火災① ソーラーパネル火災
ちょっと気になるツイート発見。
確かにソーラーパネルの消火に水を使うのは危険だと思う。危険だが不可能ではない。実際にソーラーパネル火災を水を使って消火している。
消せないのではなく、水を使うと感電するから危険なのでは?
「使えない」と「使わない」は大きく違う。例えばF1レース。一般のガソリン車両の火災では泡消火器・粉末消火器を使うが、レース車両の火災では二酸化炭素消火器を使う。泡・粉末消火器で消せないのではなく、使うと車両がダメになるから使わないだけ。
韓国で開催されたF1レースでは消防隊が粉末消火器を使い、大問題になった。だからといって
「レース車両は泡・粉末消火器での消火は不可能です」
とはならないはず。筆者はソーラー発電推進派・否定派のどちらでもないが、「ソーラーパネルの火災は水での消火は不可能です」といった誤解を招く表現ではなく、
「ソーラーパネルの火災は消防士及び付近の人間が感電する恐れが高いので、従来のように水をかけるといった簡単な消火活動はできません」
「ソーラーパネル火災、水での消火は危険です」
と正確に記述したほうがいいと思う。後々ソーラーパネル推進派から間違いを指摘されかねない。
ちなみにソーラーパネルに関しては消防庁から各都道府県あてに以下のような連絡を行っている。(一部抜粋)
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事 務 連 絡
平成25年3月26日
各都道府県消防防災主管課 御中
消 防 庁 消 防 ・ 救 急 課
消防 庁消防研究センター
太陽光発電システムを設置した一般住宅の火災における消防活動上の留意点等について
1 感電及び出火の危険性
(1)危険性について
・太陽光発電システムは、太陽電池により光エネルギーを電気エネルギーに変換しているため 外部から発電を遮断できないことから、火災の初期から残火確認等に至るまで、感電事故の可能性がある。
・棒状での放水は、水を伝わって感電する可能性がある。
・太陽光発電システムの配線が切断されて建物に触れている場合、建物の断熱材や金属の柱、梁を伝い感電する可能性がある。
・夜間であっても、炎の光等によって発電が継続しており、感電の可能性がある。
・見た目の破壊が進んでいる太陽電池モジュールにあっても光が当たると発電するため、感電 の可能性がある。
(2)消防活動時における対策について
・棒状での放水は、水を伝わって感電する可能性があるため、粒状で建物に水がかかるよう、放水の距離や筒先の調節(噴霧状等)を行うようにする。
・太陽光発電システムの配線が切断されて建物に触れている場合は、消火活動により水が浸みこんだ手袋で安易に建物に触れないようにする。建物内部で活動する場合は、絶縁性の高い手袋(高電圧用ゴム手袋等)を活用するようにする。
・残火確認等のとき、太陽光発電システムの太陽電池モジュールを握った手から感電することがあることから、見た目の破壊が進んでいるものも含め、安易に触れたり、破壊したりしないようにする。
・取り外した太陽電池モジュールは感電や発火を防ぐために、太陽電池モジュール表面を遮光 するか裏返しに置くようにする。
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2017年2月、アスクルの物流倉庫で火災が発生した際にはこうした感電事故を防ぐため、はしごによる放水隊に対して屋上の太陽光パネルへの放水は水を棒状にして噴射する「棒状注水」を禁止し、霧状に散水している。
出火の原因とソーラーパネルの関連はなさそうだが、ソーラーパネルの存在が消火活動の妨げになっていたことは間違いない。
原発にしてもメガソーラー発電にしても、その賛否を議論する場合、自分たちに都合のいいモノだけを並べ、さらには誤解を招く表現を用いては正確な判断が出来ない。
素朴な疑問① 冒頭のソーラーパネル火災、最終的にどうなったのだろう。「水で消せない」ので自然鎮火(燃え尽きる)するまで放置していたのだろうか?個人的にはこの動画が撮影された状況は
「消防車・消火器(電気火災用)の到着を待っている」
「感電防止及び火災区画以外のパネル防護のため、回路を遮断中」
だと思う。もし「ソーラーパネル火災に水は御法度(ごはっと)」ならば雨の降る地域に設置できないことになってしまう。
素朴な疑問②
これらの映像を見てふと思ったのだが、EVが車両火災を起こした場合どのように消火しているのだろう。
「火災② HV・EV車両火災」 へ続く