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子どものことばの冒険をなぞる。『ちいさい言語学者の冒険』【読書メモ】

ページ数 108

岩波科学ライブラリー
第1版 2017年
第18版 2024年

読書日:2024/12/07〜12/13
メモ日:2024/12/13



ゆる言語学ラジオで「読みやすい」と紹介されていたので、読書リハビリに良さそうと思い。
途中で他の本にも手を出しちゃったから日数かかったけど、数時間で読み切れると思う。


ざっくり


子どもたちが繰り出す「言い間違い」から、ことばを身につけた過程を観察する本。人間がもつことばに関する知識や、子どもの頭の中ではこんな推論がなされている、という説明もあってわかりやすい。子どもが話すことばを書き留めたくなる一冊。


覚えたいキーワード

拍(モーラ)
グライスの会話の公理
メタ言語意識



気になりポイント


[?]は疑問、[✳︎]は感想

【第1章】音

濁点は無声音ー有声音の対だけど、「は」、と「ば」はその組み合わせではない p6

[✳︎]「ば」からてんてんとったらなんていう?ってわたしも聞いてみたい p8

LとRを聞き分けられるっていうけど聞き分けてる場合じゃないのよ日本語話者だから
[?]音素ちがう言語を切り替えられると混乱しちゃうかな
P11

ライマンの法則、日本語の法則に外国人名がついている新鮮さ p12

「しゃ」に「し」が入っている、「ぢ」-「じ」が同じ音な不思議。息子も引っかかるのかも p17



【第2章】拍(モーラ)特殊拍 


「どん」が2音節になる日本語は少数派。たしかに英語だと1音節だよね
単語より小さい区切りは英語だと音節だけでなくリズムのまとまりも重要
うーん音節のふしぎ
p22

「おうさま」の「おう」日本語の拍で数えると二拍だけど、一音節
子どもはかな文字を習得するまでは、音節優位なので不思議がる。 p25

日本語の獲得って外国人学習者にきくのもおもしろそう p29
[✳︎]日本語を教えるための教養もこの分野を理解するのに役に立ちそうかも?



【第3章】一般化


聞いたことない表現も、類推して使ってみるってのは前の本にも書いてた! 過剰一般化というのね p37

英語話者の子どもも一般化やってるよ p45

この間違いは、大人の模倣だけでは出てこないのだ。子どもが一生懸命考えて規則を発見していく過程なのだ。
[✳︎]なんだか自分の子どもの過剰一般化の例も集めておきたい。 p48



【第4章】修正


Mom, I’d rather do it myself というタイトルの論文がある。おもしろそうな論文があるもんだ p57

大人が間違いを指摘しても、それとなく正解を示しても、正しい使い方に触れても、子どもが修正するかは子ども次第。 p62
[✳︎]大人が修正を示さなくても良いということではないと思う。根気よく教えていけばいつか伝わるといいな〜くらいに思えばいいのかな



【第5章】単語の意味


その単語が使われている状況を経験しながら、こんな意味かな、と吸収していく、つまり最初からばっちり正しく覚えるのはかなり無理 p65

各単語についてその子どもにとっての意味の成分リストがあるというのはわかりやすい表現! その成分リストは大人と比べて不完全、だから過剰拡張、過剰縮小がおこる p68

動詞にも過剰拡張がおこる p75

[✳︎]この例めっちゃおもしろい笑った p77



【第6章】ことばの側面、語用論


言葉通りの意味でない間接的表現は7歳くらいになるとわかるようになってくる、ばらつきあり p81

グライスの会話の公理(量、質、関係、様態)、この四つの公理から外れると、そこには言葉通りの表現以外の含意があると p84
[✳︎]ポール・グライスがよく語用論入門書で引用されるらしい、興味出たら読もうかな

尺度推意(大小の程度の違い)100円あるよ、と言ったら200円は持ってない、みたいなことを推察できるのは5〜7才くらい、表現によっても異なる p86

他者がどのくらい状況を認識してるかを推論する力は、言葉の表現で語用論的な意味を理解する年齢と重なる! p88
[?]他人や周りの状況を理解しながら言われた言葉を理解する年齢と、自分が言葉を発する年齢も重なるのかな
他人との関わり方が変わってくるポイントになる年齢でもあったりして



【第7章】言語への意識、メタ言語能力


ことばそのものを客観的に見る力=メタ言語意識、これはダジャレなどの言葉あそびを楽しむ感覚を豊かにしてくれる p93

[✳︎]3才のしりとりおもしろいな〜 わたしも息子が3才なったらやろう p95

[✳︎]メタ言語能力を使ったいろんな言葉遊びは、母語に限らずいろんな言語の能力のベースになりそう。ことばに敏感になるというか。国語力とかいうのかも。 p104



読後感想


最後までクスクス笑いながら読めて楽しかった。内容的にはたぶん応用分野なんだと思う。言語学やったことないけど。へーってなる知識も得られるし、単純に読みものとしても気軽で読みやすいので、わたしと同じ分野に興味がある方ならきっと楽しめると思う。わたしも息子が話し始めてからのメモを取るのが楽しみ。





今日はここまで。

うしさん

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