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父の日に、自分の大学生活を伝えたときのこと
ちょうど1か月前の6月17日、父の日。
何をしようかと思案して、「家の外での自分」について伝えようと思い立った。
具体的には、休学を許してくれた父親に、去年1年間の休学の報告をした。
(休学を大学生活と言うのかというとNoかもしれない。だとしたらいきなりタイトルと食い違うが許してほしい)
晩御飯のあとに、引き続きお酒を飲もうとしていた父を捕まえた。
プレゼントを準備せえや、なんで報告やねん、というようなことを父には言われたが、おとなしく聞いてもらう。
その場にいた母親と祖父にも一緒に聞いてもらった。
(簡単なパワポも準備した。めんどくさがらず資料を準備できるようになっただけでも大学生活中の進歩と言えるのではなかろうか。)
休学中、ずっとNPOでインターンをしていた。
のだが、母には「うちの息子は何をしているのかよく分からないが何かしているらしい。」と言われたことがある。
社会に働きかける仕事や、形のないサービスは、実態がつかみづらいから、母にもピンとこなかったのだろう。父にもちゃんと話したことがない。
だから、自分のことを両親に理解してもらう努力をしてみたかったのだ。
就職する前に、もっとたくさんの働く大人と出会って、自分の働く理由を見つけるために休学をした。
パワポを準備しながら、休学したいと両親に伝えた時のことを思い出していた。僕の1年間の使い方を、父はどう思うのだろう―――
***
よく考えると、休学を後押ししてくれたのも父だった。
休学に母は反対で、ひとまず職に就けという意見だった。母は普段から自分の子どもにそれなりに気を配っているタイプで、息子が就職を1年延ばすという"気がかり"が増えることを避けたいようだった。
一方で僕は、働いていれば一安心、という価値観は正直持ち合わせていなかった。
価値観の違いをすり合わせるのは時間がかかる。長期戦になることを覚悟して、僕がもう一度口を開こうとしたとき。
「やってみればいいよ」
それまで自分と母の主張を黙って聞いていた父が、それだけ言った。
なぜかそれで場がまとまり休学することになった。
一応言っておくと、別にうちは亭主関白な家ではないし、普段はむしろ逆だ。
母も、自分の意見の押し付けになることを危惧してそれ以上は何も言わなかったのだろう。
自分の選択に誰かの許可が必要だとは思わないけれど、肯定をもらえるだけで、抱えていた不安はいくらか軽くなった。
お金の面も含めて自分は恵まれていたと思う。
***
こしらえたパワポを見せながら、父と母と祖父、3人相手に話した。
自分が働いていた場所、何を目指す場所だったか、どんな人と出会って、何を感じたのか。
自分は少なくとも後悔はしていない。それだけの理由を、できるだけ自分と同じ温度で感じてもらいたかった。
話しながら、そういえばこのように相対して父の顔をちゃんと見続けるのも久しぶりだと気づいた。
父はあの時のように、黙って聞いてくれた。
照れくさくてたまに下に目を移すと、結露で水が滴り始めた晩酌のグラスがあった。
最後に、自分の経験から見つけた新しい働き先と、そこで働くことが楽しみなこと、でもやっぱりちょっと不安になることもあるけど頑張る、ということを伝えて、プレゼンは終わった。
大きくなってから、きちんと面と向かって感謝を言ったことも、自分が感じていた成長途上な葛藤を伝えるのも初めてだった。
***
就職先はどこにあるのかとか、収入はちゃんともらえるのかとか。
色々質問をくれる母と祖父をよそに、父は「無駄にならなかったならよかった」とだけ言って、酒を取り換えに行ってしまった。
父はどう思ったのだろう。結局聞かずじまいで終わってしまった。
けどなんとなく分かった気がしている。たぶん、父は大事な時ほど口下手になるのだ。
キッチンに下がる父の目が赤かったのは、アルコールのせいだけじゃないはず――なんて言ったらさすがに勝手すぎる解釈だろうか。
父は絵に描いたような普通のサラリーマンだ。
だけど、普通のレールからゆるやかに外れていく息子を何も言わずに見守ってくれている。
応援の仕方は言葉を贈る以外にもある。
きっと、僕がまた新しく何かを始めようとするときも、父は口数少なくただ背中を押してくれるのかもしれない。
来年は、自分の給料でお酒を買って、黙って一緒に飲もうと思った。
以下おまけで、もしもう一度、報告をするとしたら気を付けたいこと。
もし、僕と同じように親に何か報告をする人がいて、参考になったら嬉しいです。
やってよかった!と自分は思っているので、ご両親のお誕生日や、敬老の日などにかこつけてやるのもオススメです!
・親が気になるだろうことを予想して情報量の配分をする。
Ex:僕の場合なら、自分の取り組みの成果よりも、僕自身が何を感じたか、就職すること、休学中にお世話になっていた人の存在など。
・シメの最後の感謝の言葉は改めて言葉にしておく。
報告全体のまとめと一緒に感謝を混ぜ込むなく、何に感謝を感じているのかを繰り返しになってもいいから言語化しておく。
まとめ!って感じで一息でありがとうを言うのは、せっかく心を込めてお礼を言えるタイミングなのにもったいない気がした。
分かりやすく言うと、パワポがあるとしたら、まとめと感謝でページを分けましょうという感じです。
・自分の写真を使う。
作ったプロダクトやお客さんだけじゃなくて、我が子がどんな顔して過ごしているのか知りたいのが親心だよね。と思った。
・若者の言語、職場の言語を翻訳して伝える。
これは今回も気を付けていたが、次回以降も気を付けたいと感じた。
例えば我が家は父親も母親も埼玉県に住むフツーのおじさんとおばさんだ。スタートアップとか、リソースとか、ソーシャルキャピタルとかエコシステムとか、聞いたこともないようなカタカナ言葉を息子が突然連発しだしたら、ギャグを通り越して何に浮かされているのだろうかと心配になるだろうと思った。