「ハングル」について

これに関しては中沢けい先生が正しく、「ハングル」とは「ハン(韓)の文字」という意味であり、「ハングルを話す」という表現は、例えば「ひらがなを話す」「漢字を話す」くらい意味不明な用法となる。

ではなぜ、このような誤用が生じたのかいうと、これはNHKが悪い。1984年にNHKで「アンニョンハシムニカ・ハングル講座」という番組が始まったことに端を発するのだが、なぜ「韓国語講座」としなかったのかというと、まあ皆さん理由は大体お察しだろう。要は朝鮮総連の圧力、あるいは圧力などなくてNHKが一方的に忖度しただけかもしれないが、要は「朝鮮語」とも「韓国語」とも書けなかったので、中立的な言葉として「ハングル」が選ばれた、というわけだ。

ただし、そもそも「ハングル」という言葉自体が、冒頭で説明したように「韓(国)の文字」という意味なので、実はまったく中立ではない。ちなみに北朝鮮では「チョソングル」と呼んでいる。ちなみに、日本では「オンモン」と呼んでいたが、この「ハングル講座」が開始されたあたりから「ハングル」という名称が定着し、「オンモン」という呼称はほぼ死語となった。

つまり、NHKは「ハングル」という言葉を文字の名称ではなく言語の名称であるという誤解を広めた上に、中立ですらなかったわけだ。

ところで「ハングル文字」という呼び方は、そもそも「ハングル」という名称に「文字」という意味が含まれているのだから、重ね言葉ではないか、という指摘もあると思うが、個人的には許容範囲だと思う。例えば「荒川」を英語で「Arakawa River」と呼ぶようなものだろう。


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