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悪いのは韓国だけど、韓国は「恨」の国だから、日本が責任を。←はあ?意味不明すぎ。

昨年11月の記事で、ほぼ1年前の記事ということになるが、猛烈に突っ込みたくなってしまったので、書かせてもらう。

ところが今日、日韓関係が泥沼化し、出口が見えない様相を呈してきた。日韓関係がこれほど悪化した引き金は、韓国によって引かれたことは事実だろう。慰安婦問題の合意を覆し、自衛隊艦船へのレーダー照射問題や徴用工問題など日本側には理解ができない事象が相次いだ。

しかし長期的な日韓関係を考えるならば、日韓関係悪化の責任を一方的に韓国に帰することはできない構造的な問題があることにも目を向けなければいけない。日韓関係には深い暗闇があることを、できるだけ多くの日本人に知ってもらいたいと思う。

このように、田中均氏は、日韓関係の悪化の原因は韓国側にあるとしながらも、だからといって韓国側だけに責任を押し付けてはいけないという、意味不明なことを言っているのである。

韓国の意識を短絡的に「反日」と捉えるのは誤りだ。韓国にあるのは根強い「恨」の意識なのだと思う。歴史をめぐる問題が生じると、多くの韓国の人々は「恨」の意識を持つ。それは長年の他民族による支配を脱することができなかった恨み、悲しみ、憤りだ。それは日本に向くと同時に韓国の支配者層にも向けられている。このような長年にわたり、韓国人の心に染み付いた「恨」の感情を理解せず韓国と向き合うことはできない。

歴史の問題を韓国政府も当事者とする形では解決できないのは、その「恨」の感情は日本だけではなく韓国政府にも向けられたものだからだ。それがゆえに日本の責任で解決することが基本とならざるをえないのだ。

まず最初に指摘しておかなければならないのは、一般論として、「〇〇人は△△△である」みたいな議論は、ステレオタイプを生み、差別にも繋がるので、慎重を要する。我々は、〇〇人である以前に人間である。私は日本人である前に人間だし、彼らも韓国人である前に人間なのだ。

なので「多くの韓国の人々は恨の意識を持つ」という主張は、とても危ういと思う。

それを踏まえた上で、田中均氏の主張する「韓国人は恨の意識を持つ」という前提をあえて受け入れたとしても、やはり疑問が残る。その「恨」の感情は日本だけではなく韓国政府に対しても向けられたものだというのは理解するとしても、なぜ中国には向けられないのだ?という疑問だ。

みなさんご存じのとおり、韓国は長年、歴代中国王朝の属国だった。特に清王朝の支配は、三跪九叩頭の礼や、王子を人質として差し出すことを要求されるなど屈辱的なものであった。また、もっと最近の話を言うなら、中国義勇軍が参戦していなければ北朝鮮は滅亡し韓国が韓半島唯一の政府になっていたはずなのだ。

仮に田中均氏の主張が正しいのであれば、韓国人が中国に対しても「恨」の感情を抱いてないはずがないだろう。事実として、現在の韓国の国策は横に置くとして、韓国人の対中感情は(対日感情ほどではないにせよ)芳しくない。

また、「恨」の感情は、北朝鮮政府に対しても向けられなければおかしいだろう。なにしろ北朝鮮こそが1950年6月25日にソウルに侵攻して、韓国の歴史上もっとも多くの死者を出した戦争を引き起こしたのだから。

そして、一番理解できないのが「恨の感情は日本だけではなく韓国政府にも向けられたものだから日本の責任で解決することが基本とならざるをえない」という主張だ。これはマジで理解できん。韓国人が韓国政府を恨んでるから日本政府の責任?はあ?大丈夫かこの人。

めっちゃ強引に意訳してあげると「韓国人には自己解決能力がないから日本が解決してあげるしかない」という意味だろうか?この解釈が正しいという自信は全くないが、かといって、それ以外の解釈は私の頭では思いつかない。もしこの解釈が正しいのであれば、ずいぶんと上から目線である。薄っすらと選民思想すら感じる。やはり冒頭で「〇〇人は△△△である」という主張は差別に繋がると指摘したのは正しかったのだろうか?

そもそも、そうまでして関係改善する必要あるのか?っていう問題もある。私より上の世代なら、かつて韓国が「近くて遠い国」と呼ばれていた時代のことも覚えているはずだ。日本人があえて韓国に行く場合、それは買春目的と相場が決まっていたらしい。さすがに私はその時代は知らないが、要するにそれくらいしか韓国に行く理由がなかった、ということでしょう。

そして、その時代と日本の高度経済成長期は重なってます。つまり日本の経済成長に韓国は必要なかった。むしろ韓国が経済成長してから日本の経済成長は止まってしまっているようにも思います。もちろん、だからといって韓国の経済成長が止まれば日本が復活するという理屈にはなりませんが。

そういう時代を知っていると「隣国だから仲良くしなければならない」という理屈が、どうにも胡散臭く思えてしまいます。現に「北朝鮮とは隣国なのだから仲良くしろ」という人はあんまり見かけませんし、「ロシアとは隣国なのだから仲良くしろ」という人もあんまり見かけません。「台湾とは隣国だから仲良くしろ」と言っているのは右翼ばかりで、左派リベラルがそう言ってるのもあんまり見かけません。李登輝さんの訃報に対して左派リベラルの態度はとても冷淡に見えました。気のせいでしょうかね。そもそも、かつての軍事政権時代の韓国を敵視していたのは、現在の左派リベラルの人たちですよね。それとも軍事政権時代の韓国は、日本にとって隣国ではなかったのでしょうか。いくら「近くて遠い国」だったとはいえ、地理的な関係は全く変化してないように思いますが。

そして、胡散臭いと言えば、田中均氏は、みなさんよくご存じの通り、小泉訪朝に随行して、拉致被害者の帰国に尽力された方です。しかし、帰国に際して「彼らをいったん北朝鮮に返して、改めて日本に帰国させる」という約束をしていた、そうです。

もし仮に、こう約束しなければ拉致被害者を帰国させることができなかった、というのであれば、そう約束するのも仕方なかったのかもしれません。しかし、日本に帰国した拉致被害者を、どういう法令根拠で再び北朝鮮に送り返すのでしょうか。拉致被害者はモノではありません。れっきとした日本国民です。彼らは日本の大地を踏んだ瞬間から完全に自由の身です。私達が北朝鮮に連れていかれなければならない道理がないのと同じように、彼らが北朝鮮に再び連れていかれなければならない道理もありません。

安倍前総理が北朝鮮への返送に強硬に反対していたそうですが、普通に考えればそれが当たり前です。彼らを北朝鮮に送り返すということは、日本政府が彼らを誘拐して北朝鮮に連れて行くということになります。明らかに法令違反であり、基本的人権の侵害です。ふだん憲法を守れとか言ってる人たちは憲法のどこを見ているのでしょうか。彼らにとって憲法は9条だけですか?

ですが、田中均氏は北朝鮮との約束を守ることにこだわったそうです。いや、それは北朝鮮に拉致の事実を認めさせるための方便じゃなかったんかい?本気で北朝鮮の側に立ってどうする。

あるいは、好意的に見るなら、「約束を守らなかったのは小泉や安倍であって私じゃないよ、今後も私のことはよろしく」という北朝鮮に対するポーズであり、本心から反対していたわけじゃない、という見方もできるかもしれません。でも、もしそのつもりなら進んで日本国民のサンドバッグになる覚悟がないといけません。すこし批判されたら「いや、私はそんなこと言ってない」なんて言うんじゃ、結局は、北朝鮮からの信用も失うだけです。

それにしても、2002年って日本の歴史のターニングポイントだったと思います。北朝鮮が拉致を認めたことで左派リベラルが壊れ、FIFAワールドカップがきっかけで嫌韓ネトウヨが大量発生した、この2つが同じ年に重なったわけです。

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