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本を読む

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今は読まれなくなっている本、これはと思う最近の本など、なんでも取り上げて紹介します。分野も様々です。 独断と偏見で、3段階の評価をつけます。     ☆☆☆:読む価値あり    …
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#読書感想文

[喜作新道] 山本茂実(1986, 7, 20)朝日文庫.424p. ☆☆☆

『あゝ野麦峠』で広く知られている山本茂実の作品。 北アルプスの中房温泉から槍ヶ岳にぬける登山道を切り開いた、猟師で山案内人の小林喜作の一代記である。 関係者への綿密なインタビューをもとに書かれたドキュメンタリーとして、迫力のある作品。 喜作は、腕の立つ猟師であると同時にビジネスの才能もあった、当時としては珍しい人物であったらしい。 明治から大正にかけての山里の水飲み百姓は極めて貧困であったが、中でも猟師は極貧であったという。 そんな中で、喜作は熊やカモシカ猟でそれなりの

本を読む(番外編) ChatGPTに感想文を書かせる!!!

読書感想文、番外編です。 今はやりのChatGPTに『我が輩な猫である』の読書感想文を書かせてみました。 こんなのが帰ってきました。 皆さん、いかがですか? ************  『「吾が輩は猫である」は、夏目漱石によって書かれた小説であり、日本文学の名作の一つです。猫の視点から人間社会を見るという斬新なアイデアや、猫の特徴的な行動や感覚が詳細に描写されていることなどが、この小説の魅力の一つだと思います。  私たちは、猫の視点から描かれた物語を通して、人間社会に

[五・一五事件ー橘孝三郎と愛郷塾の軌跡]保坂正康(2009,7,25)中公文庫. 443p. ☆☆☆ 

3段階の評価をつけます。 ☆☆☆:読む価値あり ☆☆☆:暇なら読んでも損はない ☆:無理して読む必要なし 1974年1月に初版が出版されました。 50年近く前に出版された本ですが,次のような理由で,今こそ多くの若者に読んでいただきたいと思います。 五・一五事件は,日本がファシズム国家に突入していくきっかけとなったものです。 当時の日本の経済は世界大恐慌の影響を大きく受けて落ち込んで貧富の差が大きくなり,特に農村が崩壊して行きました。 一方,政治家・政党ともに派閥争いに明け

[雪国]川端康成(1968,11,1)旺文社.236p. ☆☆                            

3段階の評価をつけます。 ☆☆☆:読む価値あり ☆☆☆:暇なら読んでも損はない ☆:無理して読む必要なし ここで挙げた本は、今は無き「旺文社文庫」の1冊です。 川端康成がノーベル賞を受賞した時(私は高校生)に、衝動的に買った本です。 定価はなんと150円。 当時、私自身は川端文学が好きだった訳ではありませんでした。 冒頭の『国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。』という、あまりにも有名は始まりから、娘が窓を一杯に開けて駅長に叫ぶ場面に強く引かれまし