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2024年ベスト映画を振り返る。

あけましておめでとうございます◎

2024年に観た数多くの映画の中で個人的にハマった作品を勝手にランキングし振り返る。

10位 パストライブス/再会

会話する2人と回るメリーゴーランド。
去る人がいれば、待ってくれる人もいる。という普遍的な素晴らしさを印象付ける長回し、そして距離感。一言物申したくなる所を捻じ伏せる演出の数々。恋愛映画苦手人間でも観て良かった。と思える満足度に浸れる傑作。

9位 アイアンクロー

男らしさという有害な価値観に家父長性の抑圧。一家を襲う呪いの原因が炙り出された父フリッツの言動の数々。そして、強さだけでは生きていけないプロレス業界の厳しさを映し出した数々のシーンの職業映画的な説得力。ハードな展開が印象深いが、プロレス好きとしては外せない一本。

8位 関心領域

メンタルを削るサウンドエフェクトに、サタニックな楽曲。音だけの台本を作成する志しの高さに打ちのめされる。簡潔な脚本と監視カメラを覗き見るような無機質なショットは終始流れる"音"とマッチして異質かつ狂気的。凄いモノを観てしまった達成感と、尾を引く禍々しさ。今作の延長線上に現実に起こっている惨事が垣間見えた。

7位 エイリアンロムルス

静と動を活かしたフェデ監督のスタイルは随所で発揮され、特に第3幕のA.R.E.展開は傑作ドントブリーズ系譜な悪趣味っぷり。しっかりキモい。絶望からの絶望、不運のピタゴラスイッチ。いわゆる最高で最恐なやつ。確かにエイリアングレイテスト・ヒッツ感は否めなかったが、長年擦り続けられても、まだエイリアンは面白い!という事を再び証明し再確認させられ、その上納得してしまったが故に、結果は大満足で着地した。

6位 マッドマックス/フュリオサ

FRのように矢継ぎ早なアクションで物語を語らずに、じっくり語って魅せるチャプター方式を前にいきなり困惑するが、見える景色はメルギブ版マッドマックス的なエモさがあって最高。圧倒的な情報量は、視覚で見てもお腹一杯なのに、パンフに記載されている膨大なマッドマックスの世界背景とディテールに唖然。ジョージミラー80歳、アイデアの泉はまだ湧き続けるっぽい。感服。

5位 夜明けのすべて

背伸びしない物語でも、役者は確かなキャスティング。なかでもSixTONESの時とは違う顔を覗かせる松村北斗の普遍的な演技は素晴らしくポテンシャルの高さを感じる。流石に現実社会は映画のように上手く行くわけないと思うが、優しくするという行為について再確認させられた。それにしても、三宅監督は人との距離感を描くのが上手くて毎回グッとくるモノがあり、今作もそこにやられた。傑作。

4位 陪審員2番

実際には無さそうで有りそうな興味深い設定。説明し過ぎず無駄のない簡潔な脚本と演出。94歳になって斬れ味は鈍る所か、鋭さは倍増してキレキレ。スピーディーだけどキメる所はキメる。特にクライマックスのテンポ感には唸った、痺れた!
イーストウッド引退作として囁かれている本作だが、やはり引退作は劇場で観たい。と思うわけで次作がある事を期待しとく。

3位 ベイビーわるきゅーれナイスデイズ

殺し屋としての腕は抜群でも人間関係は不器用な孤高な冬村かえで。という今作におけるヴィランが、あまりにも魅力的な為に"ちさまひ"よりも語りシロがあるが故に感情移入しがちだが、そこを絶妙なバランスで演出し、物語に緊張感を纏わせる脚本は、いつもの"ベビわる"風味にスパイスを加えフレッシュ。肝心のアクションは聞いてた以上に激しくスタイリッシュで、殺し屋としての説得力が半端なく、これは海外に持ち込んでも恥ずかしくない邦画。

2位 Cloud/クラウド

前半戦の心理的なサスペンススリラーにゾッとしながら、後半戦は90s風味なガンアクション(リロードがある映画は良い映画)に路線変更するという展開は黒沢清の新境地的でフレッシュ。原田眞人が匂う。主演の菅田将暉をはじめとした役者陣も絶妙で、全員に見所が用意されてる故に、全員MVPで間違いないが、個人的には佐野君を演じた奥平大兼が推し。最高。

1位 コヴェナント/約束の救出

助けた側の理不尽な展開、助けられた側に起こる呪縛という対比は、残酷なまでにリアルに描かれ説得力がある。この感情を物語に落とし込んだ結果の後半戦はトップガンマーヴェリック級の胸熱展開でグッと来る。多少の脚色があった事を把握していても、ジェイクギレンホールを核とする確かなキャスティングと実話モノである事が、作品への強度と没入度を高め退屈する瞬間は皆無。ガイリッチーの新境地。傑作過ぎた。  


2024年はハリウッドストの影響もあって、邦画が 豊作で良作が多かった印象を受ける。その一方で日本の映画興行ランキングでは洋画が一本もランクインしない異常事態が発生。クリントイーストウッドの引退作"陪審員2番"やブラピとジョージクルーニーが主演し、ジョンワッツが監督した"ウルフズ"がサブスク限定配信という悪いニュースも印象的だった。

2025年はどんな映画が待っているのか?とりあえずメトロポリスが楽しみ。尚、不評らしいが。

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