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野戦病院じゃなくて「野外病院」でしょ?
新聞・TV・ネットなど、さまざまなメディアで「野戦病院」の4文字が飛び交っている。
・関西経済連合会は18日、体育館などを使った臨時の医療施設「野戦病院」を設置すべきだという提言書をまとめた。(朝日新聞デジタル)
・日医会長が「野戦病院」設置提言 中等症患者の受け入れ目的(毎日新聞)
・日本の切り札「野戦病院」の設立を提案 ( ダイアモンドonline)
野戦病院という言葉はどこから出てきたのであろう。メディアによっては
臨時の仮設施設、いわゆる「野戦病院」を・・・
などと表現しているところもあるが、「野戦病院」がごく当たり前に使用されている。確かにわかりやすいが、果たしていいのだろうか?言葉として適切なのか?言葉一つ違えば、意味は同じでも受ける印象は大きき変わる。
「〇X県からの報告で、対応不可能な巨大勢力が原因で甚大な被害を受けている模様です。当該知事からの要請を受け、完全装備を施した自衛隊員・一個連隊相当を現地に派遣することを閣議決定いたしました。まずは地域住民の保護・治療を最優先とし、自衛隊には野戦病院の設営を指示しております」
この首相会見を翻訳すると、
「〇X県からの報告で、異常気象による大雨が原因で甚大な被害を受けている模様です。当該知事からの要請を受け、災害対策装備を施した自衛隊・500人~数千人程度を現地に派遣することを閣議決定いたしました。まずは地域住民の保護・治療を最優先とし、自衛隊には仮設病院の設営を指示しております」
となる。少し盛り過ぎたが、内容は同じである。
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野戦病院。wikipediaで調べたところ、「野外病院」に自動変換された。
野外病院(やがいびょういん)とは、負傷者を野外で治療する大規模な移動式救護施設のこと。戦場・戦時における野外病院は野戦病院(やせんびょういん)とよばれる。
どうやらwebmasterの認識は間違っていなかったようである。
野外病院、仮説治療施設 臨時病院・・・いくらでも呼び名はある。過激さを求めるメディアが「野戦」とするのは理解できる(けど納得はできない)が、せめて政府は「野外病院」とすべきではないだろうか。もしかしたら「野戦」とすることで、「現在の日本はコロナと戦う戦場です」という危機感をあおっているのかもしれないが・・・あれ、日本の自衛隊って戦場には派遣できないんじゃなかったっけ?
言葉遊びはさておいて、「野戦病院」を設置することになれば、体育館みたいな所にベッドを並べて病床にするのであろう。おそらくこんな感じ。
しかしこの画像から「野戦病院」という単語は連想できない。「野外病院」もしっくりこない。「仮設病院」「仮設病床」「仮設治療施設」の方がふさわしいと思う。「仮設病院」なら同じ4文字で、新聞などでの字数制限も変わらない。
言葉遊びではなく、イメージ・治療を受ける患者の心理的問題として考えて欲しい。119番して駆けつけてくれた救急隊員が、
「コロナ感染の疑いあり。〇X野戦病院に搬送します」
と無線連絡した場合、あなたはどう思いますか?まあ実際にはこんな名前にはならないと思うけど・・・
ちなみに英語で野戦病院・野外病院は「field hospital」。運営が軍であろうが民間であろうが、その呼び名に区別はない。戦地では「Field ambulance」と表記されることもある。ambulanceとは救急車のこと。
勘違いしないで欲しい。自衛隊を否定しているのではない。Webmasterは誰も否定していない。もしこの文章をもって「否定・批判している」とするのであれば、その矛先はメディア・日本政府であって自衛隊ではない。
2021年9月3日追加>
大阪府が
「これまで使用していた野戦病院という名称は使わない」
と表明。今後は「大規模治療センター」とするらしい。理由は
「戦時中を想起させ、イメージが悪い」
「野戦病院の名称では、看護師も府民も集まらない」
らしい。ありがとう、大阪府さん。