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(原稿)音楽、写真、デザインに通じる”間”の概念について

※3年次のゼミ研究で発表したもの

「音楽、写真、デザインに通じる”間”の概念について」
どうもこんにちは。私は今までこの大学でデザインを学んできた中で、個人的に撮っていた写真との深い関わりを感じていました。被写体の選択や画面内の構図を考えることは、そのままデザインに繋がることだと思ったからです。特に去年からは、音楽、写真ともに”夜”をテーマに制作していました。その中で、今回の研究テーマを思いつくに至りました。
まず研究目的です。私は普段から音楽を聴く中で、曲中の無音の部分に興味を持ちました。単なる譜面上の休符とは異なる"間"の概念は、音楽以外の分野にも通じるものではないかと考えたからです。では音楽上の"間"の定義ってなんですか?という声が都合よく聞こえてきましたのでこれを引用させていただきます。

"間"の定義:間とは、拍と拍との時間的間隔を指す場合、休止部分の音価(時間の長さ)を指す場合など、西洋のリズムの考え方とは異なったものとして捉えられている。(音楽用語検索 意美音:imion)

このように、間とは休符とは異なりその設定する時間には制約がないことが、リズムという概念との違いであると言えます。では、この定義に沿って音楽の例を一つ引用してみます。流します:

▲54-71 / Sensual Bean(2001)

ね。変な間があったのが分かったかと思います。でちょっと音と間の関係を述べる前にですね、"間"を意識して選んだ写真があるのでこれを先に見ていただきたいと思います。

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一応、写真集に用いた写真ですこれは。で……明確な意図を持って写真を撮影する場合、撮影者が決定することは大まかに言うとこういうことであると言えると思います。
①つは被写体の選択、この場合はおもに写真の主役となる被写体のことを言いますが、②つはその主役を画面内のどの場所に置くか、そして③つはその被写体からどの程度の距離をとって撮るか、ということです。
が、今回研究する”間”というものはその被写体、つまり画面上に映り込む全ての物体を除いたものです。色彩と形態という講義を受けたお前らは覚えているかと思いますが、”図と地”でいう”地”の方であり、等質性と持つものです。晴れた空であったり、白い壁とかそういうのがこれにあたります。

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この写真の場合は、鳥居の後ろの暗い部分が間となります。しかしこの写真からは”間”と同時に、”光”という要素も強く読み取ってしまうかと思います。
これは私が冒頭で話した”夜”も同時に意識して撮った写真です。暗い中フラッシュを焚いて、鳥居の明るさを強調して撮っているのですが、”夜”っぽさを演出したくて撮るのであれば、フラッシュを焚かずに暗いままで撮るのが妥当だと感じる方もいるかもしれません。が、暗い中フラッシュを焚くと、ご覧のように手前の被写体は白く浮き上がり、反対に遠い背景はより暗く落ち込みます。夜の写真が多い中、被写体に光を当てることが多いのは、暗さとは対象をなす図としての光があることで地としての暗闇が引き立ち、"間"に(相互に)存在感をもたせることができる、と感じているからです。
そしてこれは音楽にも言えることだと思います。では例として、私が制作した音楽作品のうち数秒だけ聴いていただきたいと思います。

▲"Music for Space In Between"(soundcloud)
https://soundcloud.com/cada-saki/music-for-space-in-between
▲灰野敬二 / おわりにさせろ→うまくできない(1981)

違うのも混じってましたがすみません。先ほど流した54-71の例もそうですが、こうも極端な例を挙げたのは、曲中に無音である"間"とはまるで違う轟音も入っていたからです。先ほどの言葉を音楽に言い換えて説明するなら、暗い夜は音の無い状態であり、白い光はその上にある音です。その差を明確にすることでお互いが引き立ち、間の存在感を強めることができるということです。
そして当然、音や被写体が渾然としてしては間は生まれません。何が重要か情報を選別し、全体のバランスを考えてこれを配置しなければ間を効果的に扱うことは出来ません。そしてそれはほとんど、デザインの基本的な考えとしても通じるものです。情報を削ぎ落とすことに加え、その情報と背景である間との差を明確にすることで強まるメッセージ性を、写真と音楽でも表せたのではないかと思います。

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最後に私が感じたことは、間が生み出すのは具体的なものではありませんが、それは全体を包括する雰囲気を左右し、見る者に想像の余地を与えるという意味で重要な役割を担っているということです。特に芸術と関わりの深い音楽や、自己表現としての写真に関しては特に、この想像の余地というものが非常に重要なものであると感じます。隅々まで説明を尽くした結果、一面的な解釈しかできなくなるものもありますが、情報を極力排除した作品の方が深く印象に残るだろうことは、デザインにも言えることだと感じます。感じました僕は。ご清聴ありがとうございました。

音楽: https://ushirogami.bandcamp.com/album/nocturnal-blue


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