではなくて、人間の本能としてごくごく当たり前のことなんだよね。
でも、そんな自分は未熟だ、性格が悪いと悩んでしまう。そうすると、ダメな自分に焦点が当たってしまうので、悩みが肥大し、長期化してしまう。
先生の言葉を借りれば、ショックな出来事は、「タンスの角に小指をぶつけるようなもの」なんだよね。だから、最初はのたうちまわるような激しい痛みがあっても、時間が経てば徐々に痛みは落ち着いていくもの。
心に波風立たせず、他人の成功を受け止められる人はなかなかいないよね。
他人の成功にショックを受けにくいのは、「人は人、自分は自分だな」って境界が確立している人なんだけど、そうなっていくには、ある程度自分の生き方に納得できてきる必要があるとおもう。
でも、そういう心境に至る人って、最初からそうだったわけではなく(よっぽど他人に興味がない人は別として)、こんな風なショッキングな出来事がそれなりに何度かあって、「自分の生き方とは?」って思わざるを得ない衝撃が与えられる機会があったんじゃないかな。
存在の根底を揺るがされるようなことがあって、そういうショックを乗り越えながら、徐々に納得感を確立していくものだともおもうのよね。
そういう生き方っていうのは、耐震性が強い。
だから、人の成功にショックを受けたり、そんな自分が嫌だなって思うことも、納得度を上げていくためのきっかけというか、成熟に必要なプロセスのひとつなのではないかなとおもいます。
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Dr.ゆうすけのsave point ラジオ
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