〔旅エッセイ #2〕雨降る大晦日での、カフェタイム_Amsterdam
2023年の大晦日だった。大晦日だ、と自分で思わなければ、その日が大晦日だなんてとても思えないぐらいに、街中はフツウだった。
そして、大晦日だがなんだがは関係ない。冬でも夏でも関係ない。アムステルダムへ行ったら、絶対に食べたいと思っていたものがあった。「CafeWinkel43」のアップルパイだ。オランダのガイドブックには必ず載っていたし、SNSでもよく見かけていた。
お目当てのお店は、アムステルダム駅から徒歩で行ける距離だった。大粒の雨が降る中、縦長の家が並ぶ「ザ・アムステルダム」な街並みにウキウキしながら向かっていたら、思いの外すぐに着いた。
悪天候にも関わらず外まで人が15組以上並んでいることに驚くも、テイクアウトしていく人が多く、列の多さに対して早く入店できた。外での待ち時間は、20分位だったと思う。
店の窓には「Merry Christmas」の文字があった。クリスマスが終わったら即座にお正月モードに切り替わる日本と違うこの海外のゆるさが、すごく好きだ。
席は店内の他に、外の入り口付近にも席があった。列に並びながら周りの人達のオーダーしたものをこっそり盗み見たら、ほとんどの人がアップルパイと、ミントティーかジンジャーティーを頼んでいたことがわかった。列がすすんで店内に入ると、店中にアップルパイの甘くて香ばしい匂いが広がっていて、期待が高まった。
オーダーは、ミントティーとジンジャーティー。そしてもちろんお目当てのアップルパイ。
ミントティーは、ミントを大量にひとつまみ。ジンジャーティーは、大きくスライスされた生姜を大量にひとつまみ。それぞれ、そこにお湯が注がれただけのシンプルなものだった。ティーの味はどちらも見た目通りだったが、アップルパイは想像よりも美味しかった。パイもクリームも甘くなくサッパリしていて、とても食べやすかった。
年の瀬だから空いているのかと思って行ったけど、客は絶えず常に外に列をなしていた。こんな日でも沢山の人が購入しに来るんだなとぼんやり思っていた。店内は観光客が3割程度に見え、現地の方が多いように感じた。
外はずっと雨で、並んでいる間に身体は冷え切っていた。店内は特別温かいわけではなかった。食べ始める時も、まだ身体は冷えていた。だけど、お店を出る時には、ジンジャーティーの生姜のおかげか、身体がポカポカしていた。
2022年12月31日。日本にいる時とは、気持ちがまるで違う。いい大晦日だった。
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