2019
2019年は、ぼくにとって躍動の年…になるはずだった。
当時働いていた安月給のA型作業所に嫌気がさしていたぼくは、勇気を出して役所の採用試験を受けてみた。
作文と面接の練習を事前に行い、約200名いた受験生の中から、3人の採用枠を勝ち取った。
正月休みもずっと勉強に充てていたから、当然の結果だと思った。
「ついにオレの時代がきた!」
ぼくは心の中で、そう叫んだ。
◆
4月1日付けで、ぼくは役所の嘱託職員になった。
これまでの仕事で得たパソコンスキルを活かして、障害者雇用の職場で「健常者よりも活躍したい」と思っていた。
しかし、現実はそんなに甘くなかった。
待っていたのは、コピーとりとシュレッダーの毎日。
膨大な量の書類をひたすら整理・処分するだけの日々だった。
最初は「ま、病状に負荷のかけない仕事だからいいか」と割り切っていたが、日が経つにつれ、その考えが揺らぎはじめた。
『オレって、コピーするために生まれてきたのかな…』
『あんなに必死こいて勉強したのに、こんな雑用しかないのか…』
『この仕事を3年間満期で続けたとして、何か得られるスキルはあるのだろうか…』
『満期が終わったら、また就活しないといけないな…めんどくせ』
こういった雑念まみれの毎日を送っていた。
段々と夜眠れなくなり、眠剤を増やすことが多くなっていった。
それに比例して、朝起きれなくなったり、朝メシ食べながら寝てしまうこともあった。
夜熟睡できてないため、日中はたくさんコーヒーをのまないと睡魔に襲われる毎日だった。
日中眠くなるのが嫌だから、夜寝る時間を1時間早めた。
しかし、寝付く時間はどんどん悪くなっていって、眠剤を飲んで2時間経っても眠くならない体質になってしまった。
「早く寝なきゃ…また明日も仕事中に眠くなったらダメだから…』
早く寝たいぼくと、それに相反して眠れない体。
両者の均衡が崩れたある日の夜中、ぼくはいきなり過呼吸に襲われた。
心臓の鼓動が、まるで鼓膜のすぐ側で鳴り響いている感じ。
手足が震え、ケータイで119しようにもまともに動かない。
もしかしたら、このまま自分は死んでしまうのだろうか…それなら一層の事楽にしてくれ…いや、でもまだ死にたくない!
色んな思考が脳内をよぎったが、とりあえず119に電話をすることができた。
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