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 夢想する少女漫画

 新聞を毎日読むという習慣は、銃年以上前からなくなってしまったけど、読む時は必ず「匿名コラム」を読むことにしている。ただ、昔から続いている匿名コラムは数少なくなってしまったが、東京新聞の夕刊の「大波小波」は今も続いている。ただし、以前ほど面白くなくなった気がする。文芸関係の記事が多いのだが、知らない名前ばかり、ということも関係しているのかも。でも、今日、いや、昨日の2月22日の「大波小波」は面白かった。それは瞳に星が輝く少女漫画で「瞳に星が輝く少女」という図柄を最初に描いた少女漫画家、高橋真琴の原画の展覧会が池袋の東武デパートで開かれているという記事。少女漫画は、大島弓子とか青池保子くらいしか見たことがない。あと高野文子の「なんとかのツル」というのは面白かったな。山岸涼子も、聖徳太子は読んでないけど、おばけ話が怖かったっけ……と、まあ、それくらいで、正統的な「瞳に星が輝く」少女漫画なんか読んだことは全くないけれど――その前に読めないと思う――「大波小波」によると高橋真琴氏は貸本時代から活躍していて、東京までの飛行機代金を出版社が払っていた漫画家は手塚治虫と高橋真琴の二人だけだったんだそうだ。

ツゴイ……

 また初期の作品、「プチ・ラ」の原作は橋田壽賀子だったとか、そんなことを「大波小波」は書いていたのだが、最後に、「高橋真琴の漫画家としての活動は十年にも満たないにも関わらず、少女漫画の夢想を極限まで純化した作家として、その影響は大きい。その高橋が男性であることに最大の驚きがある。」と書かれていた。ラストの「落ち」に仰天!
 高橋真琴は女性だと思い込んでいたのだ。「大波小波」氏は意識的に最後まで性別を明らかにしなかったのか、あるいは高橋真琴氏が男性であることはみんな知っていると思って書かなかったのか――多分前者だと思うけど――いずれにせよ「大波小波」氏に降参。

高橋真琴氏。なかなか素敵な八十九歳だ


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