佐々木氏に関しては一片の擁護もできないが、それでもやはり問題は情報漏洩
この人の言っていることは全く正論。渡辺直美がどう思うかの問題ではない。世界に向けてこれを見せることが果たして良いことなのかどうかの問題。まともなセンスがあれば、どう考えたって恥ずかしい。
かりにポリコレ的な視点を無視したとしても、なんで五輪に豚なのいか、なんで五輪に檻なのか、全く意味が分からない。リオ五輪の「安倍マリオ」は、好き嫌いはともかく、次の開催地は東京だ、という明確なメッセージがあった。しかし、「豚」は何を表現したいのか。本当に意味が分からない。
だが、この一ヶ所だけ彼もズレている
この事案、LINE会議でダメ出しされて終わったんだからいーじゃん、あまり叩くと可哀想というのは分からんではないが、
いや、可哀想とかそういう問題ではない。
佐々木氏が無能だからとか、電通のパワハラ体質がどうとか、そういう問題ではない。
佐々木氏は解任されてしかるべき人物だった。これを仮に是としましょう。
だとしても、その方法に問題があった。
ブレインストーミングというものがある。
ブレストのルールは以下の4点です。
・アイデアを批判しない
ブレストの目的は多様なアイデアを集めることです。実現不可能なアイデアが発言されることもありますが、それを批判してはいけません。なぜなら、別のアイデアに発展する可能性があるからです。
・アイデアを組み合わせる
アイデアがある程度出てきたら、既存のアイデアを組み合わせて問題解決できないか考えてみましょう。どう考えても実現不可能だったアイデアが、意外な形でいきてくることがあります。
・質より量を意識する
アイデアを組み合わせるためには、大量のアイデアが必要になります。ブレストでは「質より量」を意識してどんどん発言しましょう。批判されることは、ブレストのルール上ありえません。
・判断、決断しない
最終的にアイデアを判断・決断する必要はありますが、ブレスト中に判断・決断することはNGです。ブレスト後に結論をまとめる会議を実施するのが一般的ですが、ルールを混同しないよう線引きを明確にしましょう。
佐々木氏の提案は、おそらく数多あったであろう提案の中の1つにすぎなかったはずです。当然、数多くアイデアを出せば、不謹慎な案や、しょうもない案も沢山出てきますし、活気ある会議とはそういうものです。
それが外部に漏れて、こうやって批判されるような世の中になると、ブレインストーミングは成立しなくなります。発言者は「自分の提案も外部に漏れて責任を取らされるかも」と思うようになり、委縮してしまいます。
これは、佐々木氏が総合統括の地位にふさわしい人物だったかどうか、という問題ではありません。佐々木氏個人の問題に矮小化してはいけません。たとえ佐々木氏が問題ある人物だったとしても、その首を取るためだったら何をしても良い、という考え方は間違ってると思います。
おそらく週刊文春のネタ元は内部リークだと思います。グループLINEに参加していたのは十余名とのことですから、情報を週刊文春に売った「犯人」はすぐに特定されると思います。その人物は、おそらくもうこの業界で仕事ができなくなるのではないでしょうか。会議の内容を私怨で外部にバラす人物となんて、怖くて誰も仕事できませんよ。
電通の演出担当者がパワハラで解任されたことなど全く関係ありません。問題ある人物はちゃんと解任されてる(しかも森氏発言より前です)のだから、JOCの自浄作用は一応ちゃんと機能していたことになります。
佐々木氏についても、もしもパワハラ事案があったのであれば、それを理由に解任するべきであって、1年前の会議で不謹慎な提案をした、という理由にならない理由で、しかも報道によるリンチで叩き出す、というのは、これは単なる私刑であって法治国家の姿ではありません。
もし仮に「豚」がボツ案ではなく、最終決定案ないしは決定しそうな状況で、この案が実行されることを阻止するためには事前公表以外に手段がないのであれば、その場合は私も、内部リークは致し方ないと思います。
でも1年前にボツになった案を内部リークって、ダメでしょ。
ほらね、こういう話になってくる。こうやって、裏話がどんどん表に出てくるようになると、誰も会議で発言できなくなります。本当に深刻な問題です。
「空飛ぶ茶室」のアイデアは、女性を侮辱したり、あるいは日本を侮辱するような要素はなさそうですが、「意味が分からん」という点においては佐々木氏と目くそ鼻くそです。
ただ、こういう話を見てると、佐々木氏の提案も、本当に沢山あったしょうもないアイデアの中の1つに過ぎなかったんだろうなあ、ということがよくわかると思います。
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