九月十四日の深夜
……ということは、九月十五日ということになるが、今日から、
日記を書くことにした。
NHKのBSの深夜放送で、現在、ジャズピアニストになった大江千里がメンフィスで「駅ピアノ」を披露するという趣向の番組をやっていた。
私の主観、つまり思い込みに過ぎないが「駅ピアノ」が始まってから若者が街頭でバンド演奏をする風景がぱったり消えた。ピアノのある家は少なくないと思うけれど、ピアノは結構、大きな音がするので、練習もできずに、タケモトピアノに売り払うことになる。ギターにボーカルだったら、公園やどこかの河原で練習できるし、そこで鍛えて、街頭で披露するという流れが自然であり、それを潰そうとするから、デフレから脱却できないのだ。。
……と、つい「駅ピアノ」の画像を見ると反発してしまうのだが、アメリカの場合、ピアノの演奏が風景に溶け込んでいるようで、違和感はない。
ただ屋外でピアノを弾いて、音が発散しないのだろうかと、当初から思っていた。音だけ、あとで追加する……なんてことはないだろうけど。街で歌っていた連中も、音は聞ちゃんとこえていたから、ピアノも同じかもしれない。
それはさておくとして、大江千里はメンフィスの次はカントリー&ウェアウスタンの聖地、ナッシュビルに行く。ただ、大江千里はカントリー&ウェアウスタンとは関係がないので、ナッシュビルのレポートはNHKのレポーターが担当していたようだが、ABBAのヒットソングのレコーディングしようというルームメイトだという数人の若い女性のレコーディング風景を写していで、ABBAの曲ではないけど、少し歌っていた。ロバート・アルトマンの『ナッシュビル』を地でゆく場面だった。映画では、うまそうなのに、微妙に音痴だったけど、テレビではルームメートグループの歌はそんなに音痴には聞こえなかったけど、ビデオに記録したわけではないので、検証はできないが、微妙に音痴だったかもしれない。
いずれにせよ、NHKの取材班は日本人か、現地のスタッフなのか、わからないけど、感想を聞いてほしかった。でも若い人が多かったから、「アルトマン? 誰、それ?」ということになるかもしれないけど……年配の男性もいたから……。
ところで、イメージに過ぎないけど、大江千里が日本で活躍していた頃、覚醒剤で消えた槇原博之とか、「愛は勝つ」のKANとイメージがかぶる。大江千里の方が七つか、八つ、年上なので、あの手の音楽――いわゆる「ジャパニーズポップス」――の先駆者だったのかもしれない。あえて言えばザードの坂井泉水ともイメージがかぶる。
大江千里はデビュー時に「男性版ユーミン」と言われたそうで、そう言われれば、そんな風に聞こえないわけでもなくもないけれど……だとすると。ユーミンが一つの原点になっているのか。
しかし、……だとすると、桑田佳祐のサザンオールスターズは全く孤高のまま、今も絶大な人気を誇っている……ということになるのか。
近田春夫あたりに聞いてみたい。