物心つく前から、外国は身近な存在だった。幼少期から、父は毎年一人で海外旅行へ行っていたし、長期休みには家族でも出かけていたからだ。
韓国や中国などのアジアをはじめとする色々な国や都市に連れて行ってもらったけれど、長年一番身近に感じていた外国はハワイだった。ハワイは我が家の定番の旅行先だった。
小学生高学年の頃は、自分の誕生日を家族でハワイで過ごしたこともあった。
とはいえ、幼少期のハワイの思い出は、今や断片的なことしか覚えていない。ABCストアのレジ付近にあるフローズンドリンクを飲むのが大好きで、ハワイに行ったら真っ先にそれを飲みたがったこと。家族でダイヤモンドベッドに登るも、虚弱な私は体調が悪くなって、一人で途中で下山したこと。夜にどこかのフードコートで「好きなものを頼んでいいよ」と両親から言われたので、ウキウキで「ラーメン」を選んだら、「もっとハワイならではのものを食べなさいよ」と言われたこと。そんなどうでもいいあれこれを、ABCストアで買ったキーホルダーを見るたびに、ほんのりと思い出す。
中学三年生くらいまでは「いつかハワイに住みたいな」と、漠然とだけど本気で思っていた。そしてそれを周りにも公言していた。あの明るくて元気な街を、兄よりも弟よりも私が一番気に入っていたように思う。中学生になっても高校生になっても、それは変わらなかった。
一気に世界が広がったのは、大学に入学してからだ。国際系の学部だったからか、休日や長期休暇にはみんなこぞって海外へ出かけていた。留学する子も多かった。ご多分に漏れず、私も休暇のたびに海外へ行ったし、留学もした。
この頃は、初めて足を踏み入れたヨーロッパの街並みに心をがっつり奪われていた。
社会人になったら、今度はアフリカに目がいった。学部時代の研究室の先輩や後輩など、アフリカで働く身近な人がちらほら現れたからだ。遠かったアフリカを、一気に近くに感じ始めた。
アフリカと一口で言っても、日本人がよく想像するまんまの街並みのアフリカと、度肝を抜かれるほど発展しているアフリカとあって、行くたびに新しい発見があっておもしろかった。
外国を近く身近に感じもするけれど、やっぱり遠い。大人になって、改めて強く思う。
母国語の日本語以外はいつもままならないけど、お金は全然貯まらないけど、それでも時間を見つけては、友達に会いに、リフレッシュしに、買い物をしに、何かと理由を見つけて、いろんな場所に足を運んでしまう。
便利で清潔で美味しい「東京」は大好きだし、昔から好きだった「ハワイ」ももちろん好きだ。
だけどもっと、もっともっと、私にとって「ここだ」っていう国や街に出会えるのではないかと思って、いつもワクワクしている。
二度と会わないだろう旅先で会った人とか、クスッと笑った出来事とか、とびきり印象に残ってる食べ物とか、いろんなことを、マイペースに残していこうと思う。
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