日記帳
祖父の遺品を整理している時、1冊の日記帳が目に留まった。
偏屈でひねくれていた祖父が几帳面に日記をつけていた事に驚き、好奇心から中身を読んでみることにした。
無趣味だった祖父らしく、内容は殆ど無く天気しか書かれてない日も珍しくない。
身内とは言え他人のプライバシーを覗き見る背徳感は徐々に薄れていった。
195*/10/7 くぇむゐゅ
…?
この「くぇむゐゅ」とはなんだろうか。
方言かと思ったが、僕は祖父から1度も聞いたことがない。
外国語のようでもある。
先のページにざっと目を通したが、度々出てくるようだ。
規則性はみられないが、この言葉が出てくる日の前後1週間は空欄になっている。
多少の気味の悪さを感じながら読み進める。
そして最後にこの言葉が出てくる日付を見て、僕の心臓は止まりそうになった。
197*/08/26 くぇむゐゅ
僕の誕生日だ。
「くぇむゐゅ…」
無理矢理発音してみたが、嫌な響きがした。
【続く】